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茶教室・京都

倚邦古樹青餅2014年・明後 その2.

製造 : 2014年05月15日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明倚邦山小葉種古樹
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納 紙包+竹皮
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶

お茶の感想:
倚邦は小葉種の古茶樹。
そして混生の品種。
いろいろな色や形の葉をした品種がそろっている。風味も微妙に異なる。
もともと西双版納にあった品種だけではなく、明代に外地から持ち込まれたものがある。
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
これらの品種は広東の”鳳凰単そう”、福建の”岩茶”など、烏龍茶をつくっている産地から来たのではないだろうか。つまり、都市生活者が嗜む茶文化のお茶づくり。この大規模な実験が過去に行われたと推測できる。
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
小葉種の黄片。
黄片は新芽や若葉を摘んだ時に、いっしょに摘み取ってしまった老葉(成長しすぎた葉)や茎の部分のこと。
ところが、いつも見ている雲南大葉種の黄片とはずいぶん様相が異なる。
小さい。茎が短い。全体的に青黒い。そして薫る。そもそも黄片の量が圧倒的に少ない。
これを少し分けてもらったので今日はその飲み比べ。
倚邦古樹青餅2014年・明後と黄片
倚邦古樹青餅2014年・明後と黄片
倚邦古樹青餅2014年・明後と黄片
左: 倚邦古樹青餅2014年・明後
右: 倚邦の黄片
写真で見ても黄片とは思えない。
そして烏龍茶のように薫る。
『倚邦古樹青餅2014年・明後』は新芽・若葉のもつ茶気と辛味があり、茶湯の密度が細かく滑らか。
その点で『黄片』はややおっとりして辛味が少なく湯の密度が粗い。舌触りがザラッとする。味わいに深みがあり喉越しは爽快。香りは、強さにおいては新芽・若葉に軍配が上がるが、魅力はむしろ黄片のほうにある。
茶とは思えない異質な甘い香り。
黄片は茶葉の厚みがあるなどの物理的な理由や、活発な光合成による成分構成から、新芽・若葉と同じ製茶で仕上げても軽発酵のすすんだ状態になりやすい。
烏龍茶の風味に近付く。
茶湯の色が濃く出ないのも、軽発酵のややすすんだ状態で殺青されたことによる現象だと思われる。
倚邦古樹青餅2014年・明後と黄片
(倚邦古樹青餅2014年・明後)
倚邦古樹青餅2014年・明後と黄片
(倚邦の黄片)
葉底。黄片は厚みがあるのでゴワゴワしているが、この感触もまた軽発酵のすすんだ烏龍茶の葉底に似ている。
小葉種でないとこうはならないだろう。
青茶づくりが小葉種を選んだのではなくて、小葉種が青茶(烏龍茶)の製法を生み出したのだ。
明代に倚邦でつくられたお茶はおそらく青茶だった。圧餅して運んだから青餅と呼ぶ。
仮説であるが筋の通った話になる。

旧六代茶山はどこも山奥の辺鄙なところにある。
なぜこんな遠いところまで来たのか?
なぜこんな不便なところにお茶づくりの拠点をつくったのか?
ここに来るまでの道中には気候や土質の似た山はいくらでもあり、茶樹の自生地帯もある。
それなのになぜ、この山を選んだのか?
いつも不思議に思っていたのだけれど、今はわかる。
霊気が違う。
お茶に宿る山の霊気を昔の人は感じることができた。
高級茶は山の霊気を飲むためにある。
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶

弯弓古樹青餅2014年・複樹 その2.

製造 : 2014年05月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)弯弓
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包+竹皮
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
倚邦老街
倚邦老街

お茶の感想:
西双版納をタテに流れるメコン川を境に、東側の江北のお茶どころは、かつて茶の権利を巡っての戦争があった。
+【江北の茶山について】
”大国”対”小国”ではなくて、”大国”対”民間”という構図。
他にこれといった産業のない時代に、外地へ運べば高級茶となるお茶がこの地域に集中していた。
中国の南部から広がった喫茶文化に供給するお茶をつくるために、雲南省紅河州の古い街の石屏や建水の漢族が南下してきた記録がある。したがって、現在も江北の易武山や象明山の一帯は漢族が多い。
茶の権利を巡る戦いは遠い昔のことだから、今はその歴史さえ知らない人のほうが多いが、代々受け継がれる血の記録になにかが刻まれているせいか、易武山・象明山の一帯の漢族は性格が厳しい。
昨年の旅行で尋ねた彼らの故郷の石屏や建水では、親切で優しい人たちに大きなギャプを感じたくらい。
西双版納のメコン川を境に西側の漢族たちも、「易武山の彼らは違う」と言う。
建水古街
(建水古街)
今回の漫撒山(旧易武山)の滞在中は、北京の愛好家も来て自分の茶を圧餅した。
先輩として一応アドバイスした。「茶葉の予約はするな」・「買った茶葉から目を離すな」・「圧餅のすべての業務を監視せよ」。
ところがその意味を理解しなかった彼は、「朋友!朋友!」と大陸的なノリで仲良くやって、酷い目にあった。
数百キロ分もある晒青毛茶の残り半分は、車を手配してメコン川の西側の孟海県に移すことになった。
一日も早くこの土地から脱出したい。
その気持ちよくわかる。
自分もそう感じたことが何度もあった。
曼撒山
曼撒山
有名茶山で良いお茶をつくろうと思ったら、細心の注意が必要。
細心の注意のためには体を動かして頭を回転させて、汗をかかないといけない。
ところが、易武山・象明山の人たちは自分のお茶には汗をかいても、他人のお茶には汗をかかない。お金と交換したらそれで終わり。どのみち他人のお茶になるのだから、はじめから汗をかかないつもりの人も多い。
そのために、多くの茶葉が二次加工のときにダメになる。
もちろんはじめからダメなのもある。
北京の愛好家が圧餅後の晒干(天日干し)で、突然の大雨がきた。
工房の職員たちは見て見ぬふりで、部屋に仕舞うのを手伝わないから、一部の餅茶が雨に濡れてダメになってしまった。
弯弓古樹青餅2014年・複樹と弯弓の別のお茶
損失は2万元くらいか・・・。このケースでは、現金ですぐに周囲の人を使うべきだった。たった100元で2万元が助かっただろう。朋友の関係は役に立たない。
この状態をどう捉えるかが大事。
はじめからこの土地に関わらない手もある。
茶葉は人を選ばないから、自分も人を選ばない。
まっすぐ茶葉を見る。他人に気を取られる暇はない。
これはなにも易武山・象明山に限ったことではないと思う。日本で中国茶を手に入れるのも、米や野菜を買うのも実は同じことかもしれないと思う。
今日は北京の愛好家が収集して、別の工房で圧餅した弯弓のお茶と比べた。
雨にあまり濡れないで済んだ一枚を分けてくれた。
弯弓古樹青餅2014年・複樹と弯弓の別のお茶
弯弓古樹青餅2014年・複樹と弯弓の別のお茶
左: 弯弓古樹青餅2014年・複樹(このお茶)
右: 弯弓古樹青餅2014年・北京の愛好家のもの
右の餅茶の裏面がほんのり赤く染まっているのは、圧餅後の涼干(陰干し)が不十分なまま太陽に晒したから。裏面から干すので表面は変色していない。圧餅の工程は意外と詳細に気配りする必要がある。易武山の人は知っていても面倒だから教えないで、知らないふりをする。
今年のテーマは製茶。
圧餅もまた製茶の技術のひとつとして注目している。
左と右は同じ重量のはずなのに、左の大きいのは、圧餅の技術に違いがあるせい。
不本意ながら自分のは緩すぎると思う。ギュッと緊密に固めるためにはどうしてもしっかり蒸す必要があり、その熱が風味を変える。これを嫌ってちょっと手加減するよう職人に指示したが、手加減しすぎたか・・・。
弯弓古樹青餅2014年・複樹と弯弓の別のお茶
弯弓古樹青餅2014年・複樹と弯弓の別のお茶
弯弓古樹青餅2014年・複樹と弯弓の別のお茶
左: 弯弓古樹青餅2014年・複樹(このお茶)
右: 弯弓古樹青餅2014年・北京の愛好家のもの
弯弓は国有林で、森林の中で野生に近い状態で育つお茶に魅力がある。
森林の影に育つ茶葉は青黒い色をしている。右の茶葉は見ての通り、黄色く明るい色をしている。太陽で葉焼けした色。さらにここまで明るいと古樹かどうかも怪しい。
こうして比べると左のお茶はフワッと香る。喉へすっと入る。滋味が広がる。

しかし、ふりかえってみると、要所要所で自分はこの土地の人に助けてもらっているのかもしれない。無愛想ながら、ときどきぼそっと本当のことを教えてくれる。例えば、誰もいないところで「ちょっとこのお茶見てください」という話がでてくる。
どうやらこれでも優遇されているらしい。
古くから商人としてこの土地でやってきた知恵なのかもしれない。
彝族(イ族)
(工房でアルバイトしていた彝族の人。)

弯弓古樹青餅2014年・複樹 その1.

製造 : 2014年05月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)弯弓
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包+竹皮
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
単樹+単樹=双樹。
2つの樹のこのお茶。
+【弯弓古樹青餅2014年】
いろいろ確かめるためにもうひとつの弯弓をつくってみた。
それがこのお茶。
『弯弓古樹青餅2014年・複樹』。
弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
名前のとおり不特定多数の茶樹からできている。
圧延の日付を5月15日としたので、4月12日の『弯弓古樹青餅2014年』と見分けが付く。
複数の茶樹から採取すると品種特性や樹齢はそろわないが、同じ斜面だから生態環境は同じ。二日間だけの茶摘みだから、気候の変化による製茶の仕上がりのムラも少ないだろう。
曼撒山に滞在中にあちこちに足を運んで見つけた5種の弯弓から選んだひとつ。
弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
弯弓古樹青餅2014
夏になった今に明前(2014年は4月5日)より前につくられた晒青毛茶5種が試せたのは、求めている数量が少ないせいで、茶商たちが自分用のを分けてくれるから。
圧餅して持ち帰ったのを早速比べてみた。
弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
弯弓古樹青餅2014年・複樹と弯弓古樹青餅2014年双樹
弯弓古樹青餅2014年・複樹と弯弓古樹青餅2014年双樹
左: 弯弓古樹青餅2014年・複樹(このお茶)
右: 弯弓古樹青餅2014年・双樹
弯弓古樹青餅2014年・複樹
(弯弓古樹青餅2014年・複樹 このお茶)
弯弓古樹青餅2014年・双樹
(弯弓古樹青餅2014年・双樹)
ちょっとの差。
でも、このお茶はサンプルとして価値がでてくるだろう。
ほんの少しの差がどこで生じているのか、今はすごくクリアーにわかる。

倚邦古樹青餅2014年・明後 その1.

製造 : 2014年05月15日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明倚邦山小葉種古樹
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納 紙包+竹皮
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶

お茶の感想:
倚邦へ行ってきた。
明代に栄えた旧六大茶山のひとつ。
山は深くて、森は豊かで、茶樹は元気。
ぼちぼち写真ページをつくろうと思う。
このページの写真もちょっと更新した。
+【倚邦古樹青餅2014年プーアル茶】
倚邦古樹青餅2014年プーアル茶
思いがけずよい晒青毛茶が入手できたので、すぐに曼撒山の工房で圧餅してきた。
倚邦古樹青餅2014年プーアル茶
『倚邦古樹青餅2014年・明後』と名付ける。
倚邦古樹青餅2014年・明後プーアル茶
2014年04月10日頃の茶摘みなので清明節(2014年は4月5日)の後だから"明後"となる。倚邦の小葉種は早生の品種であるが、混成状態でバラエティーがあることと、森の影が多いために、晩生の茶樹もある。4月10日頃でも第一波と呼ぶ初摘が収穫できる。
別の『倚邦古樹青餅2014年』は早春3月の初摘で、さらに品種を選んだ数本のものだが、『倚邦古樹青餅2014年・明後』はとくに品種を選んでいない。そのためいろんな色や形の茶葉が混じる。
倚邦古樹青餅2014年・明後と倚邦古樹青餅2014年
倚邦古樹青餅2014年・明後と倚邦古樹青餅2014年
倚邦古樹青餅2014年・明後と倚邦古樹青餅2014年
左: 倚邦古樹青餅2014年・明後(このお茶)
右: 倚邦古樹青餅2014年
倚邦古樹青餅2014年・明後と倚邦古樹青餅2014年
(倚邦古樹青餅2014年・明後)
倚邦古樹青餅2014年・明後と倚邦古樹青餅2014年
(倚邦古樹青餅2014年)
基本的にはよく似たお茶だが、この試飲では品種の差よりも、殺青の火入れの差のほうが強く現れていた。
殺青をした人が違う。
『倚邦古樹青餅2014年・明後』はスキっと爽快感がすばらしい。比較的しっかり火が入っている。
『倚邦古樹青餅2014年』はぼんやりしている。殺青の時に茶葉の水分が多いからこうなる。
香りの個性は『倚邦古樹青餅2014年』のほうにある。選んだ品種の純度が高い効果だろうか。
また、萎凋による軽発酵度の差もある。
『倚邦古樹青餅2014年・明後』は現場近くで製茶しているが、『倚邦古樹青餅2014年』は鮮葉を曼撒山の工房まで持ち帰っている。オフロード車に積んでガタガタ揺れる2時間半ほどの道のりで、鮮葉は軽発酵がすすむ。意図しない軽発酵であるが仕方がない。
茶葉の鮮度を優先するか、製茶の精度を優先するか。
しかし、この『倚邦古樹青餅2014年・明後』は”殺青”・”揉捻”ともにキレイに仕上がっている。来春は自ら森に入って茶樹を選んで茶摘みして、倚邦の農家の製茶場で仕上げてみてもよいと思う。

曼撒山の工房はキレイでないから、圧延加工する前に大掃除する。
いつもはひとりでやるが、今回は北京と広東の茶友が手伝ってくれた。
大掃除
いろんなところにお茶のクオリティーの違いがある。

瑶郷古樹青餅2014年 その1.

製造 : 2014年5月
茶葉 : ラオス古茶樹
茶廠 : 漫撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包+竹皮
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
漫撒山の工房
漫撒山の工房
漫撒山の工房

お茶の感想:
このお茶を圧餅してきた。
【ラオス瑶族の散茶2014年 その1.】
漫撒山の工房
漫撒山の工房
写真はバイクで山を超えて鮮茶を運んできたラオスの瑶族。
古来からパスポートフリーな人たち。
中国語で会話できる。
性能が良くなったオフロードバイクを買えるくらいは鮮葉が高値をつけているから、国境から近い山なら今日摘んだところのを漫撒山の工房に持ち込める。
この鮮葉はとても良かったが、第2波と呼ぶ雨季なのでパス。成分が薄い。
鮮葉の良し悪しがわかるようになったから、来年は第一波の鮮葉を仕入れて工房で製茶してみようと思う。紅茶をつくる手もある。
今回圧餅したのはラオスの村で一次加工された晒青毛茶。
漫撒山の工房
漫撒山の工房
瑶郷古樹青餅2014年プーアル茶
漫撒山の工房
青い空に浮かぶ白い雲が黒くなってザーッと大粒の雨を落としてパッと止む。
この季節は基本的に圧餅しないほうがよいが、量が少ないので短時間で済む。
概ねうまくいったと思う。
瑶郷古樹青餅2014年プーアル茶
瑶郷古樹青餅2014年プーアル茶
瑶郷古樹青餅2014年プーアル茶
瑶郷古樹青餅2014年プーアル茶
持ち帰って飲む最初の一杯は格別。

この時期に良い晒青毛茶など残っていないが、山の農家や辺境茶専門の業者へ足を運んだら、”弯弓”と”倚邦”の良いのが少量だけ手に入った。ついでに圧餅した。
すべて180gのサイズにした。
『瑶郷古樹青餅2014年』(このお茶)
『弯弓古樹青餅2014年』(複樹のもの)
『倚邦古樹青餅2014年』(複樹のもの)
この3つが今回の成果。
象明の山

那カ古樹青餅2014年 その2.

製造 : 2014年04月12日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県那卡山古茶樹
茶廠 : 漫撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
那カ古樹青餅2014年プーアル茶

お茶の感想:
那卡ははじめての茶山なのでわからないことだらけ。
わからないことは茶葉に聞く。
完成から1ヶ月めになる今、とくに煙草味が気になっている。
原料の晒青毛茶を仕入れた時には気にならなかったのに、今になってなぜ?
孟海の老師にこのことを尋ねたら「完美が良いとは限らない。」と、カンタンに片付いてしまった。
昨日、熱湯で淹れたこのお茶。
シャキッとした辛味と煙草味。
那カ古樹青餅2014年プーアル茶
那カ古樹青餅2014年プーアル茶
小葉種のお茶。湯の温度を少し下げて淹れてみた。
日本の煎茶に似た焙煎の落ち着いた青い香りと、桂皮に似たスパイス。そして舌にはさっぱり甘い果実味。那卡山固有のヒリヒリ・シワシワの辛味は同じようにある。
品種特性に合わせて淹れるようにしたい。
雲南省南部は山ごとに品種特性が異なる。茶葉の繊維や成分も異なる。同じ生茶でも淹れ方を調整したほうがよい。

久々に老茶。
問屋さんから入手したサンプル。
2000年の青磚(生茶のプーアル茶)
2000年の青磚プーアル茶
2000年の青磚プーアル茶
ひどい偽物だった。
偽物だってよい。今はもう昔のビンテージプーアール茶の観点では探していない。清潔で、茶葉の素質がしっかり良くて、魅力のある味で、それで価格が見合っていたら十分。
しかし、このお茶ははじめから悪意がある。模倣で稼ごうとする意図が見え見え。
問屋さんはこういうお茶でも平気で売る。

ラオス瑶族の散茶2014年 その2.

製造 : 2014年4月
茶葉 : ラオス古茶樹
茶廠 : ラオスの農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
ラオス瑶族の散茶2014年と思茅の単樹

お茶の感想:
易武山の刮風寨の方角から山を超えたラオスの村でつくられるお茶。
前回の試飲で良い印象だったので、漫撒山の辺境茶専門の業者に「残っている分だけ取ってきてほしい」と頼んだ。地元の人はパスポート無しで山を超えられる。
ところが・・・3日経っても帰ってこない。
4日目にやっと携帯がつながって、雨で道が崩れたからしばらく帰れなくなったということで、6日目にやっと戻ってきた。
ホッとした。
やはり量は少なくて、他の業者も欲しがっているので10キロ分けてもらえるかどうか。
ラオス瑶族の散茶2014年と刮風寨の単樹
ラオス瑶族の散茶2014年と刮風寨の単樹
左: ラオス瑶族の散茶2014年
右: 刮風寨の野生種の単樹
(茶葉がちょっと多すぎるけれど、欠点を見つけるような試飲はこうすることがある。業者の飲み方だから真似しないほうがよいと思う。)
刮風寨の野生種の単樹のお茶と比べてみた。
同じ地域のお茶だけれど、栽培種と野生種。
ラオスのほうは、洗茶の後の蓋碗に鼻を近づけてもそんなに香らない。ひとくちめの味ははっきりしない。
刮風寨のほうは一煎めからしっかり。しかも石鹸のような強い香りで、パッと惹きつける力がある。
3煎めくらいからラオスのほうはじわじわ内に秘めた魅力が出てくる。
瑶族のお茶特有の柔らかさがあり、透明感が抜群。
刮風寨のほうは野生茶特有のシワシワ・ヒリヒリが強すぎてバランスが悪い。
同じ瑶族の土地であるが、野生種のお茶だから人が摘んでお茶として利用したことがなかった可能性がある。
ほんらいこのタイプのは飲むべきではない。
栽培種と野生種の境界が曖昧で、過去にこの茶樹から葉を摘んで人々が飲んでいたのか、それとも避けていたのか。分かることもあるが、分からないこともある。
飲むとなんとなく分かる気がする。お茶独特の心がホッとする感じ。どこか遠くを眺めたくなる感じ。
自分は用心深いから、瑶族の選んだ栽培種を選ぶ。
ラオス瑶族の散茶2014年と思茅の単樹
4煎めから大きめの蓋碗に移してラオスのお茶を飲み切った。
小さめの蓋碗から大きめの蓋碗に替えると湯の熱の通り方が違う。
現地に入って茶樹を見れないのが、ラオスのお茶の問題点。
お茶の味や茶葉から見て取れる、品種、樹齢、周囲の自然環境、栽培手法、海抜、気候、茶摘みの季節、そして製茶の技術などなど、手がかりにしている。

那カ古樹青餅2014年 その1.

製造 : 2014年04月12日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県那卡山古茶樹
茶廠 : 漫撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
西双版納州の中心の景洪市やメーカーの多い孟海県孟海鎮の町には茶葉を売る店が軒を連ねている。
ふだんは交流しないが、広東や北京の茶友に連れて行かれて訪問してみた。

その1,
孟海県の中堅メーカーのオーナーである老師は、大衆向けのお茶をつくりながら、自分用のお茶はとことん追求している。国営茶廠の職員として1992年から那卡山に入った人で、おそらく西双版納で単樹のお茶づくりをはじめたのもこの人が最初だ。
老師は那卡山の反対側の山頂の森に数本の古茶樹を見つけた。香水のような香りがした。これを採取してお茶をつくった。
昆明の有名な店に買われて、全国から集まる愛好家に試された。
「香水をふりかけてある」、「偽物づくりだ」、と散々な評価だった。
老師はそれ以後は知人以外に自分のお茶を飲ませない。
孟海県のプーアール茶

その2.
景洪の町の、内装がいかにも趣味っぽい茶荘で那卡山のお茶を飲んだ。
甘くてジューシーで滋味深く、古樹の味のする美味しいお茶だった。店主いわく馴染みの農家から毎年買っているので他店より安いそうだ。
けれど、なぜか大葉種。那卡山は小葉種に特徴があるからちょっと異色。
しかも季節外れで茎がよく育っている。甘くてジューシーなのはこのためだった。難しいホンモノよりも価格が良心的で、わかりやすい美味しさが大事。店主は一般的なお客様を喜ばせるためにこれを選んでいる。
那カ山のプーアル茶
那カ山のプーアル茶

その3,
ある店で緑印を飲んだ。
+【漫撒古樹青餅2013年・緑印】
店の人は緑印を「回甜が早い」とマイナス評価をつけた。
風景についてはノーコメントだった。
その店は老班章を筆頭に、孟海県の有名茶山を専門にしていて、易武山を含む孟臘県のお茶を知らない。
漫撒古樹青餅2013年・緑印プーアル茶

その4,
値ごろな価格を主張する店に共通した言い方がある。
「このお茶は老班章と似ている。」
「このお茶は曼松に似ている。」
高値をつける有名茶山の名前を出して、あまり知られていない茶山のお茶を紹介する。似た風味なのにこの価格は安いと言いたいらしい。
このようなポジションのお茶が、有名茶山のホンモノのお茶の価値を下支えしている。
那カ山のプーアル茶

その5.
雑誌社をしていた北京の愛好家が、
「最近の若い画家はホンモノではない。」
というので、どこがホンモノではないのか?と聞くと、
「どんな絵を描けば展覧会で賞をとれるか、どんな絵が売れやすいか、どんな絵を他人が描いていないか、そこから独自性を見つけようとしている。だからみんな同じようになる。博物館の昔の絵のように、感動を描く純真と技術の追求に欠ける。」
お茶づくりも同じと思った。

その6.
那卡山の2014年と2010年とを飲み比べた。
+【那カ古樹青餅2014年】
製茶時の粗と思われる煙草香が邪魔をするが、甘くてジューシーなのは『那カ古樹青餅2014年』。
2010年はかんばつの影響だと思うが、苦い・渋い・そして安息香が強い。しかし、那卡山のお茶の気高さをストレートに表現しているのは2010年のほうかもしれないと思う。
那カ古樹青餅2014年プーアル茶と益木堂那卡青餅2010年プーアル茶

そのお茶がどんな評価をされるのかというのを見ながら、実は、そのお茶を評価する人の力量を見ている。
だから業者めぐりは疲れる。

倚邦古樹青餅2014年 その2.

采茶 : 2014年3月17日
圧餅 : 2014年4月12日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明倚邦山小葉種古樹
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納―上海密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
倚邦古樹青餅2014年と漫撒生態青餅2014年

お茶の感想:
『倚邦古樹青餅2014年』と『弯弓古樹青餅2014年』。
今日の試飲はこの2つ。
倚邦古樹青餅2014年と漫撒生態青餅2014年
倚邦古樹青餅2014年と漫撒生態青餅2014年
左: 倚邦古樹青餅2014年
右: 漫撒生態青餅2014年
まず樹齢の差がお茶の味に現れていた。
『漫撒生態青餅2014年』は若い茶樹が混じるのでアピールが強い。
”濃い”とか”コク”があると感じる人が多いのは、樹齢の若い茶樹からつくられるお茶に慣れているからだろう。
西双版納の原生種の古茶樹は、味が透明なものほど上等になる。
茶湯の色の違いは製茶の殺青の火入れ加減による。
小葉種の倚邦の新芽・若葉は焦げやすいので、薪の火の火力を少し弱めに殺青する。
倚邦古樹青餅2014年プーアル茶

今日は紅茶も飲んだ。
漫撒生態紅餅2014年
漫撒生態紅餅2014年
この紅茶『漫撒生態紅餅2014年』は蓋碗で飲んでも美味しい。

漫撒生態青餅2014年 その2.

製造 : 2014年04月12日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山丁家老寨小茶樹および古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒山工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 手すき紙+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
漫撒生態青餅2014年プーアル茶

お茶の感想:
『漫撒生態青餅2014年』 。
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
旬の走りの茶葉。
農家への訪問があと2日遅れたらもう手に入らなかっただろう。
早春のうちは、茶摘みの手間がかかって量がつくれないから、やや高価になる。たくさん茶葉を集める茶商はこれだけでは足りないから、もっと成長した晩春の茶葉と混ぜてしまう。
春先の小さな茶葉は柔らかく粘着成分が多いので”揉捻”がしっかり入る。より細く小さく仕上がる。
農家が殺青のときに後半の薪の火を落として長めに炒った。
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
漫撒生態青餅2014年プーアル茶
ちょっと焦がした味が残っている。
西双版納州孟臘県漫撒山丁家老寨
西双版納州孟臘県漫撒山丁家老寨
西双版納州孟臘県漫撒山丁家老寨
西双版納州孟臘県漫撒山丁家老寨


茶想

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