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茶教室・京都

7592七子餅茶1999年 その2.

製造 : 1999年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶孟海茶区ブレンド9級
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアール茶
形状 : 餅茶357gサイズ崩し
保存 : 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・グラスの茶杯・鉄瓶+炭火
90年代熟茶

茶の感想:
熟茶は微生物発酵の黒茶に分類されるが、黒茶は大きく育ったやや繊維の硬い茶葉(老葉)でつくるのが基本だが、近年の熟茶はそうでもない。けっこう若くて繊維の柔らかい茶葉でつくられる。
その理由は、新芽・若葉の柔らかい若い茶葉でつくる生茶が市場でよく売れているから、農家はその需要に向けて、とりあえず若い茶葉で晒青毛茶(天日干しの緑茶)をつくってしまい、売れなくて困ったのをメーカーが安く買い叩いて、熟茶の原料となるからだろう。
わざわざ大きく育つのを待ってから摘んで伝統的な黒茶のための原料をつくっている農家を現地では見たことがない。
葉底
写真:刮風寨の早春の若い茶葉。柔らかくて粘着力もある。
また、新芽・若葉が上棟という認識が蔓延している。
上質なお茶を求めて産地のお茶づくりにまで手を出している人達も、「春の旬の若葉で熟茶をつくったら良いに違いない」みたいなことを言う。
葉底
写真:沈香黄片老茶磚80年代 硬い老葉
若葉と老葉とでは内容成分が異なるので、その違いが微生物発酵にも影響して、ちょっと違った味の熟茶ができるかもしれないが、実際のところみんなできていない。
美味しい不味いの違いはあるけれど、味の方向というか系統というか、みんな同じほうを向いている気がする。
新芽・若葉の成分構成が同じだから。
成分構成だけでなく、茶葉の大きさやカタチ、繊維の形状や性質など、物理的なものも微生物発酵に影響がある。
今日のお茶は、黒茶らしさのある老葉の熟茶。
+【7592七子餅茶1999年】
近年の熟茶にこういう茶葉は少ない。
温め
一煎め
熟茶の新製法を探るために渥堆発酵を試して、最近問題にしている微生物発酵中の通気のこと。
竹籠を利用した渥堆発酵では、空気が竹籠の内側にこもりやすくて、水蒸気が逃げにくくて、茶葉同士が密集しやすくて、老茶頭(水を多く含んだために茶葉同士がくっついて石ころみたいになった部分)とよく似た味になる。パラパラの散茶のはずなのに老茶頭に似た味になる。
微生物がやや呼吸困難になった状態でつくる成分が老茶頭の味を形成するのだが、しかし、この味は近年のメーカーのどの熟茶にも見られる。
メーカーは竹籠を利用しないで、地面に茶葉を堆積した昔ながらの渥堆発酵のはずなのに、なぜか老茶頭っぽい味の熟茶が市場に流通している。
茶湯の色
90年代のこのお茶『7592七子餅茶1999年』のようなサラッとした口感の茶湯とは違って、ちょっとヌルんとしていて、味も暑苦しいような濃さを感じる。
2010年のオリジナルの『版納古樹熟餅2010年』もどちらかというと暑苦しい。近年の熟茶の系統の味である。
葉底
あくまで推測だが昔の熟茶づくりに大きく育った老葉が使われていたのは、通気の問題が考慮されていたからだ。
堆積した茶葉に水を撒いても茶葉同士が密着しないで隙間をつくりやすい老葉の大きさ・形状・繊維の弾力。
茶葉の内側に水が入り込んでも外に逃がしやすい老葉のミクロの繊維の水道管の排水力。通気力。
若葉ではどうやっても無理。水を吸ったら、黒麹菌など主役の微生物を呼吸困難にさせる。
微生物が呼吸しやすいかどうかが味の系統を分ける。
現在の市場において、老葉をつかった熟茶の復活は難しい。
原材料の老葉を採取する農家がいないこともあるが、消費者が若葉の味の熟茶に慣れていることもある。

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茶想

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