プーアール茶.com

茶教室・京都

易武天龍餅06年 その2.

製造 : 2006年5月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山三合社古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包+竹皮筒
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
「我々が故郷で飲んでいたのは、ゴミ茶だったのです!」
広東人の茶友が興奮気味に語るのは、広東省の広州や深センなど湿度の高いところで保存熟成されて、味の落ちたお茶。
ゴミ茶
(ゴミ茶と認定された生茶のプーアール茶。蛮磚と地名が書いてあるが、別の地域の茶葉も混ざっている。西双版納で8年ほど保存されたもの。)
昔の易武山の茶葉でつくった生茶のプーアール茶は黒麹菌主導の微生物発酵していたので、熟成すると甘い蜜のような香りが出てくる。
それが広東人の嗜好に合うので、できるだけ早くその味に近づけようとして、微生物発酵していない現代の生茶を湿度の高い倉庫に保存して、5年くらいで老茶の味に近づけようとする。
もしかしたら湿気た茶葉に微生物がついて変化するかもしれないが、それは黒麹菌とは限らない。悪いカビかもしれない。
実際のところそれは昔の易武山のお茶の味ではない。
しかしホンモノの味を知る人の数は少ない。
不良発酵したり傷んだりした味の落ちた茶葉が市場にたくさん出回っている。
またそれを普通に飲んで慣れてしまっている人が多い。
近年は、西双版納の産地で何年か熟成させたお茶も出てきて、地元のお茶屋さんにも10年モノのお茶が少なからず売られるようになった。西双版納は広東ほど高温多湿ではないが、倉庫にする部屋の環境は様々。
例えば、住宅の一室を倉庫代わりにしている場合、1階は湿度が高く、3階以上は湿度が低い。この差がお茶の熟成を左右する。
ある日、易武山の老師がごくカンタンな見分け方を教えてくれて、目からウロコの落ちる思いで広東人はスッキリしたのだった。
さて、その見分け方をこのお茶で検証してみよう。
+【易武天龍餅06年 その1.】(未出品)
易武天龍餅06年プーアル茶
このお茶は西双版納孟臘県易武山の個人所有で、易武山の倉庫で眠っていた。2006年年制で現在8年モノ。常温保存で、たまに倉庫の風通しを良くするくらいで、乾燥状態を保つ特別な工夫はされていない。
易武天龍餅06年プーアル茶
易武天龍餅06年プーアル茶
プーアール茶マニアならサンプルとして持つ価値はあるが、美味しいお茶として紹介するには気が引ける。茶葉の素質がいまひとつ。
易武天龍餅06年プーアル茶
注目するところは、葉底(煎じた後の茶葉)。
易武天龍餅06年プーアル茶
とくにその茎の部分。
易武天龍餅06年プーアル茶
昔の微生物発酵していた生茶は、葉の色と茎の色が違わない良好な熟成。
易武天龍餅06年プーアル茶
茎の色が黒く変色しているのは不良な熟成。ゴミ茶の証。
この見方が普及するとプーアール茶市場からゴミ茶が激減するだろう。
ゴミ茶
ゴミ茶
ゴミ茶と認定された生茶のプーアール茶。茎を見なくても飲めば分かる。やはりこれは救いようがない。

黒く変色した茎のお茶に良いのは少ないけれど、美味しくて体にやさしいお茶があるかもしれないので、その可能性は捨てないでおきたい。

易武天龍餅06年 その1.

製造 : 2006年5月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山三合社古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包+竹皮筒
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
広東の茶友が香港へ行って、老舗の茶荘で1990年代の易武山の老茶(生茶)を飲んだ。
あまりに渋いのと葉底(煎じた後の茶葉)が貧弱なのとで、「偽物?」とつぶやいたら老板に聞こえてしまって、「お代(60元)はいらない。」と言われたけれど、それはいけないので払ってきた・・・と話す。
「それはホンモノだし、渋いのも仕方がないし、だいたい60元でちゃんとしたのが飲めると思うのがおかしい。」
と話した。
香港の老舗茶荘で試すべきは1980年代のもの。
1990年代からはなにもかも変わってしまって、老舗だから良いものがあるわけではない。
「たしかに香港の茶荘には1ポット900元以上のがあった。」と茶友は言うので、それこそが試すべきお茶だった。
易武天龍餅06年プーアル茶
『易武天龍餅2007年』の出どころは易武山の個人。
この個人からは過去にお茶を仕入れたことがある。
原料の茶葉は易武山三合社の古茶樹。
+『西双版納の江北の茶山について』
このページの「易武山の気候と古茶樹」の、山に霧のかかった写真が三合社。
易武山三合社
易武山三合社
易武山三合社
易武山三合社
易武山の老街に近い彝族(イ族)の村。
茶樹は台刈りされて人の背丈ほどしかないが、幹はそこそこ太い。
一本一本独立しているが、その密集度からみて1800年代に開拓された農地と思われる。
したがって古茶樹と言っても樹齢200年くらい。麻黒や落水洞に似た中葉種的な大葉種で、原生品種のような特殊な大きな葉のは少ない。
茶樹の大きさがそろっているところから、実生(種から育つ)ではなくて、200年前にどこかでまとめて苗を育てた可能性が高い。
このお茶の特殊性は保存熟成にある。
1980年代後半に台湾で老茶ブームがあってから、易武山で長期熟成の試みが増えた。
かつての1980年代の老茶のような味を再現したいから。
一般的には、お茶として仕上がったら(原料の毛茶にしても圧餅にしても)すぐに外地へ出荷している。
さもなければ山の高い湿度で湿気た風味になる。
金花のプーアル茶
(2014年5月に仕入れたその日の写真)
このお茶『易武天龍餅2006年』には金花と呼ぶ良性の麹菌の付着した跡が見られた。
無加水での微生物発酵だから、昔のタイプの生茶のような風味が再現されるかもしれない。
金花を意識して育てる湖南省の”六安”や広西省の”六堡”ほどは繁殖していないが、良いサインだと解釈している。
易武天龍餅06年プーアル茶
易武天龍餅06年プーアル茶
期待して飲んでみたが、昔の1980年代の生茶の味とはぜんぜんつながらない。
かすかに蜜香の甘い香りはあるものの、湿気て劣化した味が気になる。
かつて微生物発酵していた生茶の甘さと酸味は明らかに黒麹のつくる風味。
微生物が違えば風味が違う。

大益茶磚老茶頭06年 その1.

大益茶磚老茶頭06年プーアル茶大益茶磚老茶頭06年プーアル茶
製造 : 2006年
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 孟海茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 広州ー上海ー日本 紙箱
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水 
蓋碗できっちり。

お茶の感想:
「老茶頭」というのは、熟茶づくりの堆積発酵のときに、水分を含みすぎた茶葉がくっついて小石のように固まった状態のもので、いわゆる半端モノ。かつてはお茶の専門店にだけ流通していたはずだけれど、孟海茶廠がこれを圧延加工して製品化した『大益茶磚老茶頭06年』がヒットしたせいか、後に老茶頭を意図してつくるような製品も増えてきている。
当店オリジナルの熟茶『版納古樹熟餅2010年』でも老茶頭が少しできた。
【版納古樹熟餅2010年プーアル熟茶 その5】
その他にも、1990年代中期の『醸香老茶頭散茶90年代』や、アウトレットで布朗山古茶樹の老茶頭を出品したことがあった。
【醸香老茶頭散茶90年代】
発酵に活躍する良性の菌類には好気性のものと嫌気性のものとがあって、基本的には好気性のものが多いはずなので、なるべく水分の偏りをつくらないよう丁寧に撹拌する。手間を掛けるほど老茶頭は少なくなる。
なので、個人的にはあまり評価していない。
大益茶磚老茶頭06年プーアル茶
老茶頭の特徴は、発酵がすすんだ茶葉が黒く焦げたようになり、黒々とした茶湯が抽出されること。しかし、色のわりにはあっさりした風味になる。
『大益五級熟茶磚06年』の栄養豊富な大きめの茶葉と同様に、発酵がすすむほどに甘味・旨味が増え、渋味・苦味が少なくなる。そのまま飲んでも甘味・旨味の多いことに気がつきにくいが、ミルクティーにするとわかりやすく現れる。
香りに甘いところがって、パンの酵母や白ビールの酵母を連想させる。

ひとりごと:
大益茶磚老茶頭06年プーアル茶
液体のとろみが強いので、寒い冬のほうが身体が美味しがるだろう。

大益五級熟茶磚06年 その2.

大益五級熟茶磚06年プーアル茶
製造 : 2006年
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 孟海茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 広州ー上海ー日本 紙箱
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水 
蓋碗できっちり。

お茶の感想:
3煎め4煎めになってくると穀物っぽいふくよかさがさらに前に出て、お茶っぽい渋味・苦味がさらに薄れる。とろんとした液体の舌触りや、強い甘味・旨味がお茶ばなれしていて、その点ではじめての人を喜ばせることはできると思うが、毎日飲みだすともの足りなくなるだろう。精彩に欠けると思う。
新芽や若葉は輪郭が不鮮明でぼんやりしていると『天福雲南貢餅熟茶00年』の試飲で書いたけれど、やはり茶気の強さはお茶のお茶たる味の骨格をつくる重要な要素だと思う。
【天福雲南貢餅熟茶00年 その1.】
大益五級熟茶磚06年プーアル茶
4煎め5煎めになってくると、またちがった印象が出てくる。
ここでやっと以前にあった煙燻香が感じられる。煙燻といっても刺激的なものではなくて、熟成で枯れてちょっと甘いようなところもあり、お香を焚いた部屋から漂ってくるようなかすかな存在。麦茶の焙煎香のような主張はない。
透明でとろんとした液体+お香。
これで何煎かいける。

ひとりごと:
道具がよいから削るのが楽しい。
うなぎの目打ち

大益五級熟茶磚06年 その1.

大益五級熟茶磚06年プーアル茶大益五級熟茶磚06年プーアル茶
製造 : 2006年
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 孟海茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 広州ー上海ー日本 紙箱
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水 
蓋碗できっちり。

お茶の感想:
ひきつづき2006年の熟茶。
おなじく大益ブランドの孟海茶廠のもので、
「五級」と名が付くくらいなので、5級の茶葉メインでブレンドされているのだろう。
比較的大きく育った茶葉であるが、熟茶の開発ベースとなった生茶の磚茶は、遊牧民の生活のために栄養豊富な長い茎や9級くらいまで成長した粗葉も使用されていたので、それからすると5級はまだ若葉のうちと言える。
若葉が大きく育つと光合成の生産活動が盛んになって成分が変わる。茎には糖質や澱粉質の蓄えが増える。
お茶の渋味や苦味はより強くなるはずだが、発酵によってコクや旨味に変わるものがあるので、わかりやすく味の濃いお茶になる・・・・はず(理屈では)。
孟海茶廠の国営時代の『大益茶磚』の後継モデルだと思う。
【大益茶磚96年プーアル茶】
と、思ってこのページを見たら『大益五級熟茶磚06年』が味比べに登場していた。ここでは熟成年月の浅い熟茶の「鰹節臭」があると書いているが、それから何年か経ってずいぶん印象が変わった。
遊牧民のバター茶はヤカンで煮出して淹れるくらいだから、大きめの葉のこのお茶は洗茶をさっと済ませて1煎めからじっくり抽出する。
この時点で吟醸酒にあるような米の甘い香り。
煙燻香があったと記憶していたがまったく消えていた。
ひとくちすると、とろんとした舌触り。するっとなめらかな喉越し。甘味・旨味が濃いけれど澄んだ綺麗な味。お茶のお茶たる渋味・苦味が少ないので、むしろ薄いと感じる。
お茶の味のどこを見るかでちがってくる。
「大益7562熟茶磚06年」が濃いと感じる人は、お茶の渋味・苦味を見ている。
「大益五級熟茶磚06年」が濃いと感じる人は、お茶の甘味・旨味を見ている。

ひとりごと:
八坂さん八坂さん
散歩。

大益7562熟茶磚06年 その2.

大益7562熟茶磚06年プーアル茶大益7562熟茶磚06年プーアル茶
製造 : 2006年
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 孟海茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 広州ー上海 紙箱
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水 
蓋碗できっちり。

お茶の感想:
半日かけて、5煎、6煎、7煎くらいまで飲んだ。
じっくり抽出すればまだ味わえそうだったけれど、もう十分。
最後までクリアーな味。
お茶の渋味・苦味が抜けて、穀物風味だけになってゆく。お茶漬けのお茶みたいな感じだろうか。腹にやさしそう。
香りは煎を重ねるほどに軽快。最後のほうは菊の花のような解毒の雰囲気さえあった。
生茶はともかく、熟茶については「孟海茶廠」と「下関茶廠」の2大メーカーの安定感はすばらしい。
ちなみに元祖「7562茶磚」は生茶であった。
しかも下関茶廠であった。
【7562磚茶プーアール茶】

ひとりごと:
手水舎(ちょうずや)
手水舎(ちょうずや)

大益7562熟茶磚06年 その1.

大益7562熟茶磚06年大益7562熟茶磚06年プーアル茶
製造 : 2006年
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 孟海茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 広州ー上海 紙箱
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水 
蓋碗できっちり。

お茶の感想:
雨の日は熟茶のほっこり味。
今回試飲するのは過去に当店本部で扱ったことのあるほう。
【大益7562磚茶06年プーアル茶】
これは保存場所がちがう。雲南省の昆明の海抜1900メートル以上なのでやや空気が薄い。そして広州や上海よりも乾燥している。
基本的に乾燥状態で保存しているので大差はないだろうと思う。
磚茶(レンガ型の圧延茶)は硬いからうなぎの目打ちを斜めに入れて欠片をひろう。
そのまま蓋碗に入れて湯を注ぐ。
欠片をほぐす手もあるが、何煎かするうちに茶葉が湯でふやけてほぐれてくるのが好きなのだ。
大益7562熟茶磚06年プーアル茶
一煎めは淡い。
バニラのような甘い香りがかすかにある。
麦茶や番茶みたいにスッキリ透明で、泥臭味なんてまったくない。
二煎めはちょっと濃くした。それでも透明感ばっちり。穀物系のコクが少し加わる。
バランスが良くて甘いほうへも苦いほうへも振れない。
三煎めはもうちょっとじっくり煮出してみたら、渋味と苦味、そして奥のほうに薬草っぽい香りが加わって爽快感すら出てくる。
チョコレートが食べたい。

ひとりごと:
雨
しとしとぴっちゃん。

1

茶想

試飲の記録です。
プーアール茶.com

・キーワード検索

通信講座

開催中
+【通信講座】

・カレンダー

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2024 >>

・表示されている記事

・お茶と年代のカテゴリー

・記録

Instagram

お茶の歴史
お茶の歴史 (JUGEMレビュー »)
ヴィクター・H・メア,アーリン・ホー

・サイトリンク

・プロフィール

 

mobile

qrcode

powered

みんなのブログポータル JUGEM