プーアール茶.com

茶教室・京都

厚紙黄印七子餅茶 その3.

製造 : 1995年
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶崩し
保存 : 香港ー広州ー上海−日本ーチェコ密封
茶水 : チェコの水道水・ブリタ濾過
茶器 : チェコ土の茶壺と茶杯
窯入れ
氷柱
火入れ開始
薪をくべる
窯の炎
焼けるレンガ
窯に吸い込まれる炎
煙突から吹き上がる炎
燃え上がる炎
1270度
窯の隙間から見える赤い火
窯出し

お茶の感想:
茶壺をオーダーするつもりでチェコに来たが、すでにつくられた茶壺の中から選ぶしかないとわかった。
自分が思ったようなのを作家がつくれるわけがない。西双版納の自然栽培のお茶と同じ。
窯出し
プーアール茶に向いていそうな茶壺をどう選ぶか?
持参した茶葉でお茶を淹れてみる。
窯出しの後、土の匂いを茶葉で煮て消してからお茶を淹れる。
水の注ぎ、重量バランスの良さ、持ちやすさ、など、すぐにわかることもあるが、わかるのに時間がかかるところもある。
持ち帰ってひとつひとつをじっくり使ってみるしかない。
半年以上かかるだろう。
プーアール茶向けの要素みたいなのを見つけたい。
グラスの杯
お茶の味わいと道具の味わいについて考えることがあった。
チェスケー・ブジェヨヴィツェのアンティークショップでマルちゃんが見つけたグラスの杯。
グラスの杯とチェコ土の杯に同じお茶を注いで飲み比べたときに、自分はグラスの杯が美味しくて、マルちゃんはチェコ土の杯が美味しいと評価した。
グラスは白磁の杯に似て、すべての味がまっすぐ現れる。
チェコ土の杯は味が隠れて、ぼやけたりくすぶったりする。
プラハのお茶の店のトーマスもグラスの杯を選ぶだろうとマルちゃんは言う。
仕事柄、自分はトーマスと同じモノサシでお茶の味を見ているかもしれない。
手元に試飲の順番待ち茶葉がたくさんあって、ひとつのお茶を一日かけて味わう暇はない。味が隠れているのは困る。
そういえば、最近ひとりでお茶を飲むことが多くなった。
試飲が目的なので、他人といっしょに飲んでいたら時間がかかって効率が悪い。茶友たちの無駄なサンプルを試飲するのを避けたい。
お茶の味だけを見たい。
茶壺を味わう
茶壺
お茶の味わいは味や香りだけではない。
茶会では、もっと総合的な美とか作法とかを鑑賞される。
茶縁という言葉があるように、お茶が人との出会いのきっかけになることもある。そうなるとお茶の味は重要ではない。
石の表
石の裏
チェコ土のマルちゃんの作品の味わいを味わう。そのためにお茶を飲む。
道具をつかいこなす味わいを味わう。
池のほとりの森
赤松の葉と雪
池の上を歩く
池の上でお茶の用意
凍った池の上で温かいお茶。
遠い昔にレンガづくりのために掘られた大きな穴に水が溜まって池になたところ。
小川が流れ込んでいるので水は綺麗。
夏は砂浜のビーチになる池で、キャンプの人でいっぱいになるらしい。
遠くに小さく見える人はアイスホッケーの練習をしている。
氷の上で飲んだお茶には特別な味わいがあった。
寒いだけでお茶の味など味わえなかった。
どっちなのかよくわからない。
家に戻ってから、かじかんだ手を薪ストーブにかざしてもみもみしながら飲んだお茶のほうが美味しかった。
氷の上でお茶
厚紙黄印七子餅茶
+【厚紙黄印七子餅茶】
マルちゃんの作品は、みんなが認めるようなものではないから、他人の評価にフン!という態度でいられるような、使う人に強い意志が要るかもしれない。

厚紙黄印七子餅茶 その2.

製造 : 1995年
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶崩し
保存 : 香港ー広州ー上海−日本密封
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水

お茶の感想:
上海人とチェコ人のお茶好きから「あなたの選ぶ茶葉には共通するものがある」と言われた。
生茶・紅茶・熟茶・春のお茶・秋のお茶・易武山のお茶・巴達山のお茶・年代モノのお茶・・・・・・・。いろんなタイプがあるが、ひとつ共通した雰囲気があるらしい。
+『厚紙黄印七子餅茶』
1995年の熟茶。
プーアール茶がはじめてというコロンビアとイスラエルの旅人に出した。
熟茶はまず清潔であることが大事。
その次に水質がキレイで、舌や喉に心地よいこと。残らないこと。
ヘンな味がしないこと。
厚紙黄印七子餅茶プーアル茶
慣れない味のはずだけれど大丈夫そうだった。
『厚紙黄印七子餅茶』は広州倉で熟成させた独特の”土味”があった。
数年の熟成で土味は陳香に変わって、清らかで浄化されたような印象。
陳香は抽象的な表現で、例えば、お香のようであったり、柚子の皮を干して寝かせた漢方薬の”陳皮”のようでもあったり、古い木の皮のようでもあったり、雨の日の岩の苔のようでもあったり、様々な香りであるが、安息感やどこか懐かしいような印象に共通したところがある。
茶葉は人の接し方次第で味を変える。
お茶づくりの現場だけではない。
プーアール茶は保存熟成の環境が味を変える。
流通業者の接し方、淹れる人や飲む人の接し方、すべての段階において味を変える機会がある。
愛情のない接し方、愛情のある接し方、それぞれの振動が茶葉のミクロの繊維に記録される。

安価であろうが高価であろうが、大事に使われている器はいい顔をしている。
器とごはん
そんなこと気のせいだと思う人には、器はそれなりの顔を見せる。
そんなことあると思う人には、器はそれなりの顔を見せる。

厚紙黄印七子餅茶 その1.

厚紙黄印七子餅茶95年プーアル茶
厚紙黄印七子餅茶
製造 : 1995年
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県大葉種喬木晒青茶
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 香港ー広州ー上海−日本 紙包
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水 
蓋碗できっちり。

お茶の感想:
1995年の熟茶。
これぞ孟海の熟茶という穀物風味。どことなく粉っぽくてとろんとした舌ざわり。のどごしは艶やかながらサラッと消える。
2004年にはじめて仕入れた時は「米」のようだと思ったが、その後もずっと広州倉に入っていたので、仕入れるたびに熟成がすすんでいた。2010年に完売したが、上海に何枚か残っていたのがさらに熟成して、現在は「米」というよりは「あずき」だろうか。ぜんざいの汁みたいになっている。
ぜんざいっぽさの中にも「煙味」の存在を嗅ぎとれるので、やはり原料の晒青毛茶は昔ながらの鉄鍋炒りだったのだろう。はじめは焦げ味の刺激があったのかもしれないが、20年ほど経つ今は落ち着いた漢方薬の芳香が漂う。
厚紙黄印七子餅茶プーアル茶
熟茶の熟成は風味が浄化されてゆく。
このお茶もいつか炭みたいになるのを静かに待っている。
【厚紙黄印七子餅茶プーアル茶】

ひとりごと:
鯖ずし鯖ずし
鯖寿司はここ。

醸香老茶頭散茶90年代 その1.

醸香老茶頭散茶90年代プーアル茶醸香老茶頭散茶90年代プーアル茶
製造 : 1995年頃
茶葉 : 雲南省景谷茶区大葉種潅木晒青茶
茶廠 : 昆明第一茶廠(推定)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 香港ー広州ー上海−日本 紙袋
茶水 : 日本京都御所周辺の地下水 
蓋碗できっちり。

お茶の感想:
老茶頭の18年モノ。
老茶頭は深く発酵しているから、
お茶のお茶たる渋味・苦味を失ってエッジが効かない。
とろみの強い液体にある甘味・旨味は穀物のやさしさで主張しない。
だから黒々とした茶湯の見た目に反してあっさりしている。
しかしこのお茶はちがう。
個性的なカカオ風味。チョコレートそのもの。
この個性が、茶葉の素質のものか、発酵の成果なのか、複合的なものかはわからない。
ただ、ひとつ別の原因が考えられる。
このお茶を出品した時の写真をみると、オレンジ色の粉をふいたような跡がある。
【醸香老茶頭散茶90年代】
説明文には金花カビ(麹菌の一種)の可能性を示唆している。
金花カビは熟茶づくりの発酵工程の後半で一時的に(長くて2週間ほど)発生するのを確認しているが、保存熟成のあいだにも発生することがある。
空気中の水分だけがたよりの無水発酵だから、とても緩慢な活動で、1ヶ月間くらいで風味を大きく変えたりはしないだろう。しかし、このお茶は香港や広州の茶商の倉庫に長年あった。熟茶づくりの水分を多く含む発酵工程とはまたちがった風味がここで生まれる可能性がある。
繊維質まで噛み砕かれた茶葉はポロポロで姿を留めるのがやっとの有機物の塊。味もまた老茶頭からさらに遠く離れたところまできている。

ひとりごと:
醸香老茶頭散茶90年代プーアル茶
発酵のお茶のすごいところはこんなに異端になっても作意を見せないところだ。
まるで偶然なったふうに装っている。

1

茶想

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