プーアール茶.com

茶教室・京都

中茶牌65周年青磚03年 その2.

製造 : 2003年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明ー上海 紙包密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
中茶牌65周年青磚03年プーアル茶

お茶の感想:
引き続き『中茶牌65周年青磚03年』。
たぶん何度も同じような話をするけれど、大事なことは繰り返す。
このお茶を飲んで、やはり生茶のプーアール茶は10年以上寝かせてからが完成品だと思った。
風味はまだ鮮やかなのに、成分は熟成してまろやかになっている。
味と体感の絶妙なバランス。他のお茶には真似のできないもの。長期熟成にしかできない技だと思う。
出来立てのお茶の溌剌とした風味には魅力があるけれど、成分には棘がある。とくに春の旬には棘が多い。薬にもなる成分は摂りすぎると毒になることもある。
薬になるか毒になるかの量は個人によって異なるし、体調によっても異なる。だから、「○○○○という成分にどういう効能・効能があって・・・」と学者みたいな言い方よりも、「冬に青いお茶を飲んだら体冷やすよ・・・」とおばあちゃんみたいな言い方のほうが実践的。
春の旬の棘はパッと心を捉えるチカラがあるから、外からのお客を迎えるには欠かせない。しかし、家で毎日飲むようなお茶ではないと思う。
昔の人たちは毎日飲むお茶に棘の成分を嫌っていた。そういう工夫が一部のプーアール茶にも残っている。
どの文献に書いてあったのか忘れたが、1600年代の記録に緑茶を壺に入れてまろやかになるまで数年待ったという話が出てくる。この緑茶はおそらく生茶とおなじく天日干しで仕上げたもので、長期保存に適していたのだろう。
『中茶牌65周年青磚03年』はまさにそんな感じのお茶。
中茶牌65周年青磚03年プーアル茶
中茶牌65周年青磚03年プーアル茶
今日はかすかに新鮮な葡萄の香りを後味に見つけた。
品種がちがったり、山の斜面がちがったり、農家によって製茶技術がちがったり、仕上がる日の天候が違ったり、いろいろなムラがあるから、しっかり混ぜ合わせてあってもムラが残る。毎日飲むお茶としてはムラがあったほうが飽きないと思う。

生茶の棘のある成分は女性のほうが嫌う傾向がある。
中国の茶葉の小売店は、たいがい女性の店員がお茶を淹れて試飲させてくれるが、生茶の新しいのは飲まないようにしているという店員さんがあんがい多い。身体が受け付けないのだろう。
ほんとうはこういう話がお客様ひとりひとりとできるのが理想だと思う。
どのお茶が一番人気だとか、お買い得だとか、そんな他人の評価よりも、個人に合うかどうか。
料理もそう。
例えば、
なじみの居酒屋に行くとする。
「今日はパソコン見過ぎて目が疲れた。」
と話したら、居酒屋のおやじが、
「サザエのキモ喰いな。今日いいのが入ったよ。」
とすすめてくれる。
サザエのキモが自分の口に合うかどうかなんてこの際どうでもいい。苦くても良薬。口にやさしい料理ばかりが親切じゃない。
けれど、こういう味覚を教えてくれる人がお店にも家にも居なくなっている。
店は顧客満足のためにウケる味ばかりを狙う。
(だから農家のつくる野菜も品種改良されて薬効の無い味になる。)
家は核家族化しておじいちゃんおばあちゃんは役に立つ出番なく施設に入る。
(もっとも僕らの親の世代はすでに食生活の知恵を失っている。)
身体によいお茶の選び方。飲み方。自分で探って知るしかないところもあるが、そのヒントをくれる人がもっと身近にいてほしい。
キノコ鍋
鶉の干し肉を出汁にしてキノコ鍋をつくった。キノコは3種。天然の長芋(山薬)も入る。

中茶牌65周年青磚03年 その1.

製造 : 2003年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明ー上海 紙包密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
中茶牌65周年青磚03年プーアル茶
中茶牌65周年青磚03年プーアル茶

お茶の感想:
このお茶いい!
『中茶牌65周年青磚03年プーアル茶』。
渋い・苦い昔ながらの気骨ある風味。
唇の内側や歯茎がシワシワするほどの収斂味。
なのにまろかやでお腹への刺激も穏やかなのは10年熟成の賜物。
男のお茶だ。
なんといっても作意が無い。
「中国土産畜産雲南茶叶進出口公司」が下請メーカーに委託生産するときに、「なるべくいい茶葉を使ってね。」くらいのざっくりした注文しかしていないだろう。
原料となる晒青毛茶をつくる農家は、いつものようにお茶を摘んで炒って揉んで天日干しする日々の暮らしをしているだけで、とくべつ美味しいお茶をつくるつもりなんてなかっただろう。
下請メーカーも山の農家を回って、出来上がった晒青毛茶を有るだけ買い集めただけで、技術的な注文などしていないし、仕上がりのムラは混ぜ合わせて解決しただろう。よく混ぜるほど茶葉が切れ切れになって渋味が出るが、どのみち強く圧延して切れ切れになる。長期熟成したらまろやかになるから大丈夫。そういう粗っぽいつくり方だっと思う。
雲南の2003年は大陸でのプーアール茶ブームが来る直前で、まだ需要が限られていた。農家の生活は日本の時代感覚でいうところの明治時代。あるいは江戸時代。世界のお茶の故郷でありながら、世界でもっとも文明の後れたお茶づくりが残る聖地だったのだ。
だから適当なつくりでも生まれながらに素質の良い茶葉の集まることがあった。これを外の世界に運びだしたら珍しいくらいに強い味のお茶となる。
中茶牌65周年青磚03年プーアル茶
中茶牌65周年青磚03年プーアル茶
一方で外の世界のお茶はすでに経済の荒波に揉まれてお客様に喜ばれる味を追いかけている。有名なお茶どころでは有名茶師の手掛けるすばらしい技術のお茶が出てくる。ブランド力のある会社のマーケティングによって新しい味が出てくる。雲南も今そうなりつつある。もちろんまだ素朴なお茶もたくさんあるが、作意を持ったお茶に全体がひっぱられてキレイになってゆくのは自然な流れだ。栽培も製茶も人工的になってゆく。人工的な”オーガニック”もある。
作意のあるお茶は飽きる。
ミシュランで星の付くレストランの料理のようなわざとらしさがある。
数年前に新宿のSM倶楽部のオーナーさんと上海で食事をしたことがあった。(経済視察のツアーに来られていた。)そのときの話が思い出される。「女王様が演技できるのは叩かれて喜ぶオヤジがいるからであって、”痛えなコノ野郎!”と怒られてはサービスが成り立たないのです」。相席していた人たちはサラッと聞き流したが、自分はすごく納得した。女王様とオヤジの関係はいろんなところにある。例えば、漫才で笑いたい観客。結果が見えるプロレス。ファッションの流行。有名シェフの料理。大企業の上司と部下。みんなどこかSMごっこなのだ。
作意に満ちたお茶もそうで、そういうお茶に感動したい人がいるからこそ無駄に美味しいお茶がつくれる。だから文化が成り立つとも言えるが、都市生活における圧力の無いところから冷めた目で見ると、くすぐったくなる。
作意のあるお茶は疲れる。
美味しいものが食べたければ、近所の小さな居酒屋でよいのだ。
それよりも早く家へ帰ってお茶漬けが食べたいのだ。
そう。つまりこのお茶は”お茶漬けの味”。
チカラが抜けていて、ほっとする。
世界のお茶の故郷は、お茶の味の故郷でもある。
昔の家庭を展示する博物館に”お茶漬け”が飾られる日が来る。
そのときには、雲南のプーアール茶は会社がつくるお茶になっていて、農家がつくるお茶ではなくなっているだろう。すでにそういう兆候がある。

弯弓秋の散茶2013年 その2.

製造 : 2013年11月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)弯弓
茶廠 : 丁家老寨の農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納―上海密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
弯弓秋の散茶2013年プーアル茶

お茶の感想:
お茶の歴史の紆余曲折があって、人里離れた幻の茶山となっていた”弯弓”が、今復活している。
【弯弓 2013年 秋天】
何百年も前の山の姿がそのままある聖地。
しかし、ここの自然が豊かなのは人間社会から隔絶されたからではない。
自然環境は人間が居ないほうが良くなる、という考え方はここでは間違っている。
弯弓の一帯は、周辺の村から十キロ以上も離れているけれど、生態環境の命の輪はつながっている。
生き物は移動する。
虫も鳥も獣も植物も細菌類も、自ら走ったり跳ねたり飛んだり、あるいは命を交換しながら弯弓へたどり着くことができる。周辺の村々の人の暮らしは消費だけでなく還元がある。ちょっと具体的に言うと、食べることに関わるゴミや排泄物はどこか別の土地で燃やされずに周辺の他の生きものの命に変わって生き続ける。農業という行為によって循環の活性化が行われる。そこで新しく命を得た生きものが活動して生態系の輪を広げてゆく。人の住まない弯弓へもそのエネルギーた届く。
水も移動する。
山の下の谷にある熱帯雨林や水田が上昇気流をつくり風とともに水を運ぶ。弯弓の山の上の木々は葉を広げて風から水滴を捕まえ、地面へ水を還元する。水が沢となり小川となり周辺の村々へと流れながら命を育む。
弯弓は孤独な山ではない。
漫撒山丁家寨
漫撒山丁家寨
漫撒山丁家寨
(丁家寨の村を流れる小川の水源は向こうの山を3つほど越えた弯弓にある。朝の冷たい空気に田んぼから湯気が上がり霧となり雲となり、向こうの山にゆくのを目の当たりにできる。)
一方で、日本の山は年々色あせてゆく。
山から流れる川の水が減ってゆく。
日本に帰国するたびにこれを見て不思議に思っていた。山から人が離れて過疎化が進み、環境保護や都市でのエネルギーの効率化も進んでいるのに、なぜか山は弱ってゆく?
このことが今ちょっとわかる気がする。
人々の暮らしが都市化したことで消費だけになって還元していないのだ。
食べることにまつわるゴミや排泄物はどこか遠くへ運ばれて処理される。周辺の他の生きものの命に変わって生き続けることはない。命が山に戻らない。人々の暮らしは山の生態環境の輪に参加していない。
さらにその上に公共事業で山の水を抜く土木工事が止まらない。水は土管やコンクリートの溝を流れるだけで命を育まない。
自然愛好家がゴミを拾っても、木の苗を植えても、消費の一方通行にかわりはない。奪うだけで交換していない。そういう愛し方では山の命の輪に入れてもらえないのだ。
歴史のどこかの時点で命の輪に参加する人の生き方が否定されて、新しい人の生き方が提唱されたと思う。お茶の歴史から見たら日本では明治時代にそれがはじまっている。明治時代にあったことが、今の西双版納にはじまろうとしている。
でも、もしかしたら大丈夫だと思う。
人が同じことを繰り返すのだととしたら、今の人の生き方が否定されて、新しい人の生き方が提唱されるはずだ。我々の親たちが彼らの親たちの生き方を否定してきたように、我々が親の生き方を否定すればよい。さらに子供たちが我々の生き方を否定して、間違いを正してくれるだろう。
弯弓秋の散茶2013年プーアル茶
弯弓秋の散茶2013年プーアル茶
今日はこのお茶。
【弯弓秋の散茶2013年プーアル茶】
きれいにつくっているから洗茶なし。
熱い湯で淹れるのがよいけれど煮出してはいけない。さっと湯を切る。透明なお茶から弯弓の森の香りがする。山水の味がする。

紫・むらさき秋天紅茶2011年 その7.

製造 : 2011年10月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹秋茶
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター 
茶器 : 小さめの蓋碗
紫・むらさき秋天紅茶2011年

お茶の感想:
紫・むらさき秋天紅茶2011年
紫・むらさき秋天紅茶2011年
今日はこのお茶。
【紫・むらさき秋天紅茶2011年】
このお茶はグッと熱を通した淹れ方が美味しいので、大きめのポットでざっくり淹れるのがいちばんだけれど、あえて小さめの蓋碗で挑戦した。蓋碗は万能じゃないとわかっていながらも、なぜか試したくなる。
この場合、極力茶葉を少なめにする。熱交換だから、熱の量が茶葉の量に比べて圧倒的多量になるバランスにする。
そして、今日はものすごく美味しくなった。びっくりした。
煙草香の個性もたまらなく魅力的で、なくてはならないスパイスと言える。これがあるから毎日飲みたいお茶になると思う。やはりこの紅茶は他の紅茶と飲み比べしちゃいけない。単独で飲んだときの美味しさは、他の紅茶を単独で飲んだ時の美味しさをはるかに越えているように思う。

漫撒茶山黄金葉熟餅05年 その3.

製造 : 2005年
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶+微生物発酵
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み 竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
漫撒茶山黄金葉熟餅05年

お茶の感想:
「お茶づくりが作意に目覚めちゃいけない。」
これが今年に学んだことのひとつ。
作意とは、わかりやすく言えば、どんなに美人でも整形ならガッカリということ。
人がつくるから作意の入り込む余地がある。
その余地の少ないのが山の農家のつくる晒青毛茶。
プーアール茶の原料となる晒青毛茶には有名茶師などいらない。
製茶技術に価値がついていない。
そこがよい。
価格の差の生じるのは、どの茶山のものか、山のどの辺りで採集したのか、古樹茶か台地茶か、古樹茶なら在来の品種か外来の品種か、摘んだときの季節や天候、摘み方、そして市場の需要と供給のバランス。これらはすべて自然条件に価値がついているのであって、人の創作への評価ではない。
漫撒茶山黄金葉熟餅05年プーアル茶
漫撒茶山黄金葉熟餅05年プーアル茶
漫撒茶山黄金葉熟餅05年プーアル茶
このお茶『漫撒茶山黄金葉熟餅05年』の晒青毛茶は、農家の家に袋のまま置いてあるうちに勝手に微生物発酵したのであって、人工的に発酵させたものではない。圧延加工した工房が倉庫の湿度と温度を調整して醸してつくった熟成風味でもない。
漫撒茶山の気候と山の農家の暮らしがつくったのだ。
作意の無い良いお茶は飽きない。

漫撒茶山黄金葉熟餅05年 その2.

製造 : 2005年
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶+微生物発酵
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み 竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめ蓋碗
漫撒茶山黄金葉熟餅05年プーアル茶

お茶の感想:
前回の記事はこのお茶を珍しいように書いたが、易武山の環境では無加水で自然に微生物発酵するのは珍しくないことだから、探し方次第では見つかると思う。
ただ、自分の経験ではハズレが多い。
『漫撒茶山黄金葉熟餅05年』がアタリだった理由は、成長しきった茶葉の”黄片”だけでつくられたことだろう。比較的微生物の好む成分構成であり繊維構造である。
似たような茶葉をいくつか入手したが、いずれも美味しくなかった。
漫撒茶山黄金葉熟餅05年プーアル茶
(左の『漫撒茶山黄金葉熟餅05年』は発酵によって変質した茶葉を圧延加工しているので、ゆるい。)
『漫撒茶山黄金葉熟餅05年』と『弯弓の黄片の餅茶2012年』の飲み比べ。
【弯弓秋の散茶2013年プーアル茶 その3】(ここに登場するお茶)
漫撒茶山黄金葉熟餅05年プーアル茶
漫撒茶山黄金葉熟餅05年プーアル茶
左: 漫撒茶山黄金葉熟餅05年
右: 弯弓の黄片の餅茶2012年
微生物発酵は風味の中に良質なキノコの存在が感じられる。
森の土の香りとアミノ酸の旨味。それが右の『弯弓の黄片の餅茶2012年』には無くて、左の『漫撒茶山黄金葉熟餅05年』には有る。
『弯弓の黄片の餅茶2012年』は、餅茶になる前に微生物発酵していなかったらしい。餅茶になってからは微生物発酵しにくい。
『漫撒茶山黄金葉熟餅05年』は散茶の状態で袋に詰められていたから、そのときに微生物発酵している。
この違い。

漫撒茶山黄金葉熟餅05年 その1.

製造 : 2005年
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶+微生物発酵
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み 竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
漫撒茶山黄金葉熟餅05年プーアル茶
漫撒茶山黄金葉熟餅05年プーアル茶

お茶の感想:
ちょっと前にこう書いている。
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『漫撒茶山黄金葉熟餅05年』は、
生茶としてつくられたけれど微生物発酵している。
だから生茶の黒茶。
近年の生茶の緑茶でもなければ熟茶の黒茶でもない。
これが1980年代までは生茶の標準だった。
あくまで独自の推測だけれど、いろんな観点から見てほぼ間違いないと思う。
生茶の黒茶というタイプのプーアール茶が現在はほとんど無い。
【前の記事】
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漫撒茶山黄金葉熟餅05年プーアル茶
漫撒茶山黄金葉熟餅05年プーアル茶

山の人が市場に売っていた薬草。
どうやらこの季節に採れるらしい。
「涼薬」と言っていた。お茶みたいにして飲む。
薬草
薬草
ミントのようなスースー感。
パセリのような苦い香り。
カモミールのような透き通った甘味。

紫・むらさき秋天紅茶2011年 その6.

製造 : 2011年10月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹秋茶
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター 
茶器 : 大きめの蓋碗
紫・むらさき秋天紅茶2011年
紫・むらさき秋天紅茶2011年

お茶の感想:
「熟茶の葉底の正しい色は、黄金色から朱色の明るい色であり、黒くなったのは良い発酵ではなく炭化したダメな結果である。」
中国のお茶の雑誌だったと思うが、このような文章を見かけた。
この情報には嘘があると思う。
黒く変色するのは、炭化してダメになった茶葉だけではない。
たしかに黄金色から朱色の明るい色になるのもある。新芽・若葉は発酵しても明るい色を保つので、それらを篩分けしてつくられたお茶はそうなる。
ところが、大きく育った葉や茎は同じ発酵度であっても黒く変色しやすい。葉の成長段階によって内容成分が異なるので、発酵の結果も異なる。
栄養補給のためにお茶が欠かせない四川やチベットの高地の遊牧民は、大きく育った老葉や茎が多くて黒く変色したお茶を重宝している。四川の黒茶”康磚”はとくにそんな感じ。彼らにとっては新芽・若葉よりもそれが上等と言える。
老葉の熟茶は黒いが、それが炭化していたのだとしても、その成分が彼らの身体に必要かもしれないことを否定できないはず。
安易に入ってくる情報にはポジショントークが多すぎる。
紫・むらさき秋天紅茶2011年
品種も茶葉の色に関係している。
同じ製茶をしても白っぽい色になる品種もあれば、黒く変色する品種もある。
西双版納の古茶樹の茶葉には黒っぽく変色するものが多いと思うが、このことがおそらく1940年頃から1950年頃に西双版納の孟海県で大量につくられていた紅茶が市場から消えた原因のひとつであると推測する。
明るい色が正しい。
という情報が先に広まると、それが事実になって市場が形成される。
商売だから、業者は市場に普及した情報に合わせて売りやすいお茶をつくる。
明るい色になる産地の茶葉が選ばれるようになる。
あるいは品種改良される。
こうした流れは雑誌・テレビ・ネットが普及する以前からあったと思われるので、人の社会の自然現象かもしれないが、この現象を利用して商売上の有利な立場をつくる業者は後を絶たず、食べものや飲みものの知恵を失うことに歯止めがきかない。
今日はこのお茶。
【紫・むらさき秋天紅茶2011年】
煙草香のある紅茶。
これが好きでリピートされるお客様もいらっしゃるけれど、万人ウケはしないと思う。
今回は南糯山の若い茶樹の紅茶と比べてみた。
紅茶はしっかり熱を通したいので、器を温めて、熱い湯でじっくり抽出する。
『南糯山生態紅茶2013年』
紫・むらさき秋天紅茶2011年と南糯山生態紅茶2013年
紫・むらさき秋天紅茶2011年と南糯山生態紅茶2013年
左: 紫・秋天紅茶2011年
右: 南糯山生態紅茶2013年
南糯山の紅茶のほうが慣れ親しんだ紅茶の味がする。
身体に沁みついた記憶は更新できない。

版納古樹熟餅2010年 その17.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み+竹皮
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター 
茶器 : 大きめの蓋碗
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
(一枚崩してタッパーに入れたところ)

お茶の感想:
お茶を味を見るのは自分の身体のコンディションを見ることでもある。
薬効を求めるならこの観点が重要だと思う。
薬効を自分の身体に聞く。
暑いときは、生茶の『巴達古樹青餅2010年』。
寒いときは、熟茶の『版納古樹熟餅2010年』。
雨のときは、紅茶の『巴達古樹紅餅2010年』。
例えば自分ならこの3つだけで十分。
旅にはいつも生茶・熟茶・紅茶の3種を持って行く。
一日のうちにも身体のコンディションは変化する。
まるで天候のように移り変わる。どんなときにどのお茶を飲むべきか、飲むべきでないか、それを知るにはいろいろなお茶を試すよりも、あるひとつのお茶で効果を見つけたほうがよい。
あるときは美味しいと感じるお茶が、あるときは美味しくないと感じる。
どんなときにそのお茶が自分の身体に合っているのか少しずつわかってくる。
自分の身体に自問自答を繰り返す。お腹の感覚、心臓の鼓動、鼻で息するときの通り具合、手足の指先や唇に現れる微かな兆候、それらに注意する。
今朝はこのお茶。
【版納古樹熟餅2010年】
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
版納古樹熟餅2010年プーアル茶
寒い日はこのお茶が甘い。
このお茶が甘い日は身体に熱い料理を食べても”上火”しにくい。
西双版納は久しぶりに寒い冬を迎えているが、基本的に亜熱帯気候なので、ふだんから調子よく肉を食べたりすると身体に熱が溜まって上火する。
上火すると歯茎や唇や舌に腫れものができたり、鼻水が出たり、喉がイガイガしたり、寝汗をかいたり、まるで風邪ひきのような症状が現れる。風邪薬を飲んでもまったく効かない。体力を付けるために肉を食べたりしたら火に油を注ぐことになる。
上海から引っ越してきた頃はそれがわからなくて、1ヶ月以上もの間すっきりしない身体で過ごしていた。
現地の友人に指摘されて、薬局で売られている150円の漢方薬を飲んで西瓜を食べたら2日で治った。
上火すると基本的に身体を温めるお茶はよくない。しかし自分の場合はなぜか『巴達古樹紅餅2010年』だけが上火の回復を助けてくれることに気が付いた。
紅茶は一般的に身体を温めると言われるが、茶葉の性質や製法になにか違いがあるのだろう。

蜂蜜酒
蜂蜜酒
蜂蜜酒をつくる。
水を入れるだけの完全自然醸造。
酵母を加えたり、かき混ぜたはしない。
というのは、この蜂蜜は買った時からすでにブクブク泡を吹いていたのだ。天然酵母がついていると見た。

南糯山神青餅2011年 その5.

製造 : 2011年12月
茶葉 : 雲南省西双版納南糯山老Y口寨古樹2010年秋茶2011年春茶
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
南糯山神青餅2011年プーアル茶
南糯山神青餅2011年プーアル茶
南糯山神青餅2011年プーアル茶

お茶の感想:
西双版納の古い品種の茶樹は温かいところが好き。
山の斜面の風あたりの弱いところや大きな木々に囲まれたところに群れる傾向がある。
温かいところは虫が多い。
虫だけでなく細菌類も多い。
だから免疫力のガードが上がる。
虫や細菌の嫌う成分や、細菌類の働きが機能しなくなるような酵素(抗生物質ともいう)をつくり、その一部はお茶の風味となって現れる。
長い目で見ると世代交代をくりかえすうちに病害虫に抵抗力の強いものだけが生き残り、品種の特性となってゆく。
だから古い品種の茶樹に薬効が強いと考える。
今日はこのお茶。
【南糯古樹青餅2010年プーアル茶】
南糯山神青餅2011年プーアル茶
南糯山神青餅2011年プーアル茶
南糯山神青餅2011年プーアル茶
滋味あり。
薬味あり。
柑橘系のふんわり甘い香りあり。
春の茶葉と秋の茶葉のブレンド。
古い茶山の古い品種の茶樹から採集した茶葉のお茶。

西双版納に帰ってきた。
今回はここで年越しする。
西双版納
愛尼族(アイニ族)の正月は1月1日だから、彼らのいる「南糯山」や「巴達山」へ行って美味しいもの三昧で過ごして身体を肥やすつもりだ。
物価が上がって、地方都市ではとくに食べものの価格の上昇が激しいけれど、山へ行けばなんでもある。食べられもしない紙幣を「お年玉」としてふるまいさえすれば、健康を維持して命をつなぐ食べものが食べられる。
ここでは日本酒が飲めない悩みがあったが、よく考えてみたら「酒税法」みたいなヘンな法律は及ばない。無農薬・無肥料の米や穀物、果物や極上の蜂蜜を醸して、酒造りをしてみようと思う。
家庭での酒造り文化を守りたい人は日本から出たらよいのだ。たぶんこれがもっとも早い解決方法であり、食文化を守るひとつの手である。文化は「国」という外来種が守るものではなくて在来種の「個人」が守るものだ。
西双版納のお茶づくりの歴史からそれを学んだ。


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