プーアール茶.com

弯弓古樹青餅2014年 その7.

製造 : 2014年05月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)弯弓
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶崩し
保存 : 茶缶
茶水 : 京都の地下水 
茶器 : 保温ボトル 鉄瓶・石油ストーブ
空
林

お茶の感想:
今日も山。
天気がよくて風が強い。
風の強い山も気になる。行くだろ。
このお茶。
+【弯弓古樹青餅2014年】
白磁の茶杯は軽いから、手で抑えておかないと飛んでゆきそうになる。
街
街
茶湯
注いだお茶が風で外にこぼれた。
ちょっと濃いめ。
熱い苦い渋い涼しい。
ビュービュー吹く風になびかない香り。
カンカン照りの太陽を跳ね返すピカピカの味。
いいだろこのお茶。
水
土
水。
土。
木。
元素たちがなにか交信している。
陰

ひとりごと:
熱燗
酒
40度くらいのぬる燗でシュワシュワ発泡感が強調される。
熟茶
最後は熟茶。

革登単樹秋天散茶2014年 その5.

製造 : 2014年11月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明革登山大葉種古樹・単樹 
茶廠 : 革登山農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 茶缶密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 保温ボトル・白磁の杯 鉄瓶・石油ストーブ
街
街と山

お茶の感想:
寝ているときに脳は勝手に考えているらしい。
春だから、たぶんこんなこと。
農家に滞在していて、鮮葉がどんどん運び込まれる。
竹編み笊に広げて萎凋するのを手伝っている。
そうだ、もっとやんわり萎凋させるために竹編み笊に布を貼ってみようか。
以前にも考えたが、まだ試していない。
まず布を手配して、服の直しをしている近所のおばさんに編んでもらおう。
このへんで目覚めたのだと思う。
よし、まず布を探そう。
あれ?
ここは日本だった。新型コロナ騒動中だった。
現実がドーン。
一瞬、場所や時間がふたつある。
こんなことあるよな。
今、こっちに意識を戻そう。
今日も山にゆく。
道
木
数日前のトレッキングで、患っていた肩の痛みがましになった。
山歩きは骨盤や背骨の歪みを調整するから、肩甲骨や首もほぐれるのだろう。
肩の痛みのせいでラオスの森の高幹の茶樹は見れないとあきらめていた。1日8時間の森の走行は無理。でも、痛みがましになると、行けそうな気がしてきた。
来年に向けてやってみようか。
今日はこのお茶。
+【革登単樹秋天散茶2014年 その1.】
ただただ山の上でお茶を飲んでぼーっとする。
泡茶
青い空。白い雲。ちょっと冷たい風。暖かい日光。鳥の声。風にそよぐ草木。新緑の匂い。街からかすかに聞こえてくる騒音。すべてを照らす眩しい光。
いつもの空気。いつもの光。
お茶を飲むとその時を思い出す。
2014年11月に革登にいたときの空気、風、光、匂い。
茶葉にかすかな松の葉の香り。革登の茶葉の上等のサイン。
茶酔いは、寝てるときの夢が見ている別の時空に行ったり来たりするようなもので、場所や時間がふたつになる。
意識を開放してぼーっとしたら、脳はあんがいそれが心地よいらしく、”こっち”と”あっち”を行ったり来たりして楽しんでいる様子。しばらく帰ってこないこともある。
今、この文書を書いているときはシラフで、”こっち”にしか居ないから、ヘンなことを書いていると自覚している。
山道
茶友がなにか言い出して意識が”こっち”に戻ってきた。
「秋のお茶の苦底の味と、静かな酔い心地が良いと思えるようになった。春のアピールの強いのは自分はもう卒業した。」
そんなことを言った。
「そうだよな。そこまでゆくには長い道を歩かないとな。」
そんな返事をした。
山を下りて、夢見心地がだんだん醒めてきた。
他人のつくりものの世界、”こっち”の世界に引き込まれる。
”こっち”があるから”あっち”もある。
また山にゆこう。
南禅寺

ひとりごと:
”あっち”の世界にある意識は、死んでからも宇宙のどこかを漂いつづけるような気がする。
若い茶友がある日夢を見て、布を貼った竹編み笊で萎凋をはじめる。
ほんの1年か2年前までは、自分が学んできたことを残して、次の世代にバトンタッチしたいと考えていた。
今はもうそんなこと思わなくなった。
仕事も名前も残さなくてよい。
勝手にしやがれ。
水路

白牡丹生態茶2014年 その6.

製造 : 2014年4月
茶葉 : 福建省福鼎市磻溪大白茶種
茶廠 : 福鼎の農家
工程 : 白茶
形状 : 散茶
保存 : 茶缶
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の宝瓶・杯 鉄瓶・炭火
白茶

お茶の感想:
白牡丹を飲む。
+【白牡丹生態茶2014年】
白茶づくりの技術は福建省のが圧倒的に上。
雲南省の月光白はそれに比べたら別モノだろう。同じカテゴリーにはできない。
軽発酵をすすめない技術に差が見える。
泡茶
浮く
月光白にありがちな黒く変色した茶葉が白牡丹にはひとつも無い。
白茶づくりは鮮葉の水分を一定の速度でゆっくりと均一に抜くところに技術の要があるらしい。
この工程で軽発酵をなるべくすすまないようにさせる。水分の抜き方ひとつで軽発酵の酵素反応を調整できるというのが、自分にとっては謎すぎる。
遊びでいいから、白茶づくりはときどき試して、この謎を解いてゆこうと思う。
泡茶
プーアール茶の生茶の茶葉はギュッと縮まっているから、お湯を吸うと大きく広がるが、白茶はあまり変わらない。茶葉の繊維が縮まらないように製茶しているわけだ。
揉捻をしない。
乾燥させる時には、なるべく茶葉がザルの表面に擦れないよう注意を払う。
繊維にショックを与えないこと。
手作業で茶葉を揉んで揉んでヘトヘトになる紅茶づくりとは真逆である。
湯
湯
2煎3煎とすすめても風味がブレない。白茶は白茶のまま。
自分のつくったのは煎がすすむと黄茶や紅茶の風味が混じってくる。
+【怖司小樹月光白2019年・秋天 その1.】
白牡丹は製茶の最後に”乾燥”と称した軽い火入れ工程があって、そこで軽発酵の原因である酸化酵素の活性を死活させるのだろうと推測しているが、こういう微妙な火入れが自分にはできない。
圧餅後の乾燥にこの技術を取り入れたい。
生茶でも紅茶でも、圧餅後に軽い火入れができたら長期熟成は違う道をゆくと思う。
白茶にも20年30年と長期熟成させる陳年モノがあるが、その方向へ熟成する生茶や紅茶。
マニア心をくすぐるよな。
葉底

ひとりごと:
4月4日から清明節で森のお茶の采茶がはじまった。
ラオスの森の高幹もこれからはじまる。
この日に現場にいないなんてヘンな感じだ。
気持ちここにあらず。
すでに西双版納に入った茶友たちは、新型コロナから遠いオアシスにいることをそれとなくアピールしてくる。うまい飯や酒。新芽がたくさん出てきた山の喜び。
悔しいー。
自分もオアシスで楽しくやりたい。

革登単樹秋天散茶2014年 その4.

製造 : 2014年11月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明革登山大葉種古樹・単樹 
茶廠 : 革登山農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 茶缶密封
茶水 : タイのミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・チェコ土の杯・白磁の杯・銅瓶・電熱
燕と椰子
詩話

お茶の感想:
タイのチェンコーンのメコン川のいつもの宿に来て12日めになる。
『中国喫茶詩話』1982年 竹内実著
この読書感想を書きたくて、もういちど読んでいるが、なかなかすすまない。
漢詩の味わいも深いけれど、著者の解説も深い。
お茶を飲みながら、川を眺めながら、ゆっくり味わうことにする。
市場
食材
河の食堂
定食
持ってきた茶葉は生茶・紅茶・熟茶の3種だけ。
ローテーションで飲んでいるけれど、やはり秋には秋のお茶がいい。
+【革登単樹秋天散茶2014年 その1.】
空の色や風の肌触り。
この感じと生茶の乾いた涼しい味とがピッタリ。
あらゆるところに、雨季の夏から乾季の冬になりかけの振動というか波長というか見えないチカラが満ちていて、植物も動物も自分の身体も響鳴するから、同じ振動を持つ秋の茶葉がしっくりくるのかもしれない。と、考える。
朝
川遠景
川面
川の砂
砂州ともやし
宿
茶器
空
単樹の大きな茶樹一本から採った茶葉なので、味にも体感にも落ち着きのあるお茶。
春のお茶のような情熱はなくてゆるい。長くゆったりした秋の波長は、飲む人の態度もゆったりしていないとその波に乗れないかもしれない。
波に乗れたらいい気持ち。
2時間くらいは茶酔いに揺れていられる。
雨
港
食堂
風と椰子
夕暮れ
港の夜
産地の西双版納では9月から秋の茶葉の収穫がはじまっていて、10月の初め頃はまさにピークを迎えている頃だが、この時期は産地に入らないでタイミングを待つ。
収穫量のピークと旬の味のピークは異なる。
茶農家の旬は収穫量のピークであって、味の旬なんてどうでもよいわけだから、彼らの都合でお茶をつくると旬をハズすことになる。
秋の味の旬は秋の終わりに来る。
かといって10月の末頃まで待つとまったく新芽が出なくなることもある。
茶農家は采茶の人件費に見合う収穫量が見込めないので、「もう新芽・若葉はほぼ無い」といって山に入るのも渋るから、そこはお金の交渉でなんとかするしかない。
こういう作戦であるが、うまくいくかどうかは運しだい。
ま、それでいいのだ。
運のいいお茶だけが欲しいのだ。
葉そこ

ひとりごと:
しかし、こんなにいいお茶が自分の手元にたくさん売れ残って(といっても200gほど)、結局自分で消費しているのは、秋のお茶の鑑賞力がみんなに無いからだろうか、そもそも秋を感じる身体ができていない(食べものや生活態度が季節に同期していない)からだろうか、それとも自分が、秋のお茶の鑑賞ポイントをみんなにちゃんと伝えることを怠ってきたからだろうか。
虚しさを感じるのも、秋が響いているせいかも。

倚邦古樹青餅2014年・秋天 その4.

製造 : 2014年10月28日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明倚邦山小葉種古樹
茶廠 : 易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 木製の茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・茶杯・鉄瓶+炭火
倚邦古樹青餅2014年・秋天
倚邦古樹青餅2014年・秋天
倚邦古樹青餅2014年・秋天

お茶の感想:
この茶葉、思っていたよりも良いかもしれない。
できた当初に気になっていた渋味が落ち着いてまろやかになっている。
『倚邦古樹青餅2014年・秋天』(卸売部)
温める
注ぎ
注ぎ
茶湯の色
透明感があり、後を引く苦味が軽快で心地よい。
シンプルな味で、熟成4年目の安定した今となっては何度飲んでも新しい発見は少ないだろう。あまり膨らんだり開いたりしない味わいに華は無いかもしれないが、飽きが来ない。倚邦の村から離れた国有林の茶樹に品種のバラエティーが少ないことによると推測する。
このお茶の茶地は村から1時間半も歩く森の中にある。
倚邦山のような歴史のある茶山は、村の周辺ほど品種のバラエティーが多い。茶樹を選ばないで混采すると、いろんな個性の茶樹のいろんな味が混ざることになる。
易武山の麻黒や落水洞周辺、漫撒山の丁家老寨や張家湾周辺もそういう傾向がある。
かつて明代から清代にかけての貢茶づくりにおいて、品種の栽培実験が村の周囲で行われたせいかもしれない。
村から離れたところは、原生種が群生しているか、それとも清朝の貢茶の需要があった時代に新しい茶地として開拓され茶果(種)が持ち込まれて栽培されたので、そのとき母樹となった品種が選ばれていたら村の周辺よりも混生状態にはなりにくい。ミツバチが花粉を運んでくるにしても、遠く離れているため他所の血が混ざりにくいわけだ。
茶湯
葉底
昇りもしない沈みもしない、宙に浮く感じの秋の茶葉の体感。
生茶のわりに身体が温まる。
小葉種なりのやや強いアタックがあり、どっと汗が出てきた後に涼しくなって長袖を着たが、早春のお茶ほど寒くはならない。
ところで、このお茶は木の茶箱(内側トタン板貼り)に入れて熟成させることにした。
茶箱熟成
茶箱
生茶の餅茶数種をギッシリ詰めて18キロはある。
茶葉がたくさん集まると、お互いに湿気を調整したりして良い影響を与える。
陶器の壺熟成とはまた違う変化があるかもしれない。

ひとりごと:
苦味が甘味を誘う。
チェコ土の徳利
香取90
酒湯
寺田本家の香取90。9月9日の蔵出しのを入手した。
利き酒のような味の上等は知らない。
体感の良さと素朴な味わいでこの酒を選んでいる。熱燗ならではの大きな波に揺られて眠くなる。

倚邦古樹青餅2014年・明後 その9.

製造 : 2014年05月15日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明倚邦山小葉種古樹
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 密封
茶水 : タイのミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺+銅のヤカン
メコン川
川の舟
川の草
空
川の階段
川の社
窓からメコン川

お茶の感想:
火入れ実験のつづき。
西双版納から茶友に持ってきてもらったお茶。
『邦古樹青餅2014年・明後』(卸売部)
これを茶壺で火入れしてみる。
茶葉
茶壺をつかって茶葉の火入れ
今回は湯が沸騰してから40分の火入れ。ちょっと長め。
蒸気には蒸気ならではの熱の性質があるだろう。茶葉の火入れにしては低温だが、時間をかけて熱量を補う。
前回の勉強会で生茶の餅茶『易武古樹青餅2010年』を炭火で炙るのを試した。
お餅を焼くみたいに小さめの七輪に網を敷いて、餅茶の崩したカケラを置く。
お餅
(写真は実際にお餅を焼いているところ。)
炭は3つだけ。結果的には2つでも十分だった。
初回は加減がわからずに焦がしたが、2回めは手を近づけても耐えられるほどの遠火でじっくり1時間ほど炙った。
これがとても香りのよいお茶になった。焦げ臭さや煙臭さはない。新鮮な緑が蘇るような爽やかな香り。やや烏龍茶っぽくなる。味はシンプルになる。苦味とその反動の甘味と、お茶のお茶たる個性だけが際立つ。
遠赤外線の照射は茶葉の表面の複雑な形状にもまんべんなく熱がゆきわたるのがよい。また、弱い火を長時間維持するのはガスや電熱よりも経済的かもしれない。
茶壺の中
今回は、茶壺ごと蒸すようなカタチだが、茶壺の中は乾燥している。
実はこの茶壺はちょっと水漏れする。少量の蒸気が入るかもしれないが、空気中の水は冷たいほうへ逃げる性質があるため、蓋の裏が少し湿る程度で茶葉を蒸らすことはなかった。
茶葉に水分が少しでもあると酸化が早まる。
乾燥している茶葉でもごく少量の水分を含んでいる。その水分が熱をもつと茶葉の成分変化を早める。これを避けるために、茶壺と茶葉とを常温から時間をかけてゆっくり温度を上げてゆく。茶葉がさらに乾燥して、それから温度をもっと上げてゆく。こうして水分による影響をなるべく避ける。
茶壺の温度が上がってから茶葉を投入すると、低い温度の茶葉に水分が逃げ込むかもしれないので、茶壺と茶葉をいっしょに加熱するほうがよいと考えている。
ヤカンの蒸気の熱を利用するのは温度に上限があるので焦げる心配はない。そこがよい。時間だけを調整して火入れの感覚をつかめる。
泡茶
こうして火入れした茶葉は、湯を注いでから茶葉の成分が出るのにちょっと時間がかかる。まだ熟成3年モノなのに20年モノくらいの感じに似ている。
じっくり抽出するせいもあって、味もまた熟成されたものに近づく。
このお茶の場合、いつもは4煎めくらいから出てくる深い味わいが1煎めからいきなり出る。また、早春のお茶にありがちな辛味は消失している。味はシンプル。小葉種の軽い苦味が際立つ。複雑さや鮮やかさは消えて静かになる。
体感は落ち着いている。喉のとおりは涼しく腹の底のほうへすっと収まる。「寒」の性質は「温」の性質に近づいているせいか、飲んだ後のドキドキするような胸のあたりの詰まり感もなくなっている。
このブログでもたびたび指摘しているが、生茶のプーアール茶を若いうちに飲むのは難しい。汗をかく暑い季節はよいが、寒い季節には向かない。個人差もあるのでその加減を自分で探って見つけて、いちいち計るように注意して飲まなければならない。
お茶として完成していない。
未完成のまま流通していることになる。
しかし、昔の人は未完成なお茶を自分の手元で完成させていた。冷蔵庫もない時代に、長期保存できる乾物のひとつとして保存のケアをしたり、煎じ方に工夫したり、熟成による薬効の変化をそれぞれの家庭のやり方で見つけていただろう。
家庭に知恵があったのだよな。
知恵のない現代の家庭にどんなお茶を売ったら良いのかを考えてお茶メーカーはいろいろ工夫するけれど、その展開はあまりカシコくない結果になると見ている。

ひとりごと:
チェンコーンに通いだしてから6年経つが、今回はじめて見つけた豚の生の血のラープ。
ラープは肉を香草やスパイスをいっしょに叩いてミンチにして、塩や魚醤や辛子味噌などで味付けしたもの。
生のラープ
この写真のラープは血だけでなく肉も生である。数年前に西双版納のタイ族の村でご馳走になって以来だったが、チェンコーンのお惣菜屋さんにも売っていた。
味は、牛肉の生のユッケやタルタルステーキや魚のなめろうにも似ているが、血生臭さなど全くなく、脂っぽいこともなく、サラッと口に溶ける。火入れしていないので血の成分が生きているからだろう。
豚の生の血って細菌や寄生虫が怖いよな。
体調の良いときに食べる。ゆっくり食べる。付いている香草といっしょに食べる。主食のもち米といっしょに食べる。ラオスの50度の焼酎ストレートを飲みながら食べる。冷たい飲み物を飲まない。
お腹の中の消化の過程で発酵に似たようなことが起こっているが、良い発酵をしたら悪い菌などやっつけてくれる。はず。

弯弓古樹青餅2014年 その6.

製造 : 2014年05月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)弯弓
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶崩し
保存 : アルミ茶缶密封
茶水 : 京都の地下水 
茶器 : チェコ土の茶壺
春尖の茶葉

お茶の感想:
熟成と「春尖」(chun jian)の関係を考える。
春尖とは早春の新芽・若葉のこと。
乾季の冬を越して根や幹や枝に蓄えられたエネルギーが新芽に集中する。
現在は春尖をたっぷり含んだ餅茶は少ない。茶葉の生産量が増えているからだ。
茶山や茶樹によって春の初摘みのタイミングは異なるが、春尖の採取できるのははじめの数日間だけ。春の旬は5週間ほど続くが、ほとんどは大きく育って春尖と呼べる濃度はない。需要が増えると農家の采茶は長期化する。つまり、晩春の茶葉の生産量ばかりが増えて春尖の割合は減る。
近年は多くの餅茶が早春から晩春の茶葉を混ぜ合わせて餅茶にするので春尖が少ないわけだ。
ところが、春尖が多いほど美味しいかというとそうでもない。
春尖が多いと味はピリピリ辛い。苦味がやや強い。体感も強い。
むしろ春尖が少ないほうが味も体感もやさしいくて飲みやすい。
例えばこのお茶。
+【祈享易武青餅2014年 その1.】
祈享易武青餅2014年
原料は一級品だが、早春から晩春までの茶葉が混ぜられるので春尖は少ない。森の古茶樹は日陰で育つものが多く、新芽・若葉の出てくるタイミングが遅くなる。どうしても春尖の割合は少ないわけだ。
大きめの新芽や茎
けっこう大きく育った新芽や硬い茎の部分が混じる。
しかし、味のバランスがよく、喉ごしやわらかく、体感もやさしい。ちょっと濃くしても美味しく飲める。
同じ年2014年の弯弓のオリジナルのお茶と比べてみた。
【弯弓古樹青餅2014年】
弯弓古樹青餅2014年
このお茶の春尖の割合は多い。
采茶は2014年3月15日頃と4月3日頃の2本の樹から行われている。後から考えると弯弓の古茶樹にしてはかなり早い采茶になる。比較的日光のあたる場所で育った茶樹がそうなりやすい。それゆえ早春のまだ乾燥した気候のうちに采茶ができて春尖の純度が高くなる。
弯弓と祈享
左: 弯弓古樹青餅2014年
右: 祈享易武青餅2014年
茶葉の大きさ。色の違い。
どちらも漫撒山の原生種に近い大葉種で、品種的な違いは無い。
春尖の繊維は小さく、柔らかく、茶醤と呼ぶ粘着性の成分が多く、圧延が緊密になりやすい。同じように圧延してもスキマなくガッチリ固まる。
泡茶
少し濃くしてみたら、やはり辛い。苦い。茶気がムンムンしていて喉からお腹にスッと落ちないで上がってくる感じ。しばらくしてゲップが出る。
アルコール度数の高いお酒に似ている。
40度のウオッカはストレートでゴクゴク飲めないけれど、6%のビールはゴクゴク飲める。
春尖の唯一良いところは水質がきめ細かく舌触りがツルンと滑らか。このために甘いと感じることもあるが錯覚だと思う。ウィスキーのストレートでも上質なのは甘く感じたりする。
春尖の葉底
葉底(煎じた後の茶葉)。春尖の繊維は柔らかく指でカンタンにつぶれる。
お茶好きであっても茶気の強いのが苦手な人はけっこう多い。女性やお年寄りはとくにそう。それなのに春尖にこだわる。
2014年の春は弯弓の茶葉のサンプルを多く試して、その中からわざわざこの茶葉を選んでいる。やさしい味のサンプルもあったけれどパスしている。
なぜ春尖にこだわるのか?
あまり意識しないでそうしていたが、振り返ってみると、老茶が自分の手本になっているからだ。
このふたつの餅面の茶葉の写真を見比べてほしい。
+【易昌號大漆樹圓茶04年】
+【7542七子餅茶80年代中期】
上が2004年の晩春の茶葉。色が薄い。黄金色した新芽が大きく育っている。
下が1980年代中期の早春の茶葉。色が濃い(黒い)。黄金色した新芽は爪の先ほどの大きさ。
1980年代のは春尖の多い特徴が現れている。
プーアール茶のいくつかのタイプの中で、1980年代のは清代の貢茶のカタチを継承する茶文化のお茶。交易で栄えた都市で販売されたお茶。生活のお茶ではなく嗜好のお茶。食・酒・煙草・薬草・茶。都市が求める快楽は生理的欲求から離れて、進化を欲求させなければならない。お茶は味や香りもさることながら、茶酔いに神聖なものを感じさせなければならない。
春尖にはそんなチカラが宿る・・・・というのが自分なりの見方。
熟成によって、強すぎる茶気は穏やかになるのか、熟成にどんなふうに有効なのか、13年後にははっきりするだろ。
易武古樹青餅2010年試作品
新芽が爪の先ほどの大きさ
『易武古樹青餅2010年の試作品』
黒っぽく艶のある餅面。緊密に詰まった茶葉。黄金色した新芽は爪の先ほどの大きさ。春尖の純度が高い。
追記:
春尖の茶気の強いのは、お茶淹れの技術である程度カバーできる。
白磁の蓋碗のような熱を逃がしやすい茶器でサッと湯を切るとか、保温性の高い茶壺なら煮やさないよう湯の温度を低めにするとか。なによりも茶葉の量をおもいきって少なめにしたらバランスは良くなる。

ひとりごと:
1980年代までは高級なプーアール茶はすべて海外に売られていた。外貨を稼ぐ国策で専売公社が香港経由で輸出していた。
人民元の価値がまだ安かったから、外国は中国の高級茶を格安で買えた。
日本人で中国茶=安いというイメージのある人は、このときの感覚がまだ残っているのだろう。
でも現在は違う。人民元が高いから。
この先、人民元が格安に思えるほど経済発展する国はあるだろうか?
おそらく世界中のどこにも、高級茶を安く買える人なんていなくなったのだ。

漫撒三家青餅2014年・秋天 その4.

製造 : 2014年10月28日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山三家寨古茶樹
茶廠 : 易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 陶器の茶缶
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の白磁の蓋碗2種
漫撒三家青餅2014年・秋天
漫撒三家青餅2014年・秋天包み紙

お茶の感想:
昨日ののつづき。
蓋碗2種を試す。
今日はこのお茶。
『漫撒三家青餅2014年・秋天』(卸売部に出品)
漫撒三家青餅2014年・秋天5g
5g
北京の愛好家の蓋碗は熱を溜める。
それがじわじわ茶葉を煮やす。
この特徴を活かせないだろうかと考えた。
2014年の秋のお茶は、今から振り返って言えることだけれど、この数年でいちばんコンディションが悪かった。
見てのとおり大きく成長しすぎている。
これでも柔らかい一芽二葉か一芽三葉だから、雨の季節が終わっていないタイミングで采茶していることになる。
早春の新芽・若葉の多い茶葉は熱に敏感で、熱い湯で火傷させないよう気をつけなければならないが、秋の大柄の茶葉は熱い湯で葉や茎の内側の成分をしっかり抽出したほうが美味しい。
漫撒三家青餅2014年蓋碗2種1煎め
1煎め。
ほとんど差がない。
この時点で、このテストはあまり面白いことにはならないと予測した。蓋碗では役不足なのだ。
それでも少しの差があったので記録しておく。
手元の蓋碗(右の蓋碗)は、一煎めの味に微かな湿気味が感じられた。茶葉にまだ熱がしっかり通っていないときに出る味。口に含んだ茶の香りと味とが分離したようでまとまらない。その点、北京の愛好家の蓋碗は一煎めから比較的まとまっていた。ほんとうに微かな差である。
4煎めの蓋碗
4煎めの茶海
4煎めの茶杯
4煎め。
差なし。
ほんとうに差がないからびっくりする。
あえて言うなら、北京の愛好家の蓋碗のほうがちょっと甘い気がする。
葉底
葉底(煎じた後の茶葉)
茶葉の色も同じ。
蓋碗では味が出し切れない。
もったいないから紫砂の茶壺にバトンタッチ。
茶壺
茶湯の色は薄いがしっかり味が出た。まとまったまるい味。
以上。

ひごりごと:
業者仲間と天気の話が多くなってきた。
昨日も今日も雲が空を支配して、ときどき大粒の雨を降らしている。
西双版納の秋の旬は、雨の季節が終わるのが早いか、茶樹が冬眠するのが早いか、そのギリギリを狙いたいところだが、場合によっては雨の季節が終わらないうちに茶樹が寝てしまうこともある。
雨の季節が長引くほうが茶葉の育ちがよいので農家は収穫量が多くて儲かる。
農家に嫌われる茶商にならないと。

瑶郷古樹青餅2014年 その5.

製造 : 2014年5月
茶葉 : ラオス古茶樹
茶廠 : ラオスの瑶族+漫撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 西双版納 竹皮+紙包み袋密封
茶水 : 京都御所周辺の地下水
瑶郷古樹青餅2014年の竹皮一筒6枚組
竹皮一筒6枚組

お茶の感想:
しばらく品切れ中だったお茶。
+ 【瑶郷古樹青餅2014年】
西双版納からの荷物がようやく届いて本日再出品した。
竹皮一筒6枚組が2筒分ある。
この竹皮包みは、当店の他のお茶の竹皮包みと比べてもギュッと引き締まっていて、職人の技が冴えている。
これ、開封するのはもったいないな・・・。
というわけで、バラ売りできる3枚以外は、6枚組の竹皮包みのまま売ることにする。
1年や2年売れなくても、いや、10年売れなくてもぜんぜん平気。
今年から熟成風味がグッと良くなっていて、これからもっと良くなる。自信がある。
熟成の予測は難しいが、このお茶は易武山の系統のお茶。刮風寨からそう遠くないラオスの山のものなので、長期熟成の味に実績がある。
今のところ、『易武古樹青餅2010年』と似たような変化の道をたどっている。
瑶郷古樹青餅2014年餅面
泡茶
茶湯
今年の春は刮風寨のお茶をつくらなかったが、昨年の秋から訪問しはじめていて、春には茶友が刮風寨のお茶づくりにトライしたこともあって、ちょっとずつ理解が深まっている。
この一帯は瑶族の土地なので、瑶族の農家と交流するうちに、刮風寨から近いラオスのこのお茶についてもだんだんとわかってきたことがある。
価格差があるので、易武山の名のある地域のお茶として産地偽装して流通するのは言うまでもないが、われわれ仲間内では試飲するとその違いがわかる。
ラオスのお茶は水がやや硬いのだ。
淡い感じ、甘い感じ、消えの早い感じ、滋味ある感じは、易武山のお茶の表現に似ているが、水がやや硬い。
同時に飲み比べないとわからない程度である。

ひとりごと:
次回の勉強会のテーマは「熟成」。
としたいが、これがけっこう難しい。
話すことよりも現物で、お茶の味で、それを説明したい。
2000年以降は広東省の東莞市に大きな倉庫が集まっていて、いろんな試みがある。
数千トンというとんでもない量のお茶を倉庫に入れている業者もいる。
その倉庫のサンプルも入手している。
ただ、現段階で話したくないところもある。
当店はあくまでも熟成味のお茶を完成させて売ることで伝えたいことを伝えるべきであり、お茶の味でなにかを表現するべきであり、知識とかしゃべりとかで表現するのはチープなのだな。
我慢したほうがよいかもしれない。
でも、あと何年我慢する?というか何年我慢できる?
73青餅
写真は『73青餅』1984年。

祈享易武青餅2014年 その7.

製造 : 2014年04月02日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山一扇磨
茶廠 : 上海廚華杯壷香貿易有限公司監製
工程 : 生茶のプーアール茶
形状 : 餅茶357gサイズ
保存 : 西双版納 ステンレス缶
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : マルちゃんの小さめの茶壺

お茶の感想:
易武山の老街から近い「麻黒」・「落水洞」などの有名茶地はダメになったとみている。このブログでも何度か書いているが、周辺の山の低いところの原生林が伐採されて、バナナやゴムの畑になったからだ。とくにこの3年くらいは西双版納の高原バナナが都市に向けてよく売れたので、重機で原生林が伐採され、冬の乾燥した季節に野焼され、あっというまに山の斜面は砂漠になっていった。そこにバナナが植えられると見かけ上は緑であるが、原生林ほどの保湿力はない。生態系もない。
原生林から沸き立つ蒸気の湿った涼しい風に包まれていた山の上の茶地は、いまや乾いた熱風が届いて、茶葉はそれに晒されている。
お茶にその「燥」の味が現れるのをいくつかのサンプルで確認している。他人にそれを証明するにはサンプル数が少ないけれど、もう十分だ。
念を押すがこの話は農地やそこから見える周囲の環境のことではない。歩いて横断するなら何時間もかかるような山全体の環境のことを話している。
山全体が健康なところお茶を求めたい。
そうでないと、こんな遠いところまで来ている意味がない。
象明のバナナ園とゴム園
(象明のバナナ園とゴム園。山の上のちょろっと残った森に古茶樹がある。)
孟海の山と畑
(孟海県の山はどこもこんな具合に山の下の方は畑ばかりになっている。)
景邁の観光農園
(古茶樹の観光農園になっている景邁は、裏に回ると台地茶の茶畑ばかりで森はない。)
刮風寨の森
(刮風寨はずっと原生林の森がつづく。)
世界中のお茶どころがすでに山の周辺の森を失っているため、みんなは「燥」の味のお茶に慣れているから、わざわざコストの掛かる森のお茶を求めて深い森に入るのは経営が成り立たないかもしれないけれど、自分は自由人なので、気持ち悪いと思ったことを抱えたまま惰性で仕事をする立場ではない。
今日はこのお茶。
+【祈享易武青餅2014年 その1.】
祈享易武青餅2014年1
祈享易武青餅2014年2
祈享易武青餅2014年3
森のお茶にいちはやく挑戦した上海の老板。
やはり価格が高すぎて販売面で苦労しているけれど、そんなこと初めから分かっていただろう。中国だから、販売権を独占しようとたくらむ業者もいて(ゆくゆくはこのブランド名を活かして偽物づくりをするつもりだろう。)パートナーを選ぶのにも苦労している。
リアルだ。
宣伝広告のうるさい現在の市場においては、よく売れているモノってどこかウソっぽい。
ホンモノは時間がかかる。
明日から一扇磨の山に入る。
祈享の一扇磨とは違う方向の一扇磨で、やはり歩いて3時間くらい森の奥へ入る。
一扇磨の分岐点
前回はここから左へ入ったから、今回は右へ入る。一扇磨から弯弓の方向へ向かうことになる。

ひとりごと:
いい仕事をするぞ。


茶想

試飲の記録です。

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