プーアール茶.com

巴達曼邁熟茶2013年 その3.

采茶 : 2013年4月
加工 : 2016年11月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+店長
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺
巴達曼邁熟茶2013年

お茶の感想:
渥堆発酵の管理は、時計や温度計などの数値に頼らないで、なるべく身体で覚えるようにしている。
例えば、7キロの茶葉に対して初回の加水は1.75リットル。4分の1が一般的だとしよう。しかしそのつもりで水をかけてみると、ある種の茶葉はぜんぜん水が足りない様子だし、ある種の茶葉は水が多すぎる。茶葉によって吸水性や撥水性や、ちょっと時間が経つと蒸発する水の量など、いちいち差がある。そのときの気温や湿度も関係する。
だから固定された数値に頼るわけにはゆかない。
大量渥堆発酵のときは4分の1から3分の1の水が掛けられるが、茶葉からこぼれ落ちて床を濡らしていたりする。大手メーカーの職人からしたらそれは計算のうちに入っているが、7キロの少量渥堆発酵では水はすべて茶葉に吸収される。それは計算に入っていない。
だから先生の言うことを信用するわけにはゆかない。
メーカーの渥堆発酵
では、なにを基準にして水が多いとか少ないとかを自分で決めているのか?
無意識だったけれど、改めて考えてみると、やはり経験が頼りになっている。
まず、茶葉の水分量をみるのは、製茶でさんざん苦労してきたから、言うまでもなく手でわかる。
発酵の良し悪しについては、過去に食べた発酵食品の記憶とか、自分でつくってみた発酵食品の記憶とか、ある種の香りを鼻で嗅ぎ分けていたり、手触りの質感や温度に発酵状態がどんな段階にあるのかわかったりする。
具体的に思い出せないこともあるが、なんとなく嫌な感じとか、なんとなく良い感じとか、直観が働いている。
発酵食品
こういうの大事だ。
家庭の生活に発酵食品づくりがもっと根付くべきだ。
小さな実践で学べることにホンモノの文化があると思う。
ぬか漬けだけでなく味噌も醤油も酒も、そして黒茶も家庭でつくるようになったらよいのだ。
国の人が労働者の上前を撥ねるために規制などしてはいけない。
資本主義なメーカーが設備や技術を難しくして専門家ぶってはいけない。
そんなのは芝居文化だ。
日本酒はとっくに芝居文化になって、業者らが演技の巧さを競ったりしていないだろうか・・・しているよな。
発酵食品づくりは家庭にあるべき。
酒造りは、家では面倒であれば居酒屋にあるべき。
黒茶づくりも家でやればよいのだ。
そういうわけで7キロの極少量渥堆発酵は、家庭でもできるレベルの技術に落とし込みたい。
7キロくらいは(完成後は5キロくらいになるが)、半年で消費するよう各家庭がガブガブ飲むべき。そんなにたくさん飲まないというのなら、生活がすでに芝居になっている可能性がある。
当店の芝居がかったお茶を買って飲むしかないかもな・・・。
さて、今日のお茶は2013年の春につくった晒青毛茶が原料。
上海の友人のお店の倉庫に保存されていたのを西双版納に送り返した。
保存状態は良い。3年間の熟成によって(これには微生物は関与していない。成分の変化のみ。)春の棘味がいくぶんか穏やかになっているから、発酵のスタートはスムーズにゆくだろう。
最初の加水から7日目。
2回めの加水から48時経ったところ。
巴達曼邁熟茶2013年をチェコ土の茶則
巴達曼邁熟茶2013年をチェコ土の茶則のアップ
巴達曼邁熟茶2013年一煎め
巴達曼邁熟茶2013年一煎めアップ
3煎め。じっくり待つと茶湯は赤く変色する。
巴達曼邁熟茶2013年三煎め
この茶葉はまだ圧餅していない散茶であるから、繊維に弾力があり、茶葉と茶葉の隙間が大きい。ミクロの世界では茶葉の中の水道管が潰れていないところが多い。すなわち水の吸収が早い。どうしても水を多めにかけてしまいがちになるが、蒸発も早いので失敗しにくい。
茶葉は乾燥した状態でちょっと多めの8キロほどあったのだが、これがたっぷり水を含んで微生物発酵しはじめて24時間ほど経つと、中心部の発熱がすごいことになる。素手で触れるとアチッ!となる。
中心部をそのままにしておくと、最初はちょっと薬品っぽい香りが出てくる。麹発酵のゆきすぎに「セメダイン臭」と呼ぶのがあるそうだが、それに似ている。
さらにそのままにしておくと水分が蒸発して熱は下がってくるが、セメダインを通り越してアンモニア臭が出てくることがある。ひき割り納豆のちょっと古くなったのと似ている。
こうなるといけないので、セメダイン臭が出てきたらすぐに撹拌する。撹拌後も、茶葉に水分の多いうちは数時間も経たないうちに過剰に発熱するので、またすぐに撹拌して冷まさなければならない。
ゆっくり眠れなくなる。かわいいやつめ。
ただ、中心部の発熱が高温のうちは周囲の茶葉のコンディションは良い。乳酸飲料のような甘くてほんのり酸っぱい香りがしてくる。
黒麹菌はクエン酸をつくるそうだが、もしかしたら雑菌を殺すだけでなく、嫌な臭いの消臭にも効果があるのかもしれない。撹拌するとセメダイン臭がすぐに消える。
葉底
葉底にはまだ緑が残っている。
微生物発酵がうまくゆかないまま水分を多く持って時間が経つと、茎の部分から黒っぽく変色してくるが、これは全体的に均一な色を保っている。

ひとりごと:
京都の町はいつの時代から生活文化の芝居をしているのだろ。
芝居でも長年続けばそれなりの迫力がある。

南糯山秋天散茶2013年 その1.

製造 : 2013年05月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山Y口老寨
茶廠 : 農家
工程 : 生茶プーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 袋密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : マルちゃんの片口と湯飲み
南糯山
苦果
スネークヘッド
南糯山白酒蒸留
南糯山白酒蒸留

茶の感想:
「秋のお茶を淹れるのが難しい」
と、お客様からコメントをいただいた。
新しい生茶のプーアール茶のこと。
おそらくそれは、淹れ方の問題ではなく、つくり方の問題だと思う。
つまり、問題は産地にある。
秋の茶葉の独自の魅力を無視したお茶をつくっていると思う。
生茶の素材はとくに、秋は春に劣るという見方がされている。春ほど薫らない・水質がキメ細かくない・味が華やかでない・茶気が爽やかでない・などなど。つまり春を基準に評価しているわけだ。
昨年の秋に出品した4種の餅茶。
『倚邦古樹青餅2014年・秋天』
『易武荒野青餅2014年・秋天』
『漫撒三家青餅2014年・秋天』
『易武単樹青餅2014年・秋天』
「易武単樹」以外は、易武山の工房に集まってくる農家の毛茶(原料となる天日干し緑茶)から良いのを選んで圧餅加工した。この方法は、山を巡って農地を見て茶樹を選んで目の前で茶摘みをしてもらうよりも、いちどに何十軒もの農家の毛茶を比較して選べるので、良い素材に出会う確率が高いだろう・・・と、そう考えたのだったがハズレた。
どんぐりの背くらべの中からましなのを選べただけだった。
なぜなら、農家も秋の魅力を認めていないからだ。茶摘みの時点でなにかが間違っている。
今日のお茶
『南糯山秋天散茶2013年』
南糯山秋天散茶2013年
南糯山秋天散茶2013年
南糯山秋天散茶2013年
こう推測してみた。
春の魅力は新芽・若葉に宿る。
秋の魅力は大きく成長した成葉・茎に宿る。
茶葉の成長度によって宿る内容成分は異なる。
秋ならではの魅力を求めるには、しっかり茶葉が成長するのを待ってから茶摘みをしなければならない。
揉捻しても繊維が硬くなって捩れずに開いたままの姿になる。茎も長いし太い。見た目が悪くて売り物にならないから、農家は自主的にはこの仕事をしない。なぜなら、春の茶葉のように見えたほうがよく売れるからだ。メーカーが秋の茶葉を大量に安く仕入れるのは、春の茶葉と混ぜ合わせて製品にするため。その需要が大きいので、秋に春のような新芽・若葉を摘むお茶づくりが蔓延している。
新芽・若葉を摘み取らずに1週間ほど待つよう農家にお願いしても、うまくゆかないだろう。ここは西双版納。依頼など無視して標準的なものしかつくらず、それにもかかわらず「特別な注文のために売り先が見つからない」と言って、報酬を要求されるにちがいない。だから、シーズン中の農地の一部を借りて、農家に住込みで働いて、こっちの自由にやらせてもらったほうが安全だろう。
と、シナリオを書いてみた。
はじめてのこと。慣れないこと。結果のわからないこと。そういうことをすると賛同者はいない。逆にそうじゃないと、たいして新しい試みではないのだ。
ただ、大きく成長した成葉・茎を重視したお茶づくりは、他の地域では行われている。新しいことではない。近年の西双版納ではしていないだけで、昔はそういう茶葉のお茶もあった。生活の黒茶がそうだったし、漬物の茶(食べる茶葉)もそうだった。単なる思いつきではないのだ。
製茶にもなにか隠れた問題があると思う。
萎凋の具合、炒り方、揉み方、なにかひとつ間違えば、秋の魅力が半減してしまうようなところもあるだろう。茶葉の微妙な変化を読み取って判断したい。
秋の魅力をしっかりイメージできるように、これから1ヶ月ほどを過ごしたい。
ダイ族バナナ包み焼き
春肉
豚脳バナナの葉包み焼き
バナナの花バナナの葉包み焼き
涼片
もち米

ひとりごと:
上海からグルメの友人が来て4日間美味いものを食べた。
9月のはじめ。
旬が終わるもの。
このタイミングしかないもの。
旬が始まるもの。
山の幸、田んぼの幸、村の幸。
ダイ族料理
ダイ族料理
ダイ族料理
猪顔
ダイ族料理
9月になったとたん西双版納の天気が崩れた。秋のはじまりの長い雨。ザーッと降ってサッと止んでカラッと青空になる8月とは違う空気。雲が空に低く広がる。冷たいく細い雨が夜に降る。
このためキノコ類がいっきに減った。豆やイモ類は甘味が増した。瓜や青菜は苦味が増した。田んぼの用水路で捕れる小魚類が増えた。
季節の食材は今の季節を生きるために自らの身体の成分を調整している。
自分の身体もまた、秋の身体をつくるために季節のものを求めている。
秋の魅力をお茶に求めるのは、自分自身が秋の身体、秋の心になってゆくということ。
棘の草
ダイ族料理

漫撒古樹青餅2013年・緑印 その13.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山瑶洞古茶樹春茶
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : マルちゃんの片口・茶碗
緑印プーアル茶
漫撒古樹青餅2013年・緑印プーアル茶
漫撒古樹青餅2013年・緑印プーアル茶

お茶の感想:
森のお茶を飲むとその景色が想像できる。
行ったことも見たこともないのに、なんとなく分かる気がする。
森の空気を感じたことがあるような気がする。
そういう話を何度か聞く。
そのとおりだと思う。
身体という自分にある野生が、原始の森を知っている。想像しようと頑張らなくても、身体が勝手に思い出してくれる。そこに立つことができる。
風の道の茶葉に風が記録されていたように、森の茶葉には森が記録されている。
茶葉のミクロの組織が風や森を物理的に記録している。
ならば、我々の身体もミクロの組織のどこかに、物理的になにかを記録しているだろう。自分の一生にはない経験だとしても、先祖の経験がなにかを記録して遺伝しているだろう。
森を知らないわけがない。
今日はこのお茶。
+【漫撒古樹青餅2013年・緑印】
久しぶりに注文があり、手元のサンプルを飲んでみる。
漫撒古樹青餅2013年・緑印プーアール茶
緑印プーアール茶
緑印プーアール茶
しみじみ美味しい。
もう一杯・もう一杯・もう一杯・やっぱりもう一杯。
ずーっとこのまま飲んでいたくなる。
手足の指先が暖かくなってジンジンして、ゆったり湯上がりのような酔い心地が身体をめぐる。
何かに例えたくなる香りがあるわけでもなく、わかりやすい濃い味があるわけでもない。
自分の中のなにかが揺れて、すべてが淡く消えてゆく。流れてゆく。流されてゆく。見えないチカラに圧倒される。
典型的な西双版納の森のお茶。
緑印プーアル茶
西双版納に居て、中国の全国各地から来る小売店や卸売の人の茶葉の買い付けを傍らで見ているが、こういうお茶は難しい。多くの人がもっとわかりやすい美味しさを求める。それはきっとお客様にもわかりやすい、つまり売りやすいことを考えてのことだろうが、お客様がほんとうに求めているのは、わかりやすさよりもしじみじ美味しいことではないのか。何度飲んでも飲み飽きしないことではないのか。いつのまにか、もうこのお茶でないとダメと思えるような、言いようのない魅力ではないのか。
緑印プーアール茶
体感の心地よさ、その上質を短時間のティスティングで見分けるのは難しい。
このお茶を試飲していながら、それに気付かない人もたくさん見てきた。
自分の中の知らないチカラに気付きたくないのかもしれない。
出会わない人は出会わない。
出会わない時には出会わない。
ま、そんなものなのだ。

ひとりごと:
竹皮には抗菌作用があると言われるが、それは無菌状態だからではない。殺菌効果のある毒素があるからでもない。
竹皮の大好きな乳酸菌という細菌が、まだ水分のある一時期に住み着いて繁殖するからこそ、乳酸菌がつくって残した酵素(天然の抗生物質)の作用で、他の雑菌を寄せ付けないという仕組みだと思う。
竹皮
竹皮
(白い粉を吹いたようなのが乳酸菌のつくった成分)
竹皮に包まれた餅茶は、不測の事態でもしも水が掛かるようなことがあっても、水分を得た竹皮に乳酸菌が再度繁殖して、さらなる抗菌効果を発揮して、雑菌から守られるだろう。
これを、大手メーカーが「竹皮は細菌だらけでキタナイ」と宣伝して、安くて経済的なクラフト紙包みの自社の製品を肯定したことがあった。さすがにお茶ファンにはそのへんに知識のある人が多くて、大手メーカーのヘンな理屈は通らなかった。
消費者の知らないことを利用して、経済性や合理性のわかりやすい理屈で説得して、自分に有利な商売をしようとする。そんなことはあらゆるところにある。国の機関や大学の教授とつるんでいることもある。
お茶にそういうのを許したくない。
そういうズルい手口があるのを消費者に知らせるのは大事と思う。
ちょっとずつ紹介してゆきたい。

ラオス瑶族の散茶2013年 その7.

製造 : 2013年4月
茶葉 : ラオス古茶樹
茶廠 : ラオスの農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納ー上海ー京都密封
茶水 : 京都御所周辺の地下水
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
ラオス瑶族の散茶2013年
ラオス瑶族の散茶2013年
ラオス瑶族の散茶2013年
ラオス瑶族の散茶2013年
手
ラオス瑶族の散茶2013年
ラオス瑶族の散茶2013年
ラオス瑶族の散茶2013年
ラオス瑶族の散茶2013年
庭
梅雨。

ひとりごと:
マルちゃんの器
マルちゃんの器
マルちゃんの器たち。

漫撒古樹青餅2013年・黄印 その10.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
漫撒古樹青餅2013年・黄印プーアル茶
漫撒古樹青餅2013年・黄印プーアル茶

お茶の感想:
今日はこのお茶と、
+【漫撒古樹青餅2013年・黄印】
このお茶と飲み比べ。
+【祈享易武青餅2014年】
餅面の側のゆるいところの茶葉を崩して大ぶりの茶葉が多くなったので、なるべく合わせた。
茶葉の形や質感は似ている。
漫撒古樹青餅2013年・黄印と祈享易武青餅2014年
漫撒古樹青餅2013年・黄印と祈享易武青餅2014年
左: 漫撒古樹青餅2013年・黄印
右: 祈享易武青餅2014年
「黄印」の茶葉を採取した丁家老寨は「祈享」の一扇磨まで10キロ以内。
山の海抜も気候も、そして明朝の1600年代に農地として開拓された過去のあることも共通していて、品種はほぼ同じ。また、「熟した枝」をつくる栽培技術も古茶樹には継承されていて、お茶の味まで似ている。
「黄印」は軽発酵を少しすすめる工夫をした。
殺青後に布袋で保湿したので、翌日の晒干(天日干し)がスタートする時点での水分量が多いため、太陽萎凋のような効果がちょっとだけ得られる。作りたてから1年後くらいまで少し甘い香りを得たが、熟成3年弱になる現在は薬味のように変化して、スパイスとなっている。西双版納でダイ族の陶器の茶壺(あまり良いと思わない)に入れていた1枚なので、この変化はちょっと特殊かもしれない。京都の熟成壷の「黄印」は、たしか普通にいつもの甘い香りだった。
はじめの1煎め(両者ともキレイにつくっているので洗茶なし)。
漫撒古樹青餅2013年・黄印と祈享易武青餅2014年
香りの差が大きい。
「黄印」は薬味。「祈享」は緑茶。
2煎・3煎・4煎めとすすめるほどに「黄印」の薬味は薄れてゆき、「祈享」の緑茶っぽさも輪郭を失い、香りも味もよく似てくる。
3煎めくらいまでの「黄印」の喉越しが少し引っ掛かった。
単独で飲むと気付かないが、「祈享」と比べるとそれが分かる。4煎めからその差が薄れてきて6煎めには「黄印」も「祈享」もまったく同じ喉越しになる。
舌になじむ水質は1煎めから両者同じなので、おそらくこの場合の喉越しの引っ掛かりは、茶葉の育ちの差ではなく製茶の粗だと思う。「黄印」の殺青の技術の低いのが原因だろう。
生茶のプーアール茶を現地の茶荘で試飲すると、洗茶どころか3煎めくらいまでジャージャーと流して客に出す。製茶の粗や保存のトラブルが分かり難くなるからだ。
丁寧につくって大事に保存すれば、洗茶なしで1煎めから飲める。
漫撒古樹青餅2013年・黄印と祈享易武青餅2014年
漫撒古樹青餅2013年・黄印と祈享易武青餅2014年
漫撒古樹青餅2013年・黄印と祈享易武青餅2014年
漫撒古樹青餅2013年・黄印と祈享易武青餅2014年
7煎めに、湯の温度が冷めるくらいじっくり抽出すると、湯の色が褐色に変色していった。この変色のスピードが「黄印」も「祈享」もほぼ同じ。当初は「祈享」に火入れの強い緑茶的な性質があると見ていたが、それは間違いだったかもしれない。この2つは同じくらいの火入れ加減であると思われる。
漫撒古樹青餅2013年・黄印と祈享易武青餅2014年
漫撒古樹青餅2013年・黄印と祈享易武青餅2014年
左: 漫撒古樹青餅2013年・黄印
右: 祈享易武青餅2014年
葉底(煎じた後の茶葉)は、「黄印」に厚みがあり「祈享」は薄い。昨日の弯弓と同じ。おそらく「祈享」は茶摘みのタイミングが1日か2日ほど早いのだと思う。森林の影の水分量の多い漫撒山一帯に育つ品種の茶葉は、芽がすぐに開いてあっという間に大きな葉に育つが、厚みが加わるのはそこから数日かかる。

ひとりごと:
上海で出会った烏龍茶づくりの蔡老師が、
「萎凋という言葉は緑茶のためにあるのだぞ。」
と言っていたのを思い出す。
烏龍茶には使わないという意味だったと思う。
そのことがよく解らなかったが、今振り返ると、「祈享」は火入れの加減ではなく「萎凋」の加減で緑茶風味を得ていることにつながる。
萎凋の目的は殺青の前にどこまで茶葉の水分量を減らすか。水分量が殺青の香りを左右する。
殺青の鍋の中でどれだけしっかり火が(熱が)入るかというのが、緑茶的性質を決めるのではない。軽発酵をすすめるというのも、萎凋の直接の目的ではないのだ。

南糯蜜蘭青餅2013年 その8.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山老Y口寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納―上海
茶水 : 京都御所周辺の地下水
茶器 : 小さめの蓋碗
南糯蜜蘭青餅2013年プーアル茶
南糯蜜蘭青餅2013年プーアル茶

お茶の感想:
今日はこのお茶。
+【南糯蜜蘭青餅2013年 】
茶葉の粘着力が弱く手で崩せるくらいに圧延がゆるい。
指につまんだ感触がどことなく軽くて弾力がある。
静かに語るお茶『祈享易武青餅2014年』と似ている。
熱にやや弱いのも似ている。
蓋碗や茶壷で淹れるなら、1・2・3煎めくらいまではちょっとぬるめの85度くらいで淹れないと煮えすぎたようなアク味が出る。
製茶の仕上がりに共通しているところがあると思う。たぶんそれは殺青前の萎凋。
萎凋の工程で水分が少なくなった状態で、その後の殺青・揉捻・晒干が行われている。
南糯蜜蘭青餅2013年プーアル茶
これにより軽発酵の具合が異る。
軽発酵の仕上がりを左右する条件は、茶葉の成分、茶葉の水分、茶葉の揉捻の加減、日照、気温、湿度、風、気圧、茶葉を広げる笊などの素材の特性、などなど多岐にわたり、お茶の味に多様な結果をもたらす。
現在のプーアール茶の原料となる晒青毛茶づくりにおいて、殺青前の萎凋はあまり意識して行わないが、意識して行うと結果的に茶葉の水分量を減らして、後の工程の殺青・揉捻・晒干に影響するのだな。
とくに晒干(天日干し)は水分が少ないと一日で完全に乾燥しやすくて都合が良いけれど、お茶の味にとってどうかは別。
南糯蜜蘭青餅2013年プーアル茶
南糯蜜蘭青餅2013年プーアル茶
南糯蜜蘭青餅2013年プーアル茶
南糯蜜蘭青餅2013年プーアル茶
『南糯蜜蘭青餅2013年』は、比較的重たい味の南糯山のお茶にしては軽い。苦底(ku di)と呼ぶ後味の苦味も、低温ではほとんど出てこない。4煎めくらいから変化をつけるために沸き立ての湯で淹れると苦底が出てくるが、あくまでやさしい。
煎がすすむにつれての味の変化も『祈享易武青餅2014年』に似ている。
そういえば、上海の老板は萎凋のタイミングを測って夜中に殺青・揉捻することもあると言っていた。
これまでの当店のお茶はどちらかというと殺青・揉捻の後の軽発酵のすすみ方に注目していたから、萎凋の工程での軽発酵をどう見るかじっくり検討したい。
でも、直感的には殺青・揉捻の後の軽発酵がポイントだと思っている。昔のプーアール茶の銘茶はそういう味がするから。
南糯蜜蘭青餅2013年プーアル茶

ひとりごと:
当店のお茶会は、
新作発表会ではないし、
勉強会でもないし、
パーティーでもないし、
いわゆる茶席でもないし、
なんだろ・・・。
プーアール茶ドットコムのお茶会
プーアール茶ドットコムのお茶会
プーアール茶ドットコムのお茶会
プーアール茶ドットコムのお茶会
お客様の顔を見て、ちょっと会話して、お茶を選んで飲んでみて、感想を聞きつつ、また別のお茶を飲んでみる。
ゆっくり味わう。
それだけ。

易武山落水洞の散茶2013春 その5.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山落水洞古茶樹
茶廠 : 農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 京都 ステンレス茶缶
茶水 : 京都御所周辺の地下水
茶器 : 小さめの蓋碗
寒椿
雪景色
雪景色

お茶の感想:
「良いお茶をどうやって見分けるのでしょうか?」
お茶を買う前とか、
買って飲んでみたときとか、
そのお茶がいかほど良いのか?
買い物は成功したのかどうか?
というのを、なにを基準に判断したらよいのか、わかりやすい見方があれば教えて欲しい。
つまりそういう質問だと思う。
おそらくこの答えは、
良いのに出会って、たくさん出会って、まずは良いのを知ること。
それしかないと思う。
ということは、残念ながら質問の期待に反して、良いのを知る前からそれを知ることはできないということになる。
同じように、
「紫砂の茶壺を選ぶのに、良いのはどうやって見分けるのでしょうか?」
という質問に対して、ある老師は、
「耳に当てて(貝殻の海の音を聞くように)良い音のが良い茶壺」
と答えたらしいが、良い音とはどういう音なのか?
これもまた良いのを知る前から知ることができない。
このお茶、
+【易武山落水洞の散茶2013年】
ささやくような語り口の美しいお茶。
易武山落水洞の散茶2013春
易武山落水洞の散茶2013春
易武山落水洞の散茶2013春
易武山落水洞の散茶2013春
この一年、そういうお茶との出会いがあったから、今はこの良さがわかる。
2013年の春にこの茶葉に出会った時には、そこを見る眼がなかった。
たまたま、茶葉を圧餅(圧延加工)しているところで蘭香のウットリするような香りに鼻をくすぐられたから、このお茶に注目できたのであって、もしも試飲だけで選ぶとなったら見逃していただろう。なぜなら、淹れたお茶の風味に蘭香は現れないから。
出品時に書いたお茶の紹介のページにも、「蓬(ヨモギ)のような草っぽい香り。」と書いていて、蘭香については触れていない。
蘭香が消えたのではない。内包されて隠れているのだ。
何度かこのお茶を淹れてみて、微かに蘭香が現れたり消えたりするのを体験している。どういう条件でそうなるかはまだ特定できないが、煎を重ねてゆくと、4煎めくらいから次元の違う風味の出てくるのを知っている。
こういう静かな語り口のお茶を今は知っている。
樹齢がより古いとか、原生の品種に近いとか、熟した枝の栽培方法であるとか、森林の環境が良いとか、製茶がていねいだとか、お茶の風味の表れ方から読み取れるようになっている。
この一年の進歩は大きかった。
「良いお茶をどうやって見分けるのでしょうか?」
来年の暮れにはもっとカッコイイ回答ができるようになるぞ。

ひとりごと:
チェコの陶芸作家さんの茶壺。
チェコの陶芸作家さんの茶壺
チェコの陶芸作家さんの茶壺
チェコではいろんな国のお茶を用いたお茶会が盛んらしい。
もちろん、お茶は地元にはないから、世界からいろんなお茶を取り寄せて、チェコの人の感覚で自由にアレンジしているらしい。
そういうふうに楽しむ心から生まれたことを、伝統が忘れてはいけないよな。

老瑶古樹青餅2013年 その3.

製造 : 2013年4月
茶葉 : ラオス古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒山工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
老瑶古樹青餅2013年

お茶の感想:
「われわれの試飲に間違いがあったのです!」
まっすぐに突っ走るタイプの広東人茶飲み友達が、あるサンプルのお茶を久しぶりに飲んでみたら、当店で飲み比べたときとぜんぜん違う味だった。
たいしたことのないお茶と評価したのは間違いで、たいしたお茶だと言う。
そのお茶は「薄荷塘」と呼ばれる地名のお茶。
薄荷塘は漫撒山の弯弓の奥地の国有林にあり、野生化して育つ大きな茶樹があり、雑誌の写真で見たことがあった。また、北京人の愛好家は一度そこへ足を運んでいて、スマートフォンで撮った写真を見せてくれたことがあった。
薄荷塘の名前の通りに、お茶の味は甘さと冷たさとを合わせ持つ。氷砂糖のようだと聞いたこともある。その特徴と希少性から高値がつく。
自分はそのホンモノを知らない。
高値の付くお茶の宿命で、偽物が多く、よほど信用できるサンプルでなければ試す価値ナシと思って、だから、広東人が入手してきたサンプルを甘く見ていた。
たしかに、試飲方法に問題があった。
いつもよくやる飲み比べ。
裏目に出るとは思わなかった。
前回その薄荷塘を試した時は、同じ漫撒山の「弯弓」や「丁家老寨」といっしょに比べたのだった。
プーアール茶晒青毛茶飲み比べ
薄荷塘は香りが弱かった。
しかし、香りの弱いのが薄荷塘のお茶。
広東人の家であらためて単独で飲んでみると、やはり香りは弱く、易武山一帯にはありふれたふんわり甘い系統。
そして、たしかに氷砂糖のような味。お茶は熱いのに、一瞬冷たいと錯覚するような刺激があり、透明な甘味がパッと広がって消える。絶妙なバランスの苦味も現れては消える。この消えの美しさが空間をつくる。そう、易武山の「無い味」の錯覚。渋味は「麻」と呼ぶヒリヒリが口に残って余韻をつくる。これは森の野生育ちの茶には必ずあるもので、嫌な感じはない。
いくらでも飲める。すっと体の奥へ入り、もっと欲しいと感じる。
2014年の春のお茶。まだ若いはずなのに酔い心地はやさしく、力強い。
お茶の表現は完成している。これに香りなんていらない。
漫撒山のお茶はもともとアピールが弱いが、薄荷塘に比べたら、弯弓や丁家老寨のお茶は主張する。香りがあり、渋味や苦味に輪郭があり、そのバランスで甘味も際立つ。
だから同時に飲み比べたら、薄荷塘の静かな語り口が聞き取れない。
ささやきと、底に秘めた力強さ。それこそ漫撒山のお茶の個性じゃないのか?
また、お茶の体感の良し悪しは単独で飲まないことにはわからない。2つのお茶を飲み比べたら、酔い心地がミックスになる。
プーアール茶晒青毛茶飲み比べ
プーアール茶晒青毛茶飲み比べ
プーアール茶晒青毛茶飲み比べ
ふりかえってみると、今年の春に2度か3度、そして秋に1度、薄荷塘のような香りの弱い森の古茶樹のサンプルを試した記憶がある。
逃した・・・と思う。全体の産量から考えると、薄荷糖のような個性は、より希少性がある。
単独で飲んで体感の印象が良いお茶。香りのアピールの弱いお茶。
今日はこれを単独で飲んだ。
+【老瑶古樹青餅2013年】
老瑶古樹青餅2013年プーアル茶
老瑶古樹青餅2013年プーアル茶
老瑶古樹青餅2013年プーアル茶
甘味の現れ方消え方は薄荷塘にそっくり。弱い香りもどことなく似ている。苦味のスパイスがちょっと弱いような気がする。冷たく感じる刺激はちょっと遅れる。製茶の雑さが味を少しだけ濁している。体感はゆったり。1年熟成されているので、ふくよかな酔い心地。
薄荷塘のお茶が注目されだしたのは2年前からだと思うが、そのお茶の独自な語り口を見つけて、高い価値をつけた茶商が居るのだな。
そういう仕事ができるようになりたい。

ひとりごと:
この数日でぐっと気温が下がって、今年の秋は終わった。
2014年は市場が荒れた。
お茶の高値に狂った農家が乱獲するのを止められないので、農地を避けて、国有林のお茶に注目したが、森の中のお茶はいろいろ安定しない。入手する手段も整わない。当店の運営面での迷走も、このままでは止められない。
なんとかしたいと思う。

漫撒古樹青餅2013年・青印 その15.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
漫撒古樹青餅2013年・青印プーアル茶

お茶の感想:
親子三代でプーアール茶の問屋をしている広州の若い老板が訪ねてきて試飲会となった。
彼もまた西双版納に住んで、季節の茶葉を集めている。何度か顔を合わせていたが、直接話したことは無かった。先日易武山の工房でバッタリ会って、『易武単樹青餅2014年・秋天』の晒青毛茶を試飲していたので、意見を聞いたのだった。
広州を含む広東省は、プーアール茶の流通量も消費量も最大の地。そこで老舗の茶商というと、1970年代の老茶からの顧客もいれば、イギリスやフランスの店の顧客もいる。だからちょっと味の好みが違う。流行も違う。
当店のオリジナルのお茶をざっと口頭で紹介して、試飲に選ばれたお茶。
+【易武古樹青餅2010年】
+【丁家老寨青餅2012年】
+【漫撒古樹青餅2013年・青印】
+【弯弓古樹青餅2014年】
+【倚邦古樹青餅2014年】
+【老瑶古樹青餅2013年】
漫撒古樹青餅2013年・青印プーアル茶
易武山・象明地区のお茶に集中したのは偶然ではない。
最後にラオスのお茶『老瑶古樹青餅2013年』を試したら、
「これは、わからない。」
と言われた。評価する基準を持たないお茶は勉強にもならない。そうは言わないけれど、そう言いたそうな雰囲気を感じた。
易武山・象明地区のお茶については、広州の若い老板の手元にもサンプルが豊富にあって、常に試していて、体が憶えているのだ。
広州の店では定期的に試飲会をしていて、一度に12人のお客様を呼んで、3種を4回、つまり12種を一日がかりで飲む。ミネラルウォーター30リットルを消費するらしい。
そんな広州の若い老板の選んだ一番は『倚邦古樹青餅2014年』。
倚邦古樹青餅2014年
倚邦の割に甘味の強いのが高ポイント。(補足:この地域のお茶は、香気が強いと甘味が弱い。甘味が強いと香気が弱い。両方強いのは珍しいということ。)個人的な好みでも「曼松」(同じく倚邦山の地域で小葉種の古茶樹である)が好きらしいから、この結果には納得。
次に選ばれたのが、『漫撒古樹青餅2013年・青印』。
漫撒古樹青餅2013年・青印プーアル茶
漫撒古樹青餅2013年・青印
これはちょっと意外。おそらく、成熟した広州の味の嗜好だったらコレを選びますよ!ということを伝えたい気持ちがあったと思う。キレイに薫るのは同じ原料の『丁家老寨青餅2012年』だが、「青印」は二度炒りで火の味が強くて、だからこそ導き出される香気や滋味に魅力がある。そこを評価したいらしい。
漫撒古樹青餅2013年・青印プーアル茶
全体的には、お茶の素質よりも製茶の出来にこだわって評価するので、聞いてみたら、お客の好みの潮流(流行)があって、昨年くらいから製茶の良し悪しをうるさく言うのが流行っているらしい。
いろんなお茶が集まる茶博会(お茶の展示会)でも、まずは製茶の出来という観点で良し悪しを見る。初心者にはわかりやすい観点で、つまり、なんだかんだ言っても広州でも新しいファンが市場を動かしているということか・・・。
面白い喩え話をしてくれた。
洋服の流行について、現在は友達と同じ服を着るのは嫌だから、ネットショップを見ても色とりどりだけれど、10年前はみんな同じ服を欲しがっていた。お茶の味もまた、お客の舌が成熟してきたら、個人の好みをあれこれ言うようになって、製茶の良し悪しのような単一的な見方をむしろ嫌うだろう。でもまた別の標準ができたら、みんながそれを追いかけて・・・というのが繰り返されるのが市場。

ひとりごと:
だから中国茶は広く深く。バラエティーに富むのだろう。
世界の新しいお茶どころは、商業的な成功と流行を追いかけるあまり、「標準」をつくりすぎているかもしれない。中国は人口が多くて、地域的な違いも大きくて、嗜好が単一化しにくい。多様性を受け入れる熟した市場が、お茶のバラエティーを育む。しかし、標準化がなければ技術の成熟はない。
このバランスだろうな。右へ左へ揺れながら、市場が熟してゆく。
ところで、
広州の若い老板は、単樹のお茶を数年間試したが、昨年から避けているらしい。なぜなら個性が強く出すぎて、お客様によっては難しいからだ。
小さな当店が生き残るために、この方向は有効なのかどうか、じっくり検討しようと思う。
プーアール茶の試飲
プーアール茶の試飲
(帰ってからも、もう一度ひとりで、今日の言葉を振り返りつつ試飲。)

易武荒野大餅2013年 その3.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山
茶廠 : 農家+易武山工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
易武荒野大餅2013年プーアル茶
易武荒野大餅2013年プーアル茶

お茶の感想:
辺境のお茶どころとしての長い歴史に培われた社会環境により易武山の人はウソつきなので、このお茶にはなにかカラクリがあるだろうと出品してからも疑いが晴れない。しかし、餅茶の内側に硬く育った「黄片」(一般的にはハネる)を取り除かずに混ぜているくらいで、その他に問題は見当たらない。黄片の様相から見ても早春の茶葉に違いなく、それならむしろ香り高いから、野性味あるお茶としてマイナス要素にはならないだろう。
いちばん警戒したのはブレンド。比較的量産できる台刈りした農地の古茶樹の茶葉を混ぜて、コストを落としているかもしれないと疑ってみたが、一般的な易武山の茶葉よりも格上の質であることは明らかで、格下の茶葉のブレンドは見つけられない。
易武荒野大餅2013年プーアル茶
ただ、ありのままの価格。安くないのだ。
春の4月の有名茶山の古茶樹の、その中でも上質なほうのお茶が秋の10月になっても現地にまだ残っているのは珍しい。理由はひとつ。安くないからだ。
工房は意図してカンタンに売らない方針でいる。新しく建てた倉庫の熟成に自身があるらしく、何年か熟成させて、もっと高く売るつもりかもしれない。
逆に見ると、原料の茶葉の素質に自身があるということかもしれない。
易武荒野大餅2013年プーアル茶
易武荒野大餅2013年プーアル茶
易武荒野大餅2013年プーアル茶
今日はサンプルと餅茶を崩したのとを比べてみた。
(サンプルと製品が異なるのはよくあることだから。)
色の出方がちょっとだけ違ったが、それは采茶の日が異なるとか、採取した茶樹が異なるとか、そのくらいの理由で、飲んでみると味も香りも同じ。製品のほうが香りが良いのは保存状態が良いからだと思う。湿度の低い乾倉の味。
易武荒野大餅2013年プーアル茶
易武荒野大餅2013年プーアル茶
易武荒野大餅2013年プーアル茶
アピールの強いお茶ではない。
これといった個性はない。
そこがまた鑑定を難しくしている。
例えば「落水洞」のお茶は「落水洞」の個性がはっきりしなければ、たとえ本物でもパスする。ところが、このお茶「荒野」は易武山としての個性はあるものの、その一帯の中のどの地域かを特定できるほど際立ったところはない。
水平鍋で炒った特徴の「火味」があることは前回の記事で書いたが、もうひとつ、製茶の工程の「萎凋」の時間が短すぎるという問題がある。
電気もない山小屋に鉄鍋を持ち込んでの作業は、まだ空の明るいうちに殺青を済ませることになるので、おのずと萎凋の時間が短くなる。本当に山奥で作業しているのだ。
萎凋で香りが開いていないから、採取地による香りの特徴が隠れて没個性になる。
静かな表現のお茶。

ひとりごと:
易武山の人はウソつきなので、しっかりお茶の勉強をさせていただける。
これからもこの調子でお願いしますと言いたい。


茶想

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