プーアール茶.com

茶教室・京都

丁家老寨青餅2012年 その14.

製造 : 2012年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み 竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
丁家老寨青餅2012年プーアル茶

お茶の感想:
今日はこのお茶。
+【丁家老寨青餅2012年】
大きめの蓋碗で淹れた。
大きめにしたのは湯量=熱量だから。
ほんとうは熱の逃げない茶壷のほうがよい。
熟成3年目になると蓋碗ではなかなか目覚めない。
4煎めにやっと香りと味が出た。
蓋碗のタイプの異なる2つを試した。
蓋碗とプーアル茶
白磁の蓋碗大(薄め)
白磁の蓋碗大(厚め)
蓋碗の容量は同じくらい。
保温力のある厚めの蓋碗のほうが良い具合に抽出できた。
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
茶湯の色に違いが現れる。
熱の通り方の違いが葉底(煎じた後の茶葉)にも現れている。
蓋碗とプーアル茶
蓋碗は赤子泣いても蓋取るな。

日本にいるときのお昼に蕎麦を食べることが多くなった。
蕎麦
日本酒と蕎麦

南糯古樹青餅2010年 その4.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山老Y口寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : グラスポット350cc
南糯古樹青餅2010年プーアル茶

お茶の感想:
南糯山の古茶樹は「苦底(ku di)」と呼ぶ後味の苦味が重い。
重すぎてバランス悪いくらい。
このため美味しく淹れるのが難しい。
ちょっと茶葉が多かったり、ちょっと濃くなったりすると嫌な感じになる。
タイミング良くサッと湯を切るように甘いところだけを抽出するのがコツ。
生茶は苦いが、紅茶になった南糯山の苦底はそれほど嫌な感じがしない。
軽発酵がなんらかの作用で苦い成分を苦く感じさせないようにしている。
+【南糯古樹青餅2010年】
南糯山と共通の古い品種の多い布朗山もまた苦底のお茶が多い。
苦底も人の好みで、なぜかヘビースモーカーには好まれる傾向がある。
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
苦いお茶と甘い煙。

このお茶を甘いお茶にして飲む技術がある。
コーヒー用のグラスポットに茶葉を少しだけ。たっぷり熱湯を注ぐだけ。
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
3分以上待って、茶葉が黄金色に変色したら出来上がり。
このときあくまでも淡く透明な湯の色を保つよう、茶葉の量と湯の量のバランスをとる。
たっぷりの湯で少ない茶葉にしっかり熱を通したら、今まで抽出されなかった成分が出てくる。
甘味が主役で苦味は脇役になって逆転する。
ちょっとの違いが大きな違い。
南糯古樹青餅2010年プーアル茶
苦いは甘い。
甘いは苦い。

漫撒古樹青餅2013年・緑印 その11.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山瑶洞古茶樹春茶
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗

お茶の感想:
先日紹介した『易武古茶2014年』は、易武山刮風寨に近い森のお茶だとわかった。
それならこのお茶に近いかもしれない。
+【漫撒古樹青餅2013年・緑印】
一度比べてみようということになった。
”緑印”と呼んでいるが、本家本元の”緑印”はこちら。
+【七子小緑印圓茶7542の散茶】
1970年代の配方(等級をいったん分けてから圧餅前にブレンドする)のお茶なので系統が異なる。
しかし、共通点があるかもしれない。
現在の”刮風寨”や”弯弓”は易武山一帯の中では高値をつけるが、1970年代の生茶の高級茶、例えば”藍印”・”緑印”・”黄印”にそんな地名は出てこない。『七子小緑印圓茶7542』の原料は易武山麻黒村ということになっている。しかし、麻黒村の農家は生産だけでなく転売もしていた。
当時は麻黒村から歩いて2日かかった瑶族の村”刮風寨”の晒青毛茶も、麻黒村で転売していた。
刮風寨の2014年9月の晒青毛茶
(刮風寨の2014年9月の晒青毛茶)
晒青毛茶の形や色には明らかな違いがある。
茶葉の等級は、一般的には新芽・若葉・大葉と成長に合わせた大きさで分ける。
例えば早春の一番の新芽は小さく細いが、旬を外した雨の季節の新芽は太く長く育つ。この場合はもちろん早春の小さな新芽が上等。
しかし、易武山では茶樹の育った環境、栽培方法、その品種特性の違いにより、茶葉の大きさは様々なので、大きさだけでは判別できない。
老茶の銘品はどこの茶葉を使っていたのか。
お茶づくりをとおして徐々にわかってきている。
広州の茶荘の注目する茶葉と、自分の手元の茶葉との品種特性が似ているのは偶然ではない。
易武古茶2014年と漫撒古樹青餅2013年・緑印プーアル茶
易武古茶2014年と漫撒古樹青餅2013年・緑印プーアル茶
易武古茶2014年と漫撒古樹青餅2013年・緑印プーアル茶
易武古茶2014年と漫撒古樹青餅2013年・緑印プーアル茶
左: 易武古茶2014年
右; 漫撒古樹青餅2013年・緑印
写真のとおりに似ている。
葉底の色の違いは、茶樹の日照時間の違いを表している。
易武古茶にはやや渋味があり、香りもある。これは日照の多い茶葉の特徴。
その点で”緑印”はちょっと甘い。香りはおとなしい。

老茶の飲み比べ。
7582大葉青餅70年代プーアル茶と7581五輪金花青磚91年プーアル茶
左: 7582大葉青餅70年代
右: 7581五輪金花青磚91年
この差は大きい。
『7582大葉青餅70年代』は易武山のお茶。
『7581五輪金花青磚91年』は臨滄もしくは布朗山のお茶。
老茶は易武山の味が圧勝すぎて話にならない。
大葉青餅の大葉は等級を現すのではなく、刮風寨や弯弓の大きく育つ新芽・若葉のことを指している。

弯弓古樹青餅2014年・複樹 その6.

製造 : 2014年05月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)弯弓
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : ステンレス茶缶小
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
広州の茶荘の弯弓2014年の晒青毛茶。
これを手元の『弯弓古樹青餅2014年・複樹』と比べてみる。
広州の茶荘の弯弓2014年の晒青毛茶
漫撒山同士の比較。
2010年ー2011年と易武山地区のお茶づくりをしたが、2012年から漫撒山地区へシフトしている。
漫撒山は現在は易武山の一帯に含まれるが、昔(清代の1800年代まで)は2つの地域に分けられていた。
易武山と漫撒山の境界は易武山の麻黒村大漆樹と漫撒山の弯弓との谷底にある。
易武山と漫撒山の境界
(易武山から漫撒山を望む。)
易武山と漫撒山の境界
(この谷底が易武山と漫撒山の境界線)
結果から言えば広州の茶荘のお茶は漫撒山の特色が薄く、むしろ易武山の麻黒の味に近かった。
易武山の特色を持ったお茶が漫撒山にあるのはなぜか?
人間から本当の話は聞けないので、茶葉だけで判断するしかない。
広州の茶荘の弯弓と弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
広州の茶荘の弯弓と弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
広州の茶荘の弯弓と弯弓古樹青餅2014年・複樹プーアル茶
左: 広州の茶荘の弯弓晒青毛茶2014年
右: 弯弓古樹青餅2014年・複樹
弯弓の写真。
+【弯弓2013年秋天 写真】
写真のように森の中に茶樹が紛れている状態。
人が栽培しているようには見えない。
しかし、近年は森の樹々を伐採して、茶樹の日当たりを良くして、生産量を増やす工夫がひろまっている。
その環境に適応するように、少しずつ品種特性が変わってゆく。
さらに麻黒は1970年代に台刈りによって樹高を低くする栽培が普及する。
これによってさらに品種特性の変化が加速したはず。
一方で漫撒山のお茶どころは清代以降廃れていったから、原生林の森が蘇って、茶樹はその中に紛れて”先祖返り”というか、原生の品種特性が現れるようになっている。
広州の茶荘は、ほんとうに弯弓の茶葉を入手したのかもしれないが、もしかしたら近年の森林の伐採や茶葉の乱獲によって、品種特性が変わってきてる弯弓の茶樹かもしれない。

ところで、メコン川を渡った開発区へ行ってきた。
西双版納告庄
西双版納告庄
西双版納告庄
独自の個性を失うほうへ向かっているのはお茶だけではない。

易武山落水洞の散茶2013春 その4.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山落水洞古茶樹
茶廠 : 農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納 袋密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
今日も飲み比べ。
広州の茶荘の落水洞2014年の晒青毛茶。
易武山落水洞の散茶飲み比べ
プーアール茶の原料となる晒青毛茶(一次加工の天日干し緑茶)のサンプル数が多ければ多いほど個人的な好みは反映されなくなる。
また、数人で飲み比べをしたときは、どれかひとつに人気が集中しやすい。
有名茶山のお茶は高級茶をつくろうとする業者も多いから、サンプルの母数も多い。
たくさん集めてたくさん飲み比べることができる。
美人コンテストは応募者が多いほど、選ばれる美人は美しい。
広州の茶荘の落水洞の散茶2013年と易武山落水洞の散茶2013春プーアル茶
易武山はこの数年で全体のレベルが下がってきた。
新規参入者が急増したから。
古樹のお茶は乱獲がたたって質を落している。
しかし、ピラミッドは裾野が広いほど上のほうのレベルは高くなる。
全体の質が下がるなか、茶樹を選んで采茶して質を上げる試み。
+【易武山落水洞の散茶2013年】
僅か数キロしかできないお茶。
この状況の中で、広州の茶荘は2014年の春の”落水洞”を100キロ以上も集めて餅茶をつくった。
質の差がどのくらいあるか比べてみる。
広州の茶荘の落水洞の散茶2013年と易武山落水洞の散茶2013春プーアル茶
左: 広州の茶荘の落水洞の散茶2014年
右: 易武山落水洞の散茶2013年
1年の熟成の差が茶湯の色の赤味に現れている。
広州の茶荘の落水洞の散茶2013年と易武山落水洞の散茶2013春プーアル茶
広州の茶荘の落水洞の散茶2013年と易武山落水洞の散茶2013春プーアル茶
左: 広州の茶荘の落水洞の散茶2014年
右: 易武山落水洞の散茶2013年
葉底の色に注目。
2013年の茶樹を選んでつくったのは青黒い色がはっきりしている。
2014年のは、選定や乱獲の特徴が現れた黄色っぽい色をしている。
農地の周辺の雑木が伐採されて採光が良く、茶樹は人の背の高さほどに台刈りされ、分岐の多い枝の新芽・若葉で、小ぶりに育ち、茎が短い。右は周囲に森があり半日陰になる農地で、選定や台刈りされていない茶樹で、分岐の少ない枝の新芽・若葉で、やや細長く育ち茎が長い。
落水洞のお茶は2年か3年熟成すると蜜香が現れる。
蜂蜜というよりはメープルシロップかもしれない。
この2つはまだ熟成が浅いので・・・・と思っていたが、3煎めに2013年ののに蜜香が現れた。4煎、5煎とだんだんはっきりしてくる。
2014年のには見つからない。今年出来たところだから仕方ないとして、味の系統は同じ。落水洞に間違いないと思う。耐泡(煎が続く)も良く、やや渋味が強いものの、伸び伸びとした印象が素質の良さを感じさせる。
100キロの生産でこのくらいの質の低下。
メーカーが何トンもつくるお茶がどのくらい質の低いものなのか想像できる。

漫撒山一扇磨の散茶2013年 その4.

製造 : 2013年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山一扇磨野生茶
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
易武山のお茶飲み比べ
易武山のお茶飲み比べ
易武山のお茶飲み比べ

お茶の感想;
広東の茶友は同郷の広州の茶荘を贔屓にしたいらしい。
しかし、まだ知り合って日が浅いので、この茶荘の易武山のお茶のいくつかを鑑定してほしいと頼まれた。
広州の茶荘の老板に相談して、「ふじもとの標本と比べてみる」という話をして、しかるべきサンプルが送られてきた。
その人とは自分も易武山で会っている。
長年の易武山でのキャリアがあることから、下手な偽物や粗悪品はないとみている。
鑑定は、誰かにとって有益となり、別の誰かにとって不利益となることがあるので、簡単には応じられない。
また、自分の知らない産地のお茶について適当な事を言うと、こんどは自分にとって不利益となるので、よほど熟知したお茶についてしか見れない。
広東の茶友もそのあたりは心得ている。
結果は試す前から見えていた。
広州の茶荘は有名茶山ごとにひとつの製品を100キロ以上つくっている。
自分の手元のは1キロから20キロ以内でひとつの製品になる。
たとえ同じ茶山の同じ斜面の同じ古茶樹から採取された茶葉であっても、摘み取りのタイミングが数日違えばクオリティーは変わる。100キロもつくると数日では済まないから、全体の質が落ちて当然。
広州の茶荘のサンプルは3種。
”落水洞”・”一扇磨”・”弯弓”。
落水洞には落水洞の、一扇磨には一扇磨の、弯弓には弯弓の”らしさ”が大事。
ホンモノかどうかは、実際に茶摘みの現場を監視しないとわからない。
お茶の味にホンモノが現れているかどうかが肝心なところ。
丁家老寨の原生品種と落水洞
左: 丁家老寨の原生品種2012年
右: 落水洞2014年(広州の茶荘)
一扇磨の野生茶と一扇磨の栽培茶
左: 一扇磨2013年
右: 一扇磨2014年(広州の茶荘)
弯弓と弯弓
左: 弯弓2014年
右: 弯弓2014年(広州の茶荘)
葉底
今回の飲み比べでは一扇磨のが面白かったので、もう一度比べてみた。
【漫撒山一扇磨の散茶2013年】
漫撒山一扇磨の散茶2013年プーアル茶と飲み比べ
左: 漫撒山一扇磨の散茶2013年
右: 広州の茶荘の一扇磨
見てのとおり、まず晒青毛茶の形や大きさが異なる。
一扇磨は現在は住む人もなく、山の中に残った茶が勝手に育っている。
国有林に指定された森林保護区で、村や農地にすることはできない。
そんな野生育ちが魅力だったが、近年の市価の高騰により、森林の雑木を伐採して茶樹の採光を確保し、産量を増やすところから始まり、新たに苗を植えるところも出てきた。違法であるが一部は農地に戻っている。
野生育ちの特徴が失われ、栽培の特徴が現れてきている。
野生育ちは新芽の発芽が遅い。
栽培型古茶樹の茶摘みは3月1日頃からはじまるが、野生のは一ヶ月遅れて4月1日頃からやっと芽を出す。森林の影にあるからひょろひょろと徒長して茎の部分が長い。
茶摘みがあまりされないため枝の分岐が少なく、葉の数も少なく、大ぶりに育つ。
旬をハズした雨の季節のも茎が長く育つが、その場合は芽も大きく育って、全体的に色が白っぽくなるのでかんたんに見分けがつく。
広州の茶荘のは採光が確保された栽培型の特徴が現れている。
そうでなければ晒青毛茶100キロも確保するのは難しい。
一扇磨は一扇磨。産地に偽りはない。無農薬・無肥料は当たり前。しかし、一扇磨に消費者が期待しているのは、国有林の森林保護区のお茶の味。
漫撒山一扇磨の散茶2013年プーアル茶と飲み比べ
試飲に同席した北京と広東の茶友は、経験的にこの違いを知っている。
しかし多くの人は分かりやすい濃い味の広州の茶荘の一扇磨を選ぶだろう。
栽培に人の手が加わるほどわかりやすい味になる。
一扇磨の葉底
一扇磨の葉底

倚邦古樹春の散茶2014年 その3.

製造 : 2014年03月18日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明倚邦山小葉種古樹
茶廠 : 曼撒山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納―上海密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
今年2014年の春に、北京の愛好家が集めたプーアール茶の原料となる晒青毛茶(一次加工の天日干し緑茶)が何種かあって、この中に良いのがあれば180gサイズの餅茶にしたい。
しかし、ちょっと難しそう。偽物を掴まされている可能性がある。
今日は”倚邦”のサンプルを確かめる。
手元にはこのお茶がある。
【倚邦古樹青餅2014年】
この原料となった晒青毛茶『倚邦古樹春の散茶2014年』を少し残してある。
有名茶山のお茶を選ぶときは”らしさ”が大事と思う。
春の旬らしさ。
古茶樹らしさ。
倚邦らしい風味。
倚邦山は明の時代1600年代に移植された?と推測される小葉種が多い。
香りに特徴があるから鑑定しやすい。
さて、本命の飲み比べの前にまず”小茶樹”と”古茶樹”を比較する。
小茶樹と古茶樹のプーアル茶
小茶樹と古茶樹のプーアル茶
左: 小茶樹
右: 古茶樹
この2つは北京の愛好家が入手してきたもの。
なぜこの2つがあるかと言うと、現地の業者から「うちはホンモノ、この2つのサンプルを試してくれ」と言われたから。
写真ではわかりにくいが、樹齢の若い小茶樹は葉底が黄色く明るい。暗く青いのが古茶樹。
味の違いはもっとはっきりしている。こうして比べると古茶樹のお茶はやはり美味しい。
ここで信用してしまったのだろう。
もう結果は見えているけれど、本命と飲み比べる。
倚邦のニセモノとホンモノ
倚邦のニセモノとホンモノ
倚邦のニセモノとホンモノ
左: ニセモノ
右: 倚邦古樹春の散茶2014年
倚邦のニセモノ
ニセモノの葉底は大きく、倚邦の小葉種の特徴が見当たらない。
易武山や象明山の広い範囲に分布する中葉種。樹齢は200年くらいのが多い。
倚邦のホンモノ
ホンモノの葉底には倚邦の小葉種が多く混ざる。混生状態なので100%ではないが、パッと見てわかることが重要。
もちろんお茶の味も違う。とくに香りが違う。
どちらが美味しいか?という比べ方では、ちょっとの差で『倚邦古樹春の散茶2014年』に軍配が上がる。ニセモノもそう悪くはない。ちゃんと春の旬の古茶樹の味がする。
ただ、価格は”倚邦”の半分以下になる。

易武古茶2014年 その1.

製造 : 2014年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山の古茶樹
茶廠 : 易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 広州紙包+竹皮筒
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
易武古茶2014年プーアル茶
易武古茶2014年プーアル茶
易武古茶2014年プーアル茶

お茶の感想:
広東の小さな茶荘のオリジナル『易武古茶2014年』。
餅茶1枚357gの生茶。
易武古茶2014年プーアル茶
易武古茶2014年プーアル茶
春に易武山でこのお茶の老板に出会った。
時間がなくてあまり話を聞けなかったが、2008年から現地に通って少量の高級茶づくりを試みている人だった。春のお茶を秋になってやっと出品。広東の茶友が早速一枚入手したので試飲した。
ぜんぶで70キロつくったらしい。1枚357gだから196枚。
一軒の農家では無理な量なので、数件の農家から集めたはず。
台刈りで背丈を短くされずに、自然に枝を伸ばした古茶樹の特徴が現れている。
茶樹の在処は秘密。しかし、製茶の精度の高さからみて、麻黒や落水洞などの集落からそう遠く離れていないと思う。
品種もまた麻黒のと似ている。弯弓のような大きな葉や太い茎は見つからない。
易武古茶2014年プーアル茶

越境野生青餅2010年 その3.

製造 : 2010年4月
茶葉 : ミャンマーJing dong 野生古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包み+竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 大きめの蓋碗
越境野生青餅2010年プーアル茶

お茶の感想:
「このお茶、紅茶に似ていませんか?」と、お客様から感想を頂いたが、そんな印象はなかったので、なにかの間違いじゃないか?と疑って、今日飲んでみた。
+【越境野生青餅2010年プーアル茶】
そうだ。アッサム紅茶の味。ミャンマーの古茶樹。中国西双版納から西へのミャンマーはインドのアッサムにより近い。だから品種特性もより近いかもしれない。
煙い。苦い。甘い。
個人的にはどちらかというと苦手な強い味。
大きめの厚手の蓋碗で淹れてみた。
じっくり抽出したほうが甘味が出て、苦味とのバランスがとれる。
しかし、茶葉が多すぎて、ちょっと濃すぎた。
越境野生青餅2010年プーアル茶
越境野生青餅2010年プーアル茶
越境野生青餅2010年プーアル茶
茶菓子がないから、お香を焚く。
煙たく苦いお茶と、お香の甘い香りは絶妙の組み合わせ。
越境野生青餅2010年とチベットのお香
なぜか苦いお茶がほんのり甘くなる。
ウィスキーのチェイサーにしたら、お互いの甘さが引き立つ。
最近ウィスキーを飲まないけれど以前はよくやっていた。
越境野生青餅2010年プーアル茶の葉底
誰にでも美味しいわけではないけれど、嗜好のピタッり合う人には深く愛される。
こういうのを大事にしたい。

易武古樹青餅2010年 その30.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納紙包+竹皮筒+陶器の壺
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
それぞれ別の一枚。
+『易武古樹青餅2010年』
易武古樹青餅2010年プーアル茶
易武古樹青餅2010年プーアル茶
プーアール茶の生茶の茶葉にはいろいろある。
山ごとの品種特性や、采茶の季節。
このお茶の場合は一箇所の山の斜面から采茶を30日ほど行ったが、どの日に采茶したかで品種特性が異なる。
茶葉の繊維質や成分の構成。
殺青や揉捻の製茶は一回ごとに茶葉の質を見て調整している。
お茶淹れもおなじように一回ごとに茶葉の質を見て調整するべき。
易武古樹青餅2010年プーアル茶
易武古樹青餅2010年プーアル茶
易武古樹青餅2010年プーアル茶
易武古樹青餅2010年プーアル茶
参照
+【通信講座#003 お茶の個性と品種】

広東の茶友が易武山のお茶に凝りだしていろいろ持ってくる。
飲み比べて、それぞれの特徴について語り合う。
はじめはどちらが良いか悪いかしか見えていなかったが、今はそれぞれの特徴に注目できる。茶葉の素質・製茶・保存熟成。
鴻慶號易武喬木古樹餅2005年
鴻慶號易武喬木古樹餅2005年
鴻慶號易武喬木古樹餅2005年
『鴻慶號易武喬木古樹餅2005年』。
1998年だと店の人は言ったそうだが、ありえない。2005年くらい。
易武山の古樹だと思うが、麻黒や落水洞の香気はない。
中葉種(雲南大葉種の中の中葉種)的な形状なので、樹齢200年前後の台刈りされた茶樹だろう。
餅面の茶葉の立体感や太い茎から見て、茶畑の若い茶樹ではない。
細く尖った短い新芽や、ぽってり小さく丸い若葉は早春の特徴。采茶のタイミングは良い。
製茶の殺青や揉捻がやや粗い。
味のキレや喉越しは良いので、大きな問題ではない。
茶気は強く滋味深く、耐泡(煎が続く)もある。
昆明で保存されていたらしく、比較的乾燥したところにあったせいか熟成はゆっくり。
価格は思ったより高価。
有名茶山のお茶には相場がある。相場を勉強しておけば、間違った値段で買うことはない。


茶想

試飲の記録です。
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