プーアール茶.com

貢朝号三合社青餅07年 その1.

製造 : 2007年5月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山三合社古樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 陶器の壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺
壺熟成
貢朝号三合社青餅2007年
餅面裏

お茶の感想:
雨の季節はしっとりしたお茶が美味しくなる。
茶葉のコンディションが変わる。人のコンディションも変わる。
ふと思い出して、壺の中に保存していたサンプルを試してみる。
『貢朝号三合社青餅07年』(未出品)
製造年が2006年だったか2007年だったか覚えていない。
易武山の町役場の職員が手元で熟成させていたお茶。
餅茶7枚モノ竹皮包み1筒×6筒=42枚/一件で竹籠に入って、部屋の隅に他の数件のお茶といっしょに積まれていた。
竹籠は埃をかぶって蜘蛛の巣だらけだったが、よくあること。品質に関わる問題ではない。
その部屋は閉め切ってあってもスキマだらけで乾燥は保てない。易武山は湿度が高いから、夏の雨季には湿度80%を越す日が多いはず。さらに、家庭の豆鼓(豆味噌)づくりをするのに、蒸した大豆をザルに広げて麹カビがびっしり生えるようなのを同じ部屋で見たこともあった。
豆鼓
豆味噌
(写真は乾燥し始めていて綿状のカビは消えている。)
微生物が活動しやすい温度と湿度があるということ。
味噌の麹カビはもちろん良性のものだが、黒茶の発酵の麹カビと同じとは思えない。
しかし、茶葉の赤黒く変色した様は微生物発酵をうかがわせる。
餅面表
餅面に光沢があるのは熟成の良いサイン。
もしかしたら易武山でも熟成がうまくゆくのでは?と思って、その後も易武山で個人所有の茶葉を何度も試してみたが、二度と出会えなかった。
同じような体験を同業者からも聞いたことがある。ひとりやふたりではないが、彼らもやはり二度と出会えていないから、なにか偶然が重なったときにだけうまくゆくのだろう。
その条件がよくわからない。
貢朝号三合社青餅07年
味はどうかというと、それほどでもない。
1970年代から1980年代の香港倉で熟成された孟海茶廠の青餅の足元にも及ばない。ただ、風味の中にところどころ共通したところが見つかる。共通したところの風味に経験を積む。保存環境や茶葉のコンディションとの関係をひとつひとつ見つけてゆく。たぶんそれしか方法がない。
葉底
葉底の新芽・若葉・茎の色がなるべく均一なほうがよいが、これは比較的良いほう。悪いサインの茎の黒焦げた色は見つからない。
プーアール茶の熟成の本場は広東省の沿岸部だが、2000年前後に香港倉が消滅してからは、これといった成功例が出ていないと思う。
最近テレビによく取材されている東莞市の熟成専門業者の茶葉のサンプルを入手したので、昨年の勉強会「その3 熟成」にて数人で試飲してみたが、たいしたことなかった。この『貢朝号三合社青餅07年』のほうがましなくらい。
台湾には今も正しい味の熟成茶があるはずだが、1990年代に一度は香港倉で熟成されたものを台湾倉に移動したのが多い。それは台湾倉の成功ではない。マレーシアやシンガポールも同じ。新しいお茶から熟成をスタートしなければ倉の良さが証明できない。
チェコの壺熟成
チェコのマルちゃんの工房で壺熟成中のオリジナルのお茶。
京都壺
西双版納・チェンマイ・京都・上海・広東・・・・じわじわといろんなところに壺熟成を拡散してゆく。
壺熟成は、壺の中の条件は同じでも壺の外の環境はそれぞれ。どこに壺を置くかでお茶の味が違ってくるから、そこが面白い。自分だけの熟成味をつくれる。
いつか熟成自慢のお茶会をしたいな。
熟成は現物をもって証明するしかない。例えば、自転車に乗れるのと自転車に乗れる物理学を説明できるのとは違う。説明できても一銭にもならないのだ。

ひとりごと:
どこかの小さなお茶屋さんが熟成を成功しても、その話は聞こえてこないだろう。少量の成功は常連客だけでシェして終わり。成功しましたよ!と世に知らせる必要などないから。
また、成功しても秘密にしたがるかもしれない。すぐにみんなが模倣するから。
でも、熟成は模倣が難しい。中国はコピー天国だけれど、もしもカンタンに模倣できるなら、かつての香港倉庫の黄金時代の味がとっくに再現できているはず。

巴達山賀松熟茶07年 その4.

製造 : 2007年12月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山賀松寨生態茶樹
茶廠 : 孟海県恒益茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶357gサイズ
保存 : 西双版納孟海県ー景洪市
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 宜興紫砂の茶壺
巴達山賀松熟茶07年
巴達山賀松熟茶07年
巴達山賀松熟茶07年

お茶の感想:
西双版納に戻ってすぐにお茶の在庫整理。
同時に熟成の具合を確かめる。
いつもの仕事。
けっこう手間がかかる。
箱から出したり詰め替えたり。
竹皮包みを外して餅茶1枚ごとに密封したり。
傷んだ包み紙を取り替えたり。
在庫の数を数えなおしたり。
湯を沸かして試飲したり。
過去にアルバイトを雇ったこともあるが、西双版納は人がむちゃくちゃでかえって問題が増えるので、ひとりでぼちぼち作業する。(西双版納にかぎらず他人の仕事は必ず気に入らないタイプなのだけれど・・・。)
見た目にあまり変化のない地道な仕事。太陽が沈んでゆくのを見ては今日もまた過ぎてゆく・・・とため息をついたりする。
卸売部で出品の『巴達山賀松熟茶07年』。
農家がメーカーに依頼してつくったお茶だから竹皮包みの質が悪くて(雨の季節に採取した竹皮であるうえに、洗って干してという工程をちゃんとしていない。)、そのため竹をかじる虫がついて、ついでに包み紙までかじられている。農家の倉庫に2014年まで置いていたから、そのときに付いた虫が今まで生き延びているのだ。
農家はいろんな生きものと共生している。
虫食いの包み紙
茶虫
てんとう虫のような形の2mmくらいの虫。茶葉は食べないけれど餅面に穴を開けて卵を産むので、イモ虫のような幼虫が茶葉の隙間に隠れている。1枚につき1匹いるかいないか。
生まれて死ぬまで竹しか喰わない虫だから汚いことはない・・・そう思える方にお求めいただけたらよい。
泡茶
葉底
お茶の味はすばらしい。
熟成の具合は抜群で、当店の西双版納の倉庫でもっとも美味しく育ったお茶のひとつと言える。もっとも熟茶は間違いなく美味しくなるのだけれど。
残り56枚。試飲分2枚差し引いて54枚。
餅茶一枚ごとに紙包みを開けて、ブラシでこすって落として、また紙を包みなおして、陰干しして、一枚ごと密封して、荷造りして、上海に転送する。
竹皮を開けるごとに表面についているトゲトゲした繊維の粉が飛び散る。肌に触ると痛い。あとから痒い。一日の終りに床を拭き掃除して、作業服を洗濯して、身体から落とすために何度もシャワーして・・・。
56枚のために2日間ほど費やす。
他のお茶の在庫整理もあわせたら月日があっという間に過ぎてゆく。
割に合わない仕事だと心得ている。経済的にも割に合わない。世の中に良い影響を与える社会人として活動するにも割に合わない。
なのに続ける。
「お茶が好きでこの仕事をしているのですか?」
最近はそう聞かれても言葉に詰まる。
たぶんそういうタイプの「好き」ではないからだ。
「もったいない」という気持ちに近い。
ご飯を食べ残したらもったいない。その「もったいない」に似ている。
茶葉には命がある。
単独で生命体ではないかもしれないが、茶樹の肉片であり、山の血液の一滴であり、他の様々な生きものと交流して生態系を構成する組織の一員である。
茶摘みはその命を奪ってゆく。
その瞬間から「もったいない」がはじまる。
製茶がうまく仕上がらなければもったいない。
輸送中に傷めたらもったいない。
保存中に質を落としたらもったいない。
お客様によろこんで買ってもらえなければもったいない。
美味しく飲まれなければもったいない。
もったいないだらけで、心配ごとがうじゃうじゃあって、細かな仕事が増えてゆく。
商売を考えたら、経済を考えたら、もったいないを捨てたほうがよい。もっと収益の上がる仕事に時間を割いたほうがよい。労働はもっと低賃金な他人に任せたほうがよい。そもそも、もったいないの伴う商売は選ばないほうがよい。
若くて将来有望な人から見たら、そんなことが分からないバカに見えるだろう。
でも、叔叔はお茶がもったいないからバカを続ける。
こう考えると「もったいない」も愛情の一種だよな。
「好き」ほど情熱的ではないし、積極的ではないし、語れる物語もない。
たいくつな気持ちだけれど大切なのだ。たぶん。

ひとりごと:
そうはいっても値上げはする。
うまく熟成している分。
手間暇かかっている分。
倉庫の家賃の分。
物価上昇しつづける現地で生活してゆく分。
つぎの仕事に取り掛かる分。
我慢はしない。つづかないから。
まだ夏の雲
まだ夏の雲。秋の旬はもうちょっと先。

巴達山賀松熟茶07年 その3.

製造 : 2007年12月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山賀松寨生態茶樹
茶廠 : 孟海県恒益茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶357gサイズ
保存 : 西双版納孟海県ー景洪市
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶

お茶の感想:
ひとつひとつの茶葉の性質を見て・触って・嗅いで理解する。
茶葉の個性を尊重するようにお茶を淹れたら、お茶が喜びを味で表現してくれる。
愛する者は愛される。道教の相対性理論なり。
今日はこのお茶。
『巴達山賀松熟茶07年』(卸売部に出品中)
このお茶は、この価格帯の熟茶にしては珍しく純粋なところがある。
まず、ひとつの山のひとつの村から茶葉が集められている。
そして、春の旬の期間に若葉が多く集められている。
さらに、一軒の製茶農家による製茶のみで晒青毛茶が仕上がっている。
なお、メーカーでの渥堆発酵後に等級分けやブレンドがされていない。
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
もともと熟茶は生活のお茶。
大量生産して廉価な品をつくるためにいろんな工夫がされている。
茶葉やあちこちの山から晒青毛茶を集めて、メーカーがストックしておいて、一定量が溜まったら渥堆発酵されて、等級分けして、ブレンドして、圧延加工して、製品となる。
当然いろんな山やいろんな製茶業者の茶葉が混じる。宮廷散茶のように新芽・若葉が篩にかけられても、元の茶葉の地域や季節はひとつではない。
だからこのお茶はちょっと個性のある熟茶なのだ。
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
等級分けしていないにもかかわらず新芽・若葉が多く、しかも雨の季節ではなく春の旬であるのは、どちらかというと生茶向けの茶葉で、そこそこの値段がつくお茶になる。
大手メーカーの最新設備による加工ではないから、茶葉には山の農家での異物混入があるかとは思うが、それはお茶の品質とは関係がない。
さて、このような旬の新芽・若葉のお茶は、生茶であろうが熟茶であろうが、熱湯を注いだらサッと切って、透明な色を保って、姿の見えない香気や茶気や余韻を尊重したほうが美味しい。じんわりゆっくり旨味を抽出しようとすると冴えない味になる。
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
慣れてきたら、もうちょっと味を尖らせてみたいなと思うことがある。
春の旬の茶葉は、味を濃くしてエッジを効かせるではなくて、茶気や香気を立ててエッジを効かせる。

ひとりごと:
お茶を美味しく淹れようとするあまり、濃い薄いだけに囚われているケースが多くないだろうか。たしかに、ちょうどよい濃さに淹れたら美味しい。けれど、時には目の覚めるような味や、逆に眠たいような味が、面白いこともある。
ひとつひとつの茶葉の性質を理解していたら、今日はどんなお茶をどういうふうに淹れるのが美味しいかわかるようになる。

巴達山賀松熟茶07年 その2.

製造 : 2007年12月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山賀松寨生態茶樹
茶廠 : 孟海県恒益茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶357gサイズ
保存 : 西双版納孟海県
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : グラスポット
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶

お茶の感想:
仕入れるかどうか、このお茶。
『巴達山賀松熟茶07年』
もう少し考えてみる。
舌が肥えたせいか、以前はまったく気にしなかったところが気になる。
意図しないところで副産物的に生じる微生物発酵の結果である「老茶頭」的な風味。
しかし、微生物発酵に人間の管理できる味がどれだけあるというのか。偶然の結果を拾い上げて、その条件を特定していって、再現できるようにして、衛生的に問題がなければそれでよし。好きか嫌いか、それだけなのだ。
味の成り立ちが科学的に解明されるのを待っていたら、世の中のあらゆる発酵食品を食べないまま死ぬことになる。
老茶頭のできるのは発酵職人の怠慢と言ったが、怠慢が独自の好ましい味を生み出せるなら、それもアリか・・・。
老茶頭熟茶プーアル茶
老茶頭熟茶プーアル茶
老茶頭熟茶プーアル茶
老茶頭熟茶プーアル茶
卸売部で販売したことのある大手茶廠の「老茶頭」。
価格の割に美味しいお茶ではあったが、今あらためて飲んでみると、ほんのちょっとだけ嫌な香りが見つかる。安い白酒にあるアルコール臭のような感じ。これを嫌気性の微生物発酵の結果と紐付けるのは気が早いけれど、無いほうが良いと思うのだ。
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
その点で、このお茶はキレイ。
一煎めを淡く入れるとわかりやすいが、かすかにヨーグレット味(子供の時に好きだったヨーグルト味のタブレットのお菓子)。一煎めにこの風味が感じられる熟茶は、自分の中では高得点。
なぜヨーグレット風味が良くて、安い白酒風味が悪いのか?
この説明は虚しい。
なぜなら経験と勘とで培った個人的なセンスだから。
水平鍋による殺青の焦げ味が美しいというのを、なぜか?と聞く人に(そんな人はいないけれど)説明するのは虚しい。
そこを突き詰めると、当店は「出品」だけが表現手段なのだな。お客様のご意見を聞くフリはしても、本気で聞いてはいないのかもしれない。

ひとりごと:
『巴達山賀松熟茶07年』は、何度かリピートされたお客様もある。ということは、この味が受け入れられていたということだけれど、お客様もまたこの1年くらいで味覚を成長させたかもしれない。期待してもう一度飲んだら、期待したほどではなかったと思うかもしれない。
たぶん自分と同じだろうと想像するしかないのだな。

巴達山賀松熟茶07年 その1.

製造 : 2007年12月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山賀松寨生態茶樹
茶廠 : 孟海県恒益茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶357gサイズ
保存 : 西双版納孟海県
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗

お茶の感想:
1年前に売り切れてから、今になってもお客様の問い合わせが続くこのお茶。
巴達山に行った際に聞いてみたら、まだ数十枚は残してあるとわかって、1枚だけ持って帰って試してみた。
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
晒青毛茶を入れておく袋の欠片が混ざっている・・・。この他、いろんなものが餅茶を崩すと出てくるだろう。
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
美味しい。
スッと喉に落ちる滑らかさ、清らかさ。
この茶葉の生態環境の良さを表わしている。
巴達山賀松寨生態茶園は1930年代に開墾された茶畑。樹齢80年になる。
海抜1800メートルの無農薬・無肥料栽培。古茶樹ではないが、そのへんの台地茶に比べたら透明感があり、旨味が少なく、甘味の消えが早く、キレの良い渋味・苦味で、滋味深く、清潔な味。
このお茶『巴達山賀松熟茶07年』には、2007年4月の春茶が使用されている。
巴達山賀松寨生態茶園
巴達山賀松寨生態茶園
巴達山賀松寨生態茶園
熟茶に求める基準がこの1年間のうちに変わったのかもしれないが、ちょっと気に入らないところがある。
まず、紅茶っぽいところ。
熟茶をはじめて飲む方にはそこが受け入れやすいのかもしれないが、熟茶は熟茶らしくがお茶づくりの王道。白茶なのに紅茶っぽくできた月光白と同じく、つくり手としては評価を下げたい。
つぎに、渥堆発酵の焦げ味。
水をかけて微生物発酵をうながす熟茶づくりの工程の要となる「渥堆発酵」。1ヶ月半から2ヶ月の間に、何度か水をかけるが、水をかけてからまんべんなくかき混ぜる作業をしっかりしないと、一部で水を含みすぎた茶葉が粘着し、「茶頭」と呼ぶ粒状のカタマリになる。そこまでゆかなくても、水分を多く含みすぎたために、空気を吸えない好気性の微生物が活動を鈍らせ、嫌気性の微生物が活発になり、発酵に異なる結果をもたらす。それは黒く焦げた色になりやすい。
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
(葉底の茶葉の形はキレイだが、色のムラは発酵のムラ)
ひとことで言えば、この熟茶は茶頭の風味が少しあるのだ。
紅茶的な風味と茶頭的な風味は関連しているのかもしれないし、たんなる発酵ムラなのかもしれないが、どちらにしても発酵職人の仕事の怠慢だ。と、厳しめの評価をしてみる。
ただ、後味のキレは良いから、失敗ではないのだな。
熟茶のプーアル茶飲み比べ
熟茶のプーアル茶飲み比べ
左: 銷台甲級沱茶90年代(卸売部に出品中)
右: 巴達山賀松熟茶07年
比べるからいけないのか・・・。
しかし、最近当店の出品する熟茶の価格は、初めての人にちょっと敷居が高い。このお茶『巴達山賀松熟茶07年』なら、初めての人を歓迎できるだろう。
お茶の価格は公正。
いったん上のクラスに慣れた方は、このお茶を評価する必要はないというお約束で、最後の数十枚を出品してもよいかと思う。

ひとりごと:
おなじような理由で、
老茶専門の茶商からまわってきた1980年代とされる老散茶のサンプルを却下。1990年代に香港でさかんに行われたブレンド老散茶だった。
樟香老散茶1990年代
樟香老散茶1990年代
樟香老散茶1990年代プーアル茶
樟香老散茶1990年代プーアル茶
樟香の美味しいお茶。
味に濁りはなく、後味もキレイで、よくできたブレンドだと思う。
昔ならそれなりの価格で仕入れたかもしれないが、高級茶価格になる今はできない。
熟茶とか老散茶というのは、もともとは生活のお茶。
毎日毎日飽きずに飲めるという点でのクオリティーが、とことん突き詰められたはずのお茶。「こんな味もあるな」、「面白い味だな」、という一過性の好奇心をくすぐるお茶ではない。
また、味もさることながら、毎日の健康維持という切実な目的が生活のお茶にはあったはず。原料の茶葉が健康に育ったものでなければ医食同源が成り立たない。特にその点で、最近は廉価なお茶に満足できるクオリティーのが見つからない。
はっきり言って、
生活のお茶として利用価値のあるお茶に、今どき安いお茶なんてありえない。
これはつくり手の問題だけではない。
人々が生活のお茶を真剣に求めなくなった。つまり、生活そのものを大事にしなくなった結果だと思う。

南糯山七子餅茶2007年 その1.

製造 : 2007年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山 古茶樹
茶廠 : 孟海雲昌茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
南糯山七子餅茶2007年プーアル茶
南糯山七子餅茶2007年プーアル茶

お茶の感想:
季節になるとあっちの茶山こっちの茶山を訪ね歩いて農家からプーアール茶の原料となる茶葉を集めることを「収茶」と呼ぶ。西双版納には有名茶山の高級クラスを専門に収茶する商人がいる。顧客は主に大きな都市の茶荘。茶荘は収茶商人から数十キロから数百キロの単位で原料を仕入れ、圧延加工を手配し、オリジナルの包装紙で販売する。・・・ということは、外見や価格は違うが中身の同じ高級茶が少なからず流通していることになる。
収茶商人は各茶山を熟知している。どの山のどの辺りに良質の茶葉が採れるか、いつのタイミングに采茶するべきか、農家の製茶技術はどうか、市場価格と品質との兼ね合いはどうか、その上で農家と直接契約したり、自社の製茶場を構えたりして、各山の事情に合わせた製茶を行う。専門性の高い仕事をするので、数十キロから数百キロという量においては、収茶商人に勝る仕事をするのは難しい。
2003年からこの仕事を続けている収茶商人を知人から紹介され、いくつかの有名茶山のサンプルを順番に飲ませていただくことになった。身元のしっかりしている確かな茶葉だから、安心して手本にできる。
すべてのお茶について試飲を記録してゆきたいが、まず最近気になっている南糯山の「苦底」について、収茶商人の手元にある南糯山のを確かめたいと思った。
南糯山七子餅茶2007年プーアル茶
南糯山七子餅茶2007年プーアル茶
『南糯山七子餅茶2007年』
やっぱり苦い・・・。
柑橘系の爽やかな香りに蜜の甘味が加わり、口に入れた瞬間はなんとも魅力的であるが、後味が苦い。ちょっと濃くすると苦底が重い。バランスよく淡く淹れるのにはコツというか、熟練を要する。
収茶商人はこの数年は南糯山の晒青毛茶を手がけいないが、2007年の春は特別に出来がよく、自己評価は高かったらしい。
南糯山七子餅茶2007年プーアル茶
老班章古樹青糯2003年プーアル茶
孟海県の同系統のお茶「老班章」の2003年と比べてみると、苦味の強さは似ているが軽い。多少濃くなってもそれほど気にならない。
南糯山の古茶樹のお茶では2003年くらいのがまだあるらしいので後日試してみるが、それも同じように苦味が重かったら、当店の2010年・2011年・2013年の南糯山のお茶についても同じ結果が待っているかもしれない。
出品中の3種はしばらくお蔵入りにするか、それとも市場価格の高いうちに現地で転売するか・・・と、つぶやいていたら、
「孟海県の苦いお茶の好きな人にとっては南糯山の古茶樹は比較的安い価格を保っているから、これはこれでポジションがある」
と言われた。

ひとりごと;
いろんなポジションのお茶を幅広く紹介したり、ぴったりのお客様を探したり、販売のチカラの要る仕事は当店には難しいのかもしれない。
どうするかな・・・。

倚邦古樹青餅2014年・明後 その7.

製造 : 2014年05月15日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明倚邦山小葉種古樹
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶崩し
保存 : ステンレスの茶缶
茶水 : 京都御所周辺の地下水
茶器 : 大きめの蓋碗
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶

お茶の感想:
お茶づくりの条件はいつも整わない。
茶樹は自然栽培に近いほど、古い純血な品種ほど、若葉の成長の足並みは揃わない。深い森の茶摘みの足元は悪く、枝を自由に広げた茶樹の摘み手の効率は悪く、鮮度を保つために急ぐ山道は険しい。
山の製茶場はちっぽけで、雨や風や太陽の影響を受けやすい。毎年のように異常気象で、正常気象のほうが少ない。
道具は鉄の鍋と竈(かまど)と竹で編んだ笊だけの簡単なもので、薪の火で炒り、手で揉み、太陽で乾かす単純な製茶は、薪が湿っていたら火が荒れ、茶葉が育っていたら捻りが浅くなり、空に雲があれば乾燥に時間がかかり意図しない軽発酵がすすむ。
毎日揺れながら、なんとかバランスをとる。
さらに、
お茶を淹れる条件はいつも整わない。
熱いお茶を飲むには暑すぎる夏。冷たい茶器が温まらない冬。雨の日は薫らない。晴れの日は苦い。
沸かした湯の残りが少ない。飲む人の時間が足りない。体調不良で繊細な風味がわからない。思いがけず来客が多くて用意してきた茶器が小さすぎる。湯を注いでみたら今日の茶葉のコンディションが思わしくない。
毎回揺れながら、なんとかバランスをとる。
これが普通。「こんなものだ」と思ったほうが良いのだ。
自然を排除して計算高くつくられたお茶よりも、自然を管理して意のままに抽出されたお茶よりも、ありのままが上等。
なぜなら自然に起こることには「得」があるから。
ありのままを受け入れる勇気と、逆風をなんとか追い風にしようとする叡智があれば、お茶は「得」に恵まれる。
別に誰に対してというのでもないけれど、この美味しさに「ありがとう」と言いたくなるお茶。
『倚邦古樹青餅2014年・明後』(卸売部で出品中)
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
おおきに、ありがとう。
もうひとつこのお茶。
+【漫撒山一扇磨の散茶2013年】
漫撒山一扇磨の散茶2013年プーアル茶
漫撒山一扇磨の散茶2013年プーアル茶
漫撒山一扇磨の散茶2013年プーアル茶
漫撒山一扇磨の散茶2013年プーアル茶
おおきに、ありがとう。

ひとりごと:
もうひとつこのお茶。
『大益熟茶磚2005年』(過去に卸売部で販売)
大益熟茶磚2005年
大益熟茶磚2005年
漫撒山一扇磨の散茶2013年プーアル茶
おやつは自然な味のするパン。
ハローのパン
ハローのパン
おおきに、ありがとう。

中茶牌7581陳年茶磚07年 その1.

中茶牌7581陳年茶磚07年プーアル茶中茶牌7581陳年茶磚07年プーアル茶
中茶牌7581陳年茶磚07年プーアル茶
製造 : 2007年
茶葉 : 雲南省無量山景谷茶区大葉種晒青茶
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明ー上海 竹皮包
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水 
蓋碗できっちり。

お茶の感想:
「卸売り部」に出品していたお茶。(品切れ)
2007年生まれのお子様に、2007年に出品されたお茶を長期保存して、お祝いごとに開けて楽しむ。ということでお客様の問い合わせがあって、改めて流通の在庫を調べてみたら、「大益」や「下関」などはけっこうたくさん種類があるが、小規模メーカーや茶荘のつくる古茶樹モノは少なかった。ちょうど過渡期だったようだ。
このお茶『中茶牌7581陳年茶磚07年』は、かつて国営三大メーカーのひとつ「昆明第一茶廠」の名作「7581」の後継品。現在は民営化後の別のメーカーがつくっていると思う。
【7581後期文革磚80年代】
【7581雷射磚茶プーアル茶88年】
これら昔のは古茶樹だったのかもしれないけれど、現在のは茶畑の若い茶樹だろう。独立した一本一本から密植へ。老いた樹から若い樹へ。混生品種から単一品種へ。お茶の味もそれなりに変わるだろう。
中茶牌7581陳年茶磚07年プーアル茶
「7581」シリーズにはいろいろあったが、共通してキノコっぽい風味やタケノコっぽい風味があったと思う。このお茶にもある。これを「煮立ち味」と呼ぶことにする。
煮立ち味ができるのは、
1. 発酵のときの菌類の活動による発熱が高温に傾く。
2. 圧延加工の乾燥室が高温すぎる。
これらが影響していると思う。高温といっても60度くらいだが、乾いた茶葉には影響の少ない温度でも、濡れている茶葉には影響が大きい。まさにお茶を煮立てたときの風味に似ている。
煮立ち味にもいろいろな印象があるが、このお茶のは嫌な感じがしない。サッパリしてするする飲める。やや耐泡(煎がつづく)が弱い。ここで素材の力が現れる。

ひとりごと:
ベルギービール。濃い。
ベルギービール
何人か話しただけなのだけれど、日本の大学生ってなぜみんな同じなのだろう。茶畑による単一品種の栽培なのか。

1

茶想

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