プーアール茶.com

茶教室・京都

丁家老寨青餅2015年 その3.

製造 : 2015年3月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨小樹
茶廠 : 漫撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都地下水
茶器 : 中国宜興土の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶・炭火

お茶の感想:
先日なにげなく飲んでいたお茶が実はお宝だった。
このお茶。
+【丁家老寨青餅2015年 その2.】
茶壺の底のほうに忘れていた欠片。のこり60gほど。
茶葉
勘違いしていた。
その1.の記事では古樹ではなく小樹ではないか?と推測していたが間違い。
古樹が正しい。
この茶葉を圧餅したものだった。
【丁家老寨春の散茶2015年 その1.】
3キロ分の毛茶を180gサイズの餅茶にしたから、15枚くらいはあったのかな?
覚えていない。
しかし、この文書を読み返してみると、早春のはじめの2日分の茶葉。
”一水”と呼ぶ、春のはじめての雨の降る前のだから旬が濃い。かなり貴重。丁家老寨の山じゅうで集めても15キロもないだろう。
冬に溜め込まれたエネルギーが燃える新芽・若葉。
葉底
葉の大きな大葉種の中の大葉種的な丁家老寨の古樹で、この小さく細い葉柄はかなりヤバい。今見てもゾクゾクする。
尖った仕事をしていた。
采茶したのも製茶したのも農家だが、こんなにたいへんな仕事を無理やりやらせたのは自分。
今ならこんな無理な仕事はしない。させない。どうせ分かる人などいないと諦めている。ほどほどに手を抜くことを覚えた年寄りになった。
その時(2015年の春)は若かったからやる気があった。
そして、この仕事を分かる人がいないことに腹を立てていたと思う。
今は腹をたてない。期待しない。
水滴
しっかり水を抜いて茶葉を眠りから覚ます。”醒茶”と呼ぶ。
10分ほど温めていたら茶葉から糖質の焦げる寸前の香りがしたので、すぐに火から離した。
春の成分が濃い証拠。甘い予感。
一煎
二煎
やはり甘い。
二煎めはおもいきり濃くしたけれど、それでも甘い。
綿菓子のような甘さ。
液体が舌の上で蒸発して消えるから喉を通る感覚がない。身体への馴染みの良さ。
その2.の記事でヒリヒリ感があると書いていたのは、早春のものだった。消えの早い上質なヒリヒリ。
これぞ高級茶。まったく隙のないカンペキなやつ。
若いときでないとできない仕事があると思った。
自分が消費者なら、なにか怒っている若い人のつくったお茶を買う。

丁家老寨青餅2015年 その2.

製造 : 2015年3月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨小樹
茶廠 : 漫撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・茶杯・鉄瓶・炭火
表
裏

お茶の感想:
成分の濃さが現れている。
熟成壺の底のほうに忘れていた欠片が一つ残っていた。
【丁家老寨青餅2015年 その1.】
すぐに思い出せない。
もう何年も飲んでいない。
過去の記事を見てひとつわかったのは、このお茶は古樹ではない。小樹でつくっていたはず。
泡茶
飲んでみたら、あいかわらず”烈”。まだヒリヒリしている。
舌先にヒリヒリしても喉には甘い。悪くないと思う。
茶湯
味が濃い。
茶室

瑶洞古樹青茶2015年 その1.

製造 : 2015年3月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山瑶洞古茶樹春茶
茶廠 : 農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 京都・陶器の壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興紅泥の茶壺+鉄瓶+炭火

お茶の感想:
瑶洞は地名。
漫撒山の一部で、ラオスとの国境近くの中国側。
このあたりは瑶族のテリトリーだから瑶洞。
森に囲まれた小さな茶地なので有名ではないが、後にここが刮風寨のエリアにあることがわかった。
刮風寨と言って茶葉を売れば高値がつくが、これを手掛けた泰族の農家。
瑶族との関係上なにか遠慮があるのかもしれない。
瑶洞古樹青茶2015年
刮風寨は”茶王樹”と”茶坪”の2箇所がメジャー。古樹がもっとも多くある。
マイナーな地域の”冷水河”や”三家寨”にも古樹があり、過去に試飲したことがあるが、”茶王樹”と”茶坪”に比べるとやや劣る。
刮風寨は国有林に指定された広大なエリア。
現地の瑶族といっしょに山を歩くと、あっちの山の斜面にもこっちの山の斜面にも古樹が隠れている話が出てくる。
しかし、それをお茶に加工するのは容易ではない。
茶葉を収穫して村に持ち帰るまでの山道を整備するところからはじまる。
人が歩くだけの道をつくるにしても、密林の整備は人件費がかかる。少量の茶葉では採算をとるのが難しい。
結局まだ手つかずになっているところが多い。
瑶洞もそういうマイナーな茶地であった。
易武山麻黒の農家が個人で借りて、個人で手入れして、個人で采茶しているからこそ成り立つ。
毎年この茶葉を求める茶商がいるから、つくればそれなりの価格で売れる。
2010年の春に麻黒の大漆樹でお茶づくりをしていたときに、瑶洞へつづく道の草刈りに行って帰ってきた農家の服にヤマビルがたくさんついていたのを見た。
まだ乾季の終わらない早春で、雨が降らない季節なのにヤマビルがいるのはおかしい。その森は深く水気をたっぷり含んでいたことがわかる。
瑶洞古樹青茶2015年
鉄瓶
瑶洞古樹青茶2015年
瑶洞古樹青茶2015年
マイナーな茶地のお茶は、まず素質を見る。
水質が良いか。体感が良いか。
これはあくまで個人の判定になるからゆるい。
しかし、瑶洞が刮風寨のエリアにあることがわかったからには、今後は比べて飲むことになる。
マイナーな”冷水河”や”三家寨”、そしてメジャーな”茶王樹”や”茶坪”。
これからは厳しい品茶のリングに上がる。闘茶に勝つか負けるか。
銘茶になるのはそうやって鍛えられて残ってゆくやつだけ。
葉底
お茶づくりを学ぶなら、無名茶山のゆるい評価のところに居てはダメ。有名茶山の厳しい評価に晒されたほうがよい。

一扇磨単樹B春の散茶2015年 その4.

製造 : 2015年03月20日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)一扇磨
茶廠 : 漫撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺+鉄瓶
龍眼の木の炭
炭の火

お茶の感想:
龍眼の炭をもらった。
前回使った核桃炭とは性質が異なる。火力がある。焼肉に使うようなタイプ。ニオイがあって室内には向いていない。
西双版納は今気温26度なので、窓を全開にして使う。
天気悪い
そろそろ雨季の終わる頃だが、まだ天気の悪い日が多い。
茶葉の整理をしていたらこのお茶が残りわずかだったので飲み切ることにした。
『一扇磨単樹B春の散茶2015年』。
単樹Aのほうが上等だったが、今から見るとBのほうもなかなか。
炭で炙る
単樹B
茶葉の温度を少し上げて、茶葉の繊維の中の水を抜く。
焙煎ほどではない、ただの乾燥。
こうすると香りが立つ。茶壺の中で茶葉を蒸らしてから湯を注いで茶葉は新しい水を取り込む。
銅の溶けたもの
茶針の枕にしているのはタイの骨董屋さんで見つけた銅の溶けたもの。
骨董屋さんの言うには、仏像の台座の部分らしい。
お茶セット
チェコ土の茶壺
鉄瓶
お湯を注ぐ
茶を注ぐ
葉底
沸き立ての湯は96.5度くらい。景洪市は海抜560メートルくらいなので100度にはならない。
生茶は茶葉を煮やすと渋味・辛味など嫌な味が出やすいが、鉄瓶+炭火の組み合わせは煮え味が出にくい。
かといってちょっと冷ました90度以下の湯で淹れると味の輪郭がなくぼやける。
沸き立てのグツグツの湯なのに穏やかな熱の響き。炭火ならできる。
また耐泡がよい。7煎を超えたくらいの味がしっかりしている。
白い炭
炭炉の上蓋
鉄瓶1リットル弱の水でお茶を飲みきるのにちょうど良い炭の量がわかってきた。
炭炉には上蓋があるので、この予熱で鉄瓶を乾かして、茶器も乾かせる。

雲南の陶器に詳しい茶商友達がサンプルを持ってきた。プーアール市の土らしい。
茶壺
煮水
茶葉乾燥
雲南省は山ばかりでいろんな地層があって、茶器に適したのもたくさんある。
これから探ってゆこうと思う。

弯弓単樹B春の散茶2015年 その2.

製造 : 2015年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)弯弓
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 紙包+陶器の茶缶
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の小さな茶壺
弯弓単樹B
弯弓単樹B

お茶の感想:
『弯弓単樹B春の散茶2015年』は、過去の記事で品種の特性のことを話した。
現在、熟成2年目になろうとして、はじめて姿を現した味がある。
濃いめに淹れたのを口に含むと、渋味・苦味が溶けながら香りに変わってゆく。
甘い香りと味にギャップがあって、ちょっとしたトリックが生じて、あれ?となる。
消えの早い渋味・苦味は、香りの成分でもある。
チェコ土の小さな茶壺
香りの成分が鼻に届いてようやく認知できるはずだが、時間差があって、お茶を飲み込んだ後の口の中で薫りだす。
内から薫る”内香”(nei xiang)。
渋味・苦味を流そうと唾液が出てくるときには、もうそれは消えている。唾液自身が甘いのかもしれない。
内香は森の中の日陰に育つ茶葉のもの。
太陽光をたくさん浴びる茶葉はアピールが強くて内香にはならない。
弯弓単樹B春の散茶2015年
昔の人は、お茶の香りからなんらかの薬効成分を聞き分けていたようだが、香りの感じ方から身体のコンディションを診ることもできただろう。唾液の酵素反応が香りを変化させる。鼻の感度が体調によって異なる。
茶酔いの体感にも個性がある。
漫撒山の内香は、おっとりした茶酔いで長い余韻が続く。背中の筋がゆるんで、お腹の底のあたりがぼんやり温かい。
春の旬の新芽・若葉でも穏やかで、頭に血がのぼるような上気を感じない。目が覚めているのに、眠いような感覚。
身体の内側にも。いろんなサインが出る。
チェコでダージリンの試飲
高級茶の価格について、チェコの茶商はこんなことを言った。
「美味しいお茶のちょっとの差には大きな価格差がある。」
美味しさを追いかけてやたら高いお茶を売ることにならないよう心掛けているらしい。
ちょうどダージリンのサンプルを試飲しているときだった。
生理的欲求を満足させるという観点から味の善し悪しを追求したらそうなるだろう。
インドのお茶だから、イギリス人の価値観なのかもしれない。
しかし、中国の高級茶は美味しさよりも薬効に価値がついている。薬効といっても茶酔いのような快楽のクスリとして。
自然環境の良さがそのまま身体に取り入れられると考えるから、人里離れた森のお茶に価値がある。
葉底

温州人の易武古樹熟茶 その1.

采茶 : 2015年10月
加工 : 2016年10月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山落水洞+老曼娥古樹
茶廠 : 農家+温州人
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺
温州人の易武古樹熟茶

お茶の感想:
自分よりも一歩先に熟茶の小堆発酵に挑戦している温州人が、サンプルを持ってきた。
小堆発酵のミャンマーでの様子はこの記事で紹介した。
+【版納古樹熟餅2010年 その32.】
ミヤンマーの金鉱は忙しいらしい。5日間ほど西双版納に滞在してからすぐにミャンマーに戻る。1月27日からの旧正月は、仕方がないので温州の家族全員をミャンマーに連れてゆくらしい。
なかなかベンチャーな仕事。
金を掘るというと、チャップリンの映画『黄金狂時代』を思い浮かべる。
ツルハシひとつでアラスカの金鉱を掘り当てて大富豪になる話。でもそれは100年も昔のこと。現代の金掘りは、掘り出した土の中から金や希少金属をいかに分類して抽出するかに技術の要がある。
そこに微生物のつくった酵素が利用されている。
ちょっと聞いただけでは理解できないけれど、土となって混在する様々な成分を分解したり結合したりして、目的の物質だけを取り出すのに有効な、ある種の酵素があるらしい。
なので温州人は微生物に詳しくて、熟茶の渥堆発酵における仕組みをおおむね理解している。
はじめての小堆発酵で失敗しないのは、その知識が役立っている。
温州人の易武古樹熟茶茶葉アップ
黒く変色した茶葉の色からして、自分の小堆発酵とは異なる。
しかも、最後の加水を11日目に終了したというから、かなり短期間である。
黒くなりすぎたのは意図したものではない。
11日目の加水の量が多すぎて、茶葉が高温になりすぎて、このままでは腐らせてしまうので、温度を下げるために茶葉を大きな板の上で薄く広げて2週間ほどかけてゆっくり乾燥させたらしい。
この結果からいろいろ学ぶところがある。
温州人の易武古樹熟茶泡茶1
このお茶はとても美味しく仕上がっている。
黒い色は茶葉が酸化しすぎた色であるが、しかし、劣化につながる嫌な味を感じさせない。体感も穏やかで、お腹いっぱいになるまで飲んでも酔わない。
温州人の易武古樹熟茶泡茶2
専売公社時代の昆明第一茶廠のお茶に似た色の茶葉があった。
+【7581雷射磚茶プーアル茶88年】
乾燥した茶葉に太陽に焦げた車のタイヤのような臭いがかすかにあるが、そこが似ている。
このタイプのはミルクティーにしたら悶絶するほど美味しい。
長期熟成すると”7581”のようなシナモンの香りが出てくるかもしれないが、現在は淡々としてまっすぐな感じ。
泡茶3
自分の小堆発酵のを比べて飲むと、発酵がまだ足りないゆえに味が濃くて、土っぽい雑味にさえ感じるくらい。それほど温州人の熟茶には透明感がある。
種麹は同じ『版納古樹熟餅2010年』を培養したものだが、温州人の熟茶のほうがこのお茶に近い。
なにが違うのか?
ミャンマーでの小堆発酵の様子を聞いてすぐにわかったのは、通気の違い。
通気が良いのだ。
いくつか原因がある。
まず、茶葉が違う。
秋の散茶を原料にしているので、茶葉の繊維がやや硬くて弾力があり、堆積した中に小さな空間をつくりやすい。
袋の素材が違う。
麻の荒く編んだ布で茶葉を囲っている。実はこの同じ麻の布袋を入手したが、石油臭くて、2度洗っても臭いが取れないので断念した。何度も洗わないといけないらしいが、その前にガーゼ生地の布袋を見つけて、そっちを使っている。ガーゼの通気はよいが、麻のようなゴワゴワした質感はない。ゴワゴワが小さな空間をつくっているのかもしれない。
囲い方が違う。
自分の小堆発酵は布袋にまとめて袋の口を封じている。温州人のは袋の口を閉じずに開けたまま。竹籠ごと木箱に囲っている。空気に触れやすい。
通気が良いと、水の許容量が多くなる。蒸発が早いので、結果的に水を多く掛けることになるが、茶葉の内部では新しい空気の入るチャンスも多くなる。
そして熱も逃げやすい。
加水後は65度の高温を記録したこともあったらしいが、平均的な温度はもしかしたら自分のよりも低いかもしれない。
自分のは加水の量は少なめだが、水が逃げにくいので発熱が持続しやすい。さらに電気カーペットで24時間加熱している。
温州人の小堆発酵は、温かい季節の10月に行われたので、室内は26度はあったらしいが、あくまで常温であるから、明け方の寒い時間帯や、太陽が出ない雨の日(10月はまだ雨季で雨の日が多い)などは、やはり肌寒いくらいに冷えていただろと思う。
この結果を参考にして、自分の小堆発酵ももっと通気を意識することにした。
そして低温ぎみに管理する。
低温といっても、水の多い中心部は50度に達するだろうし、外側は26度よりも下がらないように調整する。
加水の量を減らすことになると思う。
餅茶を崩した茶葉は隙間が小さくて、弾力も弱いので、水が多いとその隙間を埋めてしまう。
この状態で酵母などが活発になると、二酸化炭素を吐き出して充満して窒息する。
好気性の良性の菌類が活動しないと、悪性の菌類がはびこる原因となる。
葉底
水を少なめにすると、変化に時間がかかるかもしれないが、1ヶ月かかるところが3ヶ月になろうが1年になろうが、美味しくなるならそのほうがよい。
もしも1年以上かかったら、生茶の老茶に近くなるかもしれない。
自転車で米綫
蒸した米を天日干し1
蒸した米を天日干しアップ1
蒸した米アップ2
酸醤米綫
路地裏の有名店
酸醤米綫。
西双版納のダイ族の名物。
米の麺、ビーフンが発酵させてある。普通の米綫よりも旨味がある。米にしては弾力があり、ツルッとした触感。
具沢山で9元。毎日食べたいくらい美味しい。
麹づくりのための蒸した米が外に干してあるが、これをどう使って米綫を発酵させるのかは知らない。
天日干ししているということは、太陽光線に強い種類の麹かもしれない。
微生物は太陽光線に弱いのがほとんどなので、天日干しによって特定の麹だけ選んで培養することに成功している。
蒸した米を外に干すだけでそれができるのだから、西双版納の空気中にはこの種の麹がいっぱい飛び散っていて、西双版納の気候はこの発酵に適しているということである。

漫撒風道青餅2015年 その5.

製造 : 2015年3月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 漫撒山工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗+マルちゃんの茶壺
漫撒風道青餅2015年

お茶の感想:
180gサイズの餅茶。
なぜか1枚だけ残してあった。
+【漫撒風道青餅2015年】
谷風の涼しさが、お茶の苦味になって現れている。
ピリッとした辛味が舌に残る。
漫撒風道青餅2015年
漫撒風道青餅2015年
このお茶も”黄印”の製法で布袋に一晩入れて渥堆している。軽発酵を促してある。
じっくり抽出するのが美味しいので、途中から茶壺にバトンタッチ。
茶壺は熱湯でしっかり温めておくこと。
蓋碗から茶壺にバトンタッチ
茶壺でじっくり抽出
抽出時間は茶壺の容量や保温力により異なる。この場合はじっくり4分ほど待った。茶壺の蓋のところに指をおいて温度の変化を探り、ピークが過ぎて落ちてきたところで杯に移す。
杯も直前に熱湯で温めておいたほうがよい。
葉底
風に吹かれた茶葉の育ちの違いが葉底の形に現れている。
BOMBTRACKのARISE
BOMBTRACKのARISE
自転車買った。
BOMBTRACKのARISE。
漕ぎ味抜群のシングルスピード・フリーギア。
フィックスギアではないので、漕ぐ足を止めても車輪が回ってくれる。チリチリ鳴るラチェット音が美しい。
BOMBTRACKのARISE
シングルスピードは地面とタイヤの接触する感触が足に敏感に伝わる。この漕ぎ味を一度知ったら変速には戻りたくなくなる。
上り坂は立ち漕ぎ。それでダメなら降りて押す。
ARISEのリッジドフォーク
自転車屋さんの言うには、リジッドフォーク(前輪を支えるサスペンションのないフォーク)の作り込みにメーカーの意気込みを感じるらしいが、自分はまだよくわからない。
SRULYのタイヤ
タイヤを太い41Cに替えてある。ただ、そうするとタイヤの直径が大きくなる。
曲がる時にタイヤが足のつま先を擦る。
太いタイヤのカッコよさとクッションの良い乗り心地をとって我慢するか、それとも純正の35Cくらいのに戻すか、ちょっと細い32Cにして加速力を上げるという選択もある。
BOMBTRACKのARISE
タイヤが大きくなったせいもあって、漕ぎ出しが重いと感じたので、ギアを低いのに交換してもらった。
スタートダッシュが良くてビュンビュン走れるようになった。
ステム交換
BOMBTRACKはドイツのメーカーのせいかSサイズでもデカイ。ステム(ハンドルを支えるところの接続部品)を純正の10センチから7センチに短くしたが、それでも身長168.5cmの自分にはハンドルが遠く感じる。もっとコンパクトなハンドルに交換してみようかと検討中。

章朗古樹秋天散茶2015年 その2.

製造 : 2015年11月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 巴達山製茶農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納 密封
茶水 : タイ・チェンマイの飲料水陶器の瓶入
茶器 : マルちゃんの陶器の茶壺と白磁の茶杯
章朗古樹秋天散茶2015年

お茶の感想:
台湾茶道教室をされているPeruさんのところへこのお茶を持って行った。
+【章朗古樹秋天散茶2015年 その1.】
昨年末のことだったから、ちょうど西双版納の秋茶が終わって、できたてのお茶を飲んでもらうつもりだったと思う。
季節の終わりで茶摘みできた鮮葉の量が少ないために、大きな鉄鍋で炒るときの火加減が強すぎて、ちょっと焦がしている。鮮葉の量をみて薪の火を調整すればよいのに、そんなことお構いなし。布朗族の人たちである。
薪は1年ほどじっくり乾燥させて水分を逃してトロトロ穏やかな火が出るようにするべきなのに、半年もたたないうちに使ってしまうからバチバチの荒れた火になる。
むしろそこに魅力があるのじゃないか?という見方もできる。
感想をいただいたところ、「モワンとしている」ということだった。
モワン?
意外な表現に、もしかしたら保存を誤って湿気たのかと思って、すぐに自分で飲んでみたら冬茶の味だった。秋の旬を通り越して冬になっていたのに気付いていなかった。
ウロウロするような茶気の立ち方。そして茶湯のトロンとした舌触り。
チェンマイにて、ひとりでじっくり淹れてみても、やはりそんな雰囲気が感じられる。
章朗古樹秋天散茶2015年 焦げ
2煎めくらいまでは杯の底に焦げの粉が沈む。これが苦い。
章朗古樹秋天散茶2015年
章朗古樹秋天散茶2015年
葉底(煎じた後の茶葉)をよく見たら、茶葉のカタチも秋に比べて丸みがある。
茶樹が冬の眠りにつきかけて、茶葉の成長が遅くなって、縦に伸びにくくなるからだ。
こういうクセのあるお茶は、茶学でつかうと面白そう。
わざと茶気を立てないようにゆるく淹れてみたりとか。
この個性を欠点として見るのか、魅力あるように見るのか、淹れる人の見方次第になる。

刮風寨茶王樹古樹青餅2015年・秋天

製造 : 2015年10月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨
茶廠 : 茶王樹の製茶場
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : プラスチックバッグ密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター 
茶器 : 白磁の蓋碗
瑶族の炙り茶
瑶族の炙り茶
瑶族の炙り茶
瑶族の炙り茶
瑶族の炙り茶

お茶の感想:
「人間とお茶の関係は、クスリとしての利用からはじまって、長い歴史を経てだんだんと味が求められるようになり、実用品から嗜好品へと変化していった。」
お茶の起源にふれた本にはだいたいそんなふうに書かれている。
お茶の変化というよりも、人間の変化。
生活なり精神なりの変化が、お茶に求めるものを変えていった。
それと同時に、お茶という植物の性質も変化したのかもしれない。
野生から栽培の植物へと変化するにつれ、クスリとしてのチカラを失っていった。薬草という立場では居られなくなって、飲料という立場に降格した。
野生と栽培の中間にある森のお茶を追いかけるうちに、そんな観点も見えてきた。
人が茶に近づくほどに野性味を失ってゆく。
森のお茶に求めているのは、味や香りよりも口感・喉感、そして体感。
森の深さ、生態環境の良し悪し、茶樹の健康、長寿な古樹。
これらの価値観はクスリとしての上質を求めるもの。
生茶のプーアール茶の製法は簡素なままで良い。
素材の上等を求めることにおいて、製茶技術を凝ると素材の素顔が見えにくくなる。栽培の技術を凝るとを薬効を失う。
刮風寨茶王樹古樹青餅2015年・秋天プーアル茶
森のお茶を狙ってつくる茶商のひとり「老孟」 lao meng(そういうニックネームの人)が、秋のお茶づくりを終えて山から降りてきた。
今日はそのお茶。(この記事の投稿日よりも少し前の11月18日のこと)
『刮風寨茶王樹古樹青餅2015年・秋天』。
刮風寨茶王樹古樹青餅2015年・秋天プーアル茶
いったん餅茶に加工したのを崩して飲んだ。
山に10間泊まり込みでたったの7キロ。
今年の秋は天候が悪くて、新芽・若葉の成長するタイミングと、晒干が一日でスッキリ仕上がる天候のタイミングと、ピタッと合ったのは2日か3日だったらしい。
刮風寨の”茶王樹”のお茶は、前回訪問した”茶坪”のお茶に比べると味が若々しい。ちょっと渋味・苦味があるが、その分香りが強い。
秋のお茶にしては耐泡(煎が続く)があって、心地よく飲み続けられたが、やはり水味がある。
采茶する前日に雨の降った味がする。
今年の秋に水味の無いお茶は無い。
これは技術では誤魔化せない素材の言葉。山の言葉。地球や太陽が周回する暦の言葉。
もちろん口感と体感は上等で、ずっとこのお茶だけを飲み続けたいと思える。心地よい茶酔いが続いて、茶気の当たりは穏やかで、眠れなくなるようなことはない。
やはり森のお茶としての性質を重視して、深い森の半日陰を選んでいるらしい。
刮風寨
刮風寨
老孟は自分よりも歳は若い30半ばだが、森のお茶を狙ってつくることにおいては2年ほど先輩。
「なぜ弯弓の森の古茶樹は、今年は美味しいお茶に恵まれなかったのか?」
(弯弓の問題については過去にこの記事を書いている。)
老孟はひとことで答えた。
「摘みすぎでしょう。」
ズバリそうだと思う。人気が出てよく売れるから、瑶族の農家が森の木々を伐採して、茶樹に太陽の光を当てて、収穫を増やしたのだ。結果、摘みすぎになる。
栽培に近付いた茶樹から霊気が逃げてゆく。口感・喉感・体感にそれが現れる。

西双版納のゴルフ場
西双版納のゴルフ場
2010年から西双版納州景洪市にアパートを借りて住んでいるが、5年目の秋になって引っ越しした。この2週間ほどはそれで忙しかった。
同じ市内で仮住居ではあるが新開発区の新しいマンション。16階建ての16階。メコン川沿いで、開発区の中心となるゴルフ場を下に見る。ゴルフをする人なんてひとりも居ない地域だが、別荘として北京や上海の人が買っている。転売を目的にしているオーナーが多いので、実際に住んでいる人は部屋数の4分の1にも満たない。
農業市場のすぐ隣の下町から街の外れに移ったので、生活の面でいろいろ不便になるが、賑やかなところから静かなところへ、環境の変化がもたらす効果に期待したい。中国で人の多いところは、人の数だけトラブルも多くて、それから開放されるだけでも気分が良い。

一扇磨単樹A春の散茶2015年 その4.

製造 : 2015年03月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)一扇磨
茶廠 : 漫撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納 紙包+陶器の茶缶
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
一扇磨
一扇磨
バイクで山を登る
一扇磨の道

お茶の感想:
一扇磨へ行ってきた。
2回めの訪問。
前回のは写真ページがある。
【一扇磨 古茶樹 写真】
一扇磨は漫撒山の一部で、国有林のエリアにある。
西双版納旧六大茶山の中心的な存在であった漫撒山は、南北に距離にして30キロほど山脈が縦断する。北から丁家老寨・一扇磨・弯弓・ちょっと離れの刮風寨に茶地があり、そして易武山の老街につながる。
一扇磨の森の下
一扇磨の森の下
老街で貢茶づくりが盛んだった時代(100年以上も昔のこと)は、漫撒山に石畳の古い道が敷かれて、馬やロバが茶葉を集めていた。高級茶の産地として栄えた時代もあったが、その後に茶業の廃れた時代が長く続いて、山から人が去って、古道は緑に埋もれ、ほとんどの茶地が自然の森に還っている。
一扇磨は半径3キロくらいの地域に3つほどの山と谷が複雑な地形をつくる。今回はまだ行ったことのない別の方向の山を登った。
急な坂道をほとんど登りっぱなしで1時間半歩いたが、オフロードバイクで1時間上ってからの徒歩1時間半なので、前回のはじめから徒歩3時間半よりはましだった。
途中で疲れて膝がガクガクしてくる。草が深くて見えない石や切り株に足をぶつける。海抜が高くなってゆくにつれ息が上がってくる。ジョギングなどのトレーニングをしていても、山道を歩くのはまた別。
一扇磨の小茶樹の農地
一扇磨の小茶樹の農地
一扇磨の小茶樹の農地
一扇磨の沢水
一扇磨の水源地
お昼ごはん
山頂を超えて少し下がると、急に開けた明るい茶地に出た。
人の背の高さくらいの樹齢50年以下の小茶樹が植わっている。
下草が刈られて、雑木も切られて、太陽光がサンサンと照る。サッカーグランドくらいの農地がぽつんとある。周囲は国有林の深い森が迫っている。
国有林は新しく茶樹を植えて農地にすることはできない。雑木を切ることもできない。茶を摘むことと、その足場を確保するための最低限の草刈りだけが許されている。
一扇磨の農地
一扇磨の農地
単樹のお茶はこの農地の周囲の国有林の森に一本一本散らばって生きている。
今年の春に2本の単樹のお茶を入手していた。
『一扇磨単樹A春の散茶2015年』。
『一扇磨単樹B春の散茶2015年』。
一扇磨単樹
一扇磨単樹
『漫撒陰涼紅餅2015年』を丁家老寨でつくっていた日程と重なって茶摘みに立ち会えなかったので、今回は茶樹を見たかったのだが、行ってみると似たような大きな茶樹が何本もあって、どれがAでどれがBか分からない。農家もはっきり覚えていなかった。
一扇磨単樹
一扇磨単樹
森のお茶は野生茶ではない。
完全な野生茶は、常緑広葉樹林の森の影に隠れて育つので、日当たりが悪く、ヒョロヒョロと徒長して、成長が遅く、年に一度だけ春の終わりに新芽を出す。一本につき一采茶できる茶葉は一握りもないので、実際にはお茶に加工できない。
生茶のプーアール茶にするための殺生(鉄鍋で炒る)には、鮮葉にして2キロはないとうまくゆかない。
野生茶
野生茶
野生茶
野生茶
(森の影にヒョロヒョロと育つ野生茶樹)
ほんとうは野生茶というお茶は存在しないことになる。
お茶としてつくれるのは森のお茶。
山岳少数民族の移動生活と焼き畑農法が減った現代は、人間が山に入って道をつくったり、農地を開拓したりすることで、その周囲に少しだけ陽当りのよいところができる。半日陰と呼ぶ状態になる。太陽光を受けた茶樹が新芽を増やしてゆく。采茶(茶摘み)されると枝の分岐が増えて、新芽はさらに増える。茶樹はゆっくり眠りから覚めるように新陳代謝を活発にしてゆく。
その過程にあるのが森のお茶。
しかし、人間がさらなる生産性を求めて、採光を増やしたり、栽培的な手入れをしたりすると、森のお茶ならではの風味は失われる。毎年采茶されるのは”自然栽培”というカテゴリーのお茶になる。
この関係、この距離感。
人間から遠く離れすぎた茶樹はお茶にできない。
人間に近付きすぎた茶樹はクスリとしての質を落とす。
遠からず近からず。
一扇磨の単樹のお茶
一扇磨の単樹のお茶
一扇磨の単樹のお茶
一扇磨
一扇磨の単樹は、まさに人間とよい距離感。
『一扇磨単樹A春の散茶2015年』の最後の粉々になった茶葉。
一扇磨単樹A春の散茶2015年プーアル茶
一扇磨単樹A春の散茶2015年プーアル茶
一扇磨単樹A春の散茶2015年プーアル茶
一扇磨単樹A春の散茶2015年プーアル茶
粉々でも味は濁らない。抜群の美味しさ。清潔で爽やか。
茶気の強い当たりは単樹のお茶には少ない。穏やかな酔い心地が長時間続く。たくさん飲んでも夜は気持よく眠れる。

昨年から「山頭茶」という言葉が流行っている。
山それぞれのお茶の個性を楽しむということだが、山の地形・地質・気候・生態環境・茶の品種などを考慮したお茶づくりはされていない。その山で採取した古茶樹の茶葉であるという事実をつくるだけで精一杯。内容の伴わないマーケティングに終わっている。
でも、その概念だけでもお茶ファンに知ってもらったのはよかった。
一扇磨の山
山頭茶が目指した本来の目的地は、上質な森のお茶をつくることにある。
一扇磨・弯弓・刮風寨を縦断して易武老街につながる漫撒山の古道は、深い森の緑に覆われて消える寸前にある。崩れた石畳の石は建築資材として地域の人々に盗まれて消失している。
かつての山に詳しい老人だけが古道を道案内できるというから、その人達がまだ元気なうちに1週間ほどかけて漫撒山を歩こうかと茶友らと相談している。毒蛇や山蛭のいない1月から2月に実行したい。


茶想

試飲の記録です。
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