プーアール茶.com

茶教室・京都

竹殻熟茶磚90年代 その1.

製造 : 1990年代
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 昆明茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 昆明 竹皮包
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
市場で売っていた自家製ビーフジャーキー。
牛肉干巴。黄牛を絞めた時だけ山の人が売りに来る。
買うときは必ず手に取って鼻に近づける。傷んでいないか確かめる。
牛肉干巴
囲炉裏で燻されてヤニが付いて、ローソクの表面のようになっている。
草だけで育った黄牛は脂肪が少ないから手にベタベタしない。乾燥してカチカチに硬い。
煙の香りの強いのが良い。煙の香りの弱いのは水分が多くて腐りやすいし、味がしまっていない。
表面に白い粉が吹くのは塩分。涼しい季節しかつくれないから、そろそろシーズン終了。
水で表面を洗って8分間蒸して食べる。
牛肉干巴
日本に帰国していた時に、「現地で変なものいろいろ食べてますね・・・。」と誰かに言われたが、ほんとうは知らないうちに変なものが口に入っているのは皆さまのほう。
国とか業界団体とか企業とかに品質保証を任せる仕組みは、安心できて賢く見えるけれど、実はうまく機能しない。
みんなのためにやりながら、誰が悪いわけでもなく、誰の責任でもなく、みんなの望まない結果となる。
人の社会の構造的な問題で変なことになる。
どんなに面倒でも、個人が自分で責任を持って食べものの良し悪しを見極めるほうがよいと思う。
そうすると、加工された食品よりも原料に近いものでなければ心配。見て・触って・嗅いで品質を確かめる。
中国茶は自分で品質を確かめるもの。
業界団体や企業が品質保証している茶葉にろくなのはない。
今回問屋さんから回ってきたこのサンプルのお茶がそうだった。
竹殻熟茶磚90年代プーアル茶
不味かった。
ゴミレベルのひどいお茶だった。
こういうのを平気で売る。
竹殻熟茶磚90年代プーアル茶
葉底(煎じた後の茶葉)から生茶のブレンドが見つかった。
生茶をブレンドした熟茶が出てきたのは1990年代中頃からだと思うが、このタイプの熟茶にひどいのが多いところから推測するに、なにかの失敗を隠すための工夫なのだろう。
口直しに、手元にある熟茶を飲んだ。
『銷台甲級沱茶90年代』。
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
実は、この美味しい熟茶を持っていた問屋さんは、ゴミのようなお茶をすすめてきた問屋さんである。
なにも追求しない。
「このお茶ダメ」。
それだけのこと。
また懲りずに悪いお茶をすすめてくるだろう。

南糯古樹青餅2010年 その4.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山老Y口寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
西双版納の蘭
西双版納の蘭
西双版納の蘭
西双版納の野菜市場に蘭が出てきた。
お茶と同じで今年はちょっと早いみたい。

お茶の感想:
古茶樹のプーアール茶は酔い心地が大事な観点。
だからしっかり飲んで酔わなければならない。
酔いの良し悪しを見る。
春の旬のこの時期、新しいお茶をいくつもテイスティングするのは辛い。不眠症になる。
古茶樹の酔いは、はじめは眠くなることが多いが、夜中にパッチリ目が覚める。
体は休んで頭だけが冴えて妙な不快感がある。
そんなお茶でも、20年以上寝かせたら変わってくる。
酔っても眠れるようになる。
心配しないでいくらでも飲めるのは、お茶好きにとっては嬉しい。
この効果こそが長期熟成させる理由のひとつ。
味の魅力だけではない。
南糯山の古茶樹のお茶には際立った美味しさはないが、酔い心地の観点で評価するとそこそこ良い。
【南糯古樹青餅2010年】
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
今日はちょっとぬるめの湯でじわっと抽出した。
熟成4年目になると白葡萄のような香りが熟れてブランデーのようになってくる。

西双版納の鯉と鯰
西双版納の鯉も鯰もギギも、日本で食べたのよりもずっと美味しい。
のびのびとした鯉の体やヒレのラインを見よ!
野生育ちの野鯉。

紫天樟香青磚80年代 その3.

製造 : 1980年代
茶葉 : 雲南省西双版納州易武山
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代) 南天公司監修
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 香港ー昆明 紙包・段ボール密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
紫天樟香青磚80年代と陳年プーアル茶磚80年代
紫天樟香青磚80年代と陳年プーアル茶磚80年代

お茶の感想:
昨日のサンプルの『陳年プーアル茶磚80年代』が美味しいので、同じく1980年代のこのお茶『紫天樟香青磚80年代』と比べてみた。
価格差は3倍ほど。
『紫天樟香青磚80年代』は正統派ではあるが、当時としては大衆茶だったと思われる。そういう工夫が茶葉に見られる。
紫天樟香青磚80年代と陳年プーアル茶磚80年代
紫天樟香青磚80年代と陳年プーアル茶磚80年代
紫天樟香青磚80年代と陳年プーアル茶磚80年代
紫天樟香青磚80年代と陳年プーアル茶磚80年代
左: 紫天樟香青磚80年代
右: 陳年プーアル茶磚80年代
価格差なりだった。
『紫天樟香青磚80年代』は樟香がスカッと爽快。生茶ならではの涼しさがある。
苦味いと思っていたら、そうでもない。すっと切れる甘味が上品。
価格を抑える工夫をしながらも上品な味わいに仕上げる南天公司の技術はすごい。
現在のメーカーはこのレベルの仕事ができない。
『陳年プーアル茶磚80年代』は、ブレンドして熟茶を生茶っぽく誤魔化してあると思う。

文革大号熟磚80年代 その1.

製造 : 1980年代
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県晒青毛茶
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 磚茶 500gサイズ
保存 : 昆明 紙包・段ボール密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめ蓋碗
文革大号熟磚80年代プーアル茶

お茶の感想:
問屋さんから回ってきた老茶のサンプルのひとつ。
レンガ型に圧延された500gサイズの熟茶で、1980年代だろうとのこと。(ウソに決まっている。)
1970年代から1980年代の磚茶で”7581”や”7562”などの茶号のつかないお茶、つまり鑑定のできないお茶は、とりあえず”文革磚”と呼ぶことにするということに、いつの間にかなっているみたいで、それにしたがって『文革大号熟磚80年代』とした。
西双版納に空港ができて民間の航空機が降りたのが1990年。山だらけで鉄道も高速道もない時代は昆明から車で崖っぷちだらけの山道をクネクネ4日3晩かかっていた。
世界のお茶の故郷でありながら、もっとも消費地から遠いお茶どころ。
数百年前まで、茶葉は異国の地から運ばれてくる珍しい品だったが、西双版納の茶葉は1990年代までそれが続いていたのがすごい。
1980年代の中頃に台湾でこれが流行して、雑誌社がお茶屋さんと組んで、産地の紹介、銘柄の鑑定、熟成の良し悪しを解説してゆく。これで人気に火がついた。
当時、茶業は国営の専売公社制だったので、メーカーは限られている。銘柄も限られている。
したがって鑑定可能な銘柄が多いが、廉価品の中には鑑定不可能なものもある。主にチベットや青海などの高原地帯に運ばれて生活のお茶にするものと、仏教のお茶にするもの。
文革大号熟磚80年代プーアル茶
文革大号熟磚80年代と陳年プーアル茶磚80年代
左: 文革大号熟磚80年代
右: 陳年プーアル茶磚80年代
昨日のサンプルの『陳年プーアル茶磚80年代』と飲み比べてみた。
ずいぶん違う。
生茶と熟茶の違い。
文革は熟茶である。熟茶は1980年代のと現在のとでは渥堆発酵の技術が異なるので、味の違いで年代がわかる。
1980年というのはありえない。
このタイプの年代を偽ったお茶は現在大量に生産されている。
偽物かどうかを判別するよりも、茶葉の素質が良いかどうか、清潔につくられているかどうか、保存状態は良いかどうか、価格はそれに見合うかどうか。このように見ないと茶葉を買う楽しみがなくなる。

陳年プーアル茶磚80年代 その1.

製造 : 1970年代から1980年代中期
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司 不明
工程 : 微生物発酵の黒茶 生茶・熟茶不明
形状 : 磚茶
保存 : 不明 紙包+箱包
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
陳年プーアル茶磚80年代
陳年プーアル茶磚80年代
”熟茶”か”生茶”か、1970年代から1980年代の磚茶はこの見分けが重要。
以下のは、生茶のようでもあるが実は熟茶。
+【7562磚茶プーアール茶】(初代は生茶という説があるが、実は熟茶。)
+【義安棗香73特厚磚茶プーアル茶】(初代熟茶だが生茶に近い。)
+【下関茶磚80年代プーアル茶】(味は生茶の年代モノ。)
渥堆発酵の技術が異なり、現在では再現できないから、今となっては貴重。
今日試すサンプルはこの年代の熟茶であるらしいが、はたしてどうだろ。
陳年プーアル茶磚80年代
とろんと甘いチョコレート味。
生茶に近い熟茶。

倚邦古樹春の散茶2014年 その1.

製造 : 2014年03月18日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明倚邦山小葉種古樹
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納―上海密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
半年ぶりに漫撒山の工房を訪ねた。
弯弓や一扇磨などと漫撒山の有名どころの一番摘みを求めようとしたら、「とにかくこれを!」とすすめられたお茶。
『倚邦古樹春の散茶2014年』。
倚邦古樹春の散茶2014年プーアル茶
倚邦古樹春の散茶2014年プーアル茶
倚邦山の小葉種。
漫撒山の大葉種とは異なり、小さい葉をつける。葉は小さくとも樹は大きい。栽培型であるが樹高6メートルほどになるのも多くある。

小葉種の古茶樹
倚邦古樹春の散茶2014年プーアル茶
(写真は別の山の小葉種。”孟宗山那カ寨”の道中で見つけた茶樹)
このお茶『倚邦古樹春の散茶2014年』は過去に飲んだ小葉種の古樹でいちばん美味しいと思った。
「いちばん」と言えるほど格の違いを感じた。素材も製茶もすばらしい。
”倚邦”には村に近いところは栽培型の古茶樹が多く、遠くの深い森には近年手つかずで野生化しているのも多い。かつて茶山として栄えた明代の生き残りの茶樹だと思われる。
【西双版納の江北の茶山について】参考ページ
一応、”倚邦”ということにしたが、隣の山の”蛮磚”にも近いらしいので、地理が詳しくわかれば将来名前を変えるかもしれない。
山深いところにある辺境茶は、摘み取った鮮葉を製茶場へ鮮度を維持したまま持ち帰るのが課題。
例えば、一度にたくさん持ち帰ろうとよくばって袋にキュウキュウに詰めたら、中で蒸れて望ましくない軽発酵が起こる。
鮮葉はカサがあるから、蒸れないよう入れ物を工夫をして4駆の車に詰められるだけ詰めて帰っても、製茶して乾くと3.5キロにしかならない。
工房の夫婦とおじいちゃんの3人が1日かかって摘んだ茶が3.5キロ。
春の旬の1日をこの3.5キロに費やすのは採算が合わない。その勝ちをしる人だけにしか紹介されない。
今回は広東からの予約が2キロあって、残り1.5キロのうち1キロを分けてもらえた。
倚邦古樹春の散茶2014年プーアル茶
倚邦古樹春の散茶2014年プーアル茶
倚邦古樹春の散茶2014年プーアル茶
改めて飲んでも「上には上がある」と思う。
透明感が素晴らしい。フワッと上がる香味、回甘・喉韻・余韻。すべてが調和しているが、そんな言葉が軽々しく聞こえる。舌触りに一瞬だけ”粉っ”と感じるミネラル味があり、それがシュワシュワ消えてゆく。
来年の春に予約してつくるかどうか検討したいが、少量だったら自分だけで消費したい。
高級茶にもいろんなタイプがあるけれど、このお茶はホンモノの高級茶だと思う。
作為が無い。なにかと商売の臭いのする品評会の高級茶とは違う。「コストパフォーマンスが・・・」と業者がお客に良心をほのめかす嫌らしい商品でもない。
ひっそりと好きな人だけが愉しむお茶。
お茶の季節によく見る花
お茶の季節によく見る花
丁家老寨のあぜ道に咲く花。

弯弓秋の散茶2013年 その3.

製造 : 2013年11月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)弯弓
茶廠 : 丁家老寨の農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納―上海密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
弯弓秋の散茶2013年プーアル茶

お茶の感想:
弯弓を含む漫撒山の一帯の森は西双版納独特の生態系が残る最後の聖地。
【弯弓 瑶族の山】
【弯弓 2013年 秋天】
【弯弓秋の散茶2013年プーアル茶 その1】
西双版納は50年前まで、山の上のほうは広葉樹で覆われ、谷は熱帯雨林が茂り、平地はダイ族の水田が広がる絵に描いたような桃源郷だった。
水の豊富な森のいたるところにカニが住んでいた。
現在は熱帯雨林の殆どが開拓されて、バナナとサトウキビと天然ゴムの農地になってしまった。
森は水を失って乾燥している。
谷の底から湧き上がる蒸気に守られていた山の上の広葉樹の森も乾き始めている。
雨の降らない乾季はとくに枯れた空気を肌で感じる。はじめてここに来た数年前までは、まだこんなに空気は乾燥していかなったと思う。この数年の農地開発はスピードを増している。
茶樹は強いから、環境変化に対応できるように見える。けれど実際には対応できない品種が静かに消えつつある。
品種特性は環境によって育まれる。乾いた空気に対応するうちに品種特性が少しずつ変わってゆく。
現在は国有林に指定されて農作物がつくれない弯弓の一帯は、茶葉の収穫だけが許される土地となって、古来からの原生林の環境を留めているが、この一部の地域だけ守ったところで、どのくらい保てるのだろう。
弯弓秋の散茶2013年プーアル茶
弯弓秋の散茶2013年プーアル茶
弯弓秋の散茶2013年プーアル茶
昨年の秋のお茶と、今年の春のお茶。
香りはまったく同じだが、味がちょっと違う。
秋はじんわり沈んで広がり、春はふんわり浮かび上がる。
秋の茶葉は水分が多くて大きく育っている。春の茶葉はまだ雨の降らない時期で小さく育っている。このことが製茶の仕上がりに影響している。
春のお茶の製茶は漫撒山の小さな工房が手がけた。
しっかり炒って、きっちり直射日光で晒干させてある。素晴らしい仕上がりだと思う。
晒青毛茶
晒青毛茶
天日干しを観察しながら思ったのだけれど、茶葉は内部のミクロの組織の構造上、水分を逃さないようにできているらしい。日が昇ってから落ちるまで太陽に焼かれても、雲が少し出たら一日では乾燥しきらないことがある。
洗濯モノのシャツなら1時間で乾くのに、この小さな茶葉一枚が乾かない。この繊維構造があるから軽発酵がすすむ時間がある。プーアール茶の個性は乾燥工程で生まれている。

中茶吉幸牌高級熟散茶00年 その1.

製造 : 2000年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶
茶廠 : 中国土産畜産雲南茶叶進出口公司
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 昆明 紙包密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗 グラスポット350cc
中茶吉幸牌高級熟散茶00年プーアル茶
中茶吉幸牌高級熟散茶00年プーアル茶

お茶の感想:
送ってくる老茶のサンプルが少なくなってきた。
倉庫問屋さんのネタが尽きてきた。ハズレが多くなりすぎて、あまりに効率が悪いので、ちょっと古いお茶探しはそろそろ終わりにする。
サンプルのこのお茶『中茶吉幸牌高級熟散茶00年』は2000年の熟茶。
中茶吉幸牌高級熟散茶00年プーアル茶
”吉幸牌”というのは国営時代の専売公社であった中茶公司が、東南アジア向けを意識した商標だった?・・・うろ覚えなので正しい情報がわかれば訂正する。
ひとつ特徴があって、茶葉が袋に密封されており、さらに箱はフィルムで密封されている。
これほど念入りに密封されて14年間も熟成されたプーアール茶は少ない。
散茶はだいたい10キロから20キロ単位で麻袋やナイロンの編み袋に入れて、それを木箱や段ボールで囲う梱包が一般的なので、わずかな通気を許している。
熟茶はとくに保存に強いお茶で、おそらく微生物発酵でつくられた酵素による作用が茶葉を保護している。酵素がはたらくために密封するよりも若干の通気を確保したほうが良いと考えられる。
保存がどうあれ、老茶は味がキレイでなくちゃならない。
商標も年代も銘柄も関係ない。
中茶吉幸牌高級熟散茶00年プーアル茶
とりあえず蓋碗で淹れてみたらとても不味かった。
「あれ?」と声が出たくらい意外な酸味がある。酸っぱい。
腐敗による酸味ではない。ただ、味のバランスが傾いているだけだろう。
この酸味には覚えがある。
生茶や紅茶をつくる過程で試している軽発酵の直後にできる酸味。つくる途中で発生するが、その後の製造過程や保存熟成で徐々に薄れてゆく。
もしかしたらこの茶葉も・・・と思って、袋から出してステンレス茶缶に移したまま一晩寝かせて、もういちど飲んでみた。
中茶吉幸牌高級熟散茶00年プーアル茶
今度は書いてある通りに淹れてみることにした。
中茶吉幸牌高級熟散茶00年プーアル茶
こうして淹れると酸っぱいのはましになってバランスが取れるが、それでも「甘い!」と声が出る年代モノの熟茶のようにはならない。
2000年につくられた当時から酸っぱかったのだろうか?
それとも密封保存のためにそうなったのだろうか?
復活できないと思うが、しばらく様子を見る。

丁家老寨春一采茶2014年 その1.

製造 : 2014年03月13日から3月17日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山丁家老寨小茶樹および古茶樹
茶廠 : 農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 袋密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
丁家老寨春一采茶2014年プーアル茶

お茶の感想:
漫撒山で春のお茶をつくってきた。
太陽に焼かれ土埃にまみれての重労働に疲れて、体は泥のように重くなる。
疲れすぎてボーっとした頭でパソコンに向かっても、使い方がわからない。
丁家老寨2014年
2014年の春はかんばつで、春節の1月末から雨らしい雨が降っていなかった。
3月22日の昨日ようやくまとまった雨が降って、雷もゴロゴロ鳴って、お茶づくりはひと休みとなった。
正直ホッとした。あちこち傷んだ重い体のまま山へ入って重労働がつづくと、そろそろ引退のことを考えてしまう。
丁家老寨2014年
今年のテーマは製茶。
製茶はとにかく手を動かすこと足をつかうこと。
采茶(茶摘み)から始まる。
今日は山のどの斜面がよいか、どの品種特性や樹齢の新芽・若葉が摘み頃か。
漫撒山の丁家老寨は農家一軒あたりの農地が広く、しかも山のあちこちに拡散しているので、バイクで移動しながらひととおり見て回るだけでも半日かかる。
丁家老寨2014年
自分がつくる分は少ないので、他人の農家の手伝いをして経験値を上げた。
手足を動かして仕事をすると、他人の仕事の良し悪しがよりわかりやすい。
農家のつくったお茶で良いものは少し仕入れることにした。
山も農地も茶樹も製茶もすべて把握している茶葉には違いないから、これで良いと思う。
今回の収穫は、丁家老寨の晒青毛茶2種と、漫撒山の辺境茶を専門にする工房の晒青毛茶2種。
そのひとつの『丁家老寨春一采茶2014年』を、圧餅しないまま試飲する。
山の農家ではまともな品茶ができない。
道具も水もちがうし、海抜の高いところでは水の沸点が低くて、熱いお湯で試せない。
家に持って帰って、まずは温度による味の違いを確かめた。
予想した通りで、このお茶はぬるめの湯で淹れるのが美味しい。緑茶的な性質がある。
煮水器で沸かした湯をいったん茶海に移して、それを蓋碗に注ぐ。だいたい85度〜90度くらいに下がっている。直接注ぐと96度はある(景洪市の海抜は600メートルくらい)熱湯で淹れると茶葉が煮えて辛味や渋味が出やすい。
丁家老寨春一采茶2014年プーアル茶
丁家老寨春一采茶2014年プーアル茶
(奥が熱湯。手前がぬるめの湯。)
この晒青毛茶は農家がつくったもの。
近年の製茶の流行で、しっかり火入れされている。
火入れで乾燥がすすんで、その後の天日干しでゆっくり乾燥しながら起こる軽発酵の変化が少なくなる。
軽発酵がすすむほうが、熱湯には強くなる。
丁家老寨でつくった紅茶
丁家老寨でつくった紅茶
丁家老寨で紅茶もつくった。
火を入れない紅茶の製茶。
この紅茶のつくり方では圧延加工して完成するが、晒青毛茶のこの時点ですごく香りが良い。よいお茶になりそう。

紫天樟香青磚80年代 その2.

製造 : 1980年代
茶葉 : 雲南省西双版納州易武山
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代) 南天公司監修
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 香港ー昆明 紙包・段ボール密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
紫天樟香青磚80年年代プーアル茶
紫天樟香青磚80年年代プーアル茶

お茶の感想:
前回の試飲の印象が良かったので、一枚モノを入手した。
【紫天樟香青磚80年年代 その1.】
紫天樟香青磚80年年代プーアル茶
紫天樟香青磚80年年代プーアル茶
紫天樟香青磚80年年代プーアル茶
飲んでみた。
紫天樟香青磚80年年代プーアル茶
紫天樟香青磚80年年代プーアル茶
悪いところはない。
ホンモノにちがいない。
けれど、感動するほどではないかもしれない。
もともと廉価品としてつくられたお茶。しかし現在この味は再現できない。生茶の微生物発酵しているタイプ。
熟成に問題はない。
同じく南天公司の名作『厚紙8582七子餅茶プーアル茶』に似た樟香がある。
茶葉の産地は旧六大茶山にちがいない。
紫天樟香青磚80年代プーアル茶
葉底の色違いは、生茶の微生物発酵のもの。


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