プーアール茶.com

茶教室・京都

巴達山賀松熟茶07年 その3.

製造 : 2007年12月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山賀松寨生態茶樹
茶廠 : 孟海県恒益茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶357gサイズ
保存 : 西双版納孟海県ー景洪市
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶

お茶の感想:
ひとつひとつの茶葉の性質を見て・触って・嗅いで理解する。
茶葉の個性を理解してお茶を淹れたら、お茶がうれしい味になる。
今日はこのお茶。
『巴達山賀松熟茶07年』。
このお茶は廉価な熟茶にしては珍しく純粋。
まず、ひとつの山のひとつの村から茶葉が集められている。(一般的にはいろんな山のがブレンドされる)
そして、春の旬の若葉のみである。(一般的には夏や秋の茶葉がブレンドされる)
さらに、一軒の製茶農家によって晒青毛茶がつくられている。(一般的にはいろんな製茶農家から集められたのがブレンドされる)
メーカーでの渥堆発酵後に等級分けやブレンドがされていない。(一般的には渥堆発酵の仕上がりの差を標準化させるためにブレンドされる)
もともと熟茶は生活のお茶。
大量生産して廉価な品をつくるためにいろんな工夫がされている。
茶葉やあちこちの山から晒青毛茶を集めて、メーカーがストックしておいて、一定量が溜まったら渥堆発酵されて、等級分けして、ブレンドして、圧延加工して、製品となる。
このお茶はどちらかというと生茶向けの高い品質の茶葉であるが、2007年はプーアール茶バブルの年。
春の晒青毛茶のつくりすぎで余ってしまって、熟茶に加工されることになった。
茶葉には山の農家での異物混入があると思うが、それは茶葉の品質とは関係がない。

新芽・若葉のお茶は、熟茶であって煮やさないように淹れたほうがよい。
熱湯を注いだらサッと切って、透明な色を保って、淡いくらいの味を楽しむのがよい。
味が淡くても口いっぱいに広がる充実感。
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
巴達山賀松熟茶07年プーアル茶
慣れてきたら、もうちょっと味を尖らせてみたいと思うことがある。
湧きたての熱い湯で、茶壷で淹れてもよいだろう。
春の旬の茶葉は、茶気や香気を立ててエッジを効かせる。
味の濃さを求めないのがコツ。

漫撒茶山黄金葉熟餅05年 その5.

製造 : 2005年
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶+微生物発酵
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み 竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
無加水で自然に微生物発酵したお茶。
茶葉の変色にムラがある。
漫撒茶山黄金葉熟餅05年プーアル茶
農家のつくった一次加工の晒青毛茶(天日干し緑茶)が湿って、袋の中の中心部の茶葉に微生物が湧いた。
発熱していたらしい。
麹らしい甘い香り。
お茶の味には一点の曇りもなく、薫り高く清らかで甘い。
口になじむ。喉に溶ける。
漫撒茶山黄金葉熟餅05年プーアル茶
漫撒茶山黄金葉熟餅05年プーアル茶
これが本来の生茶だった。
プーアール茶は黒茶という分類が正しかった。

章朗古樹春天散茶2012年 その1.

製造 : 2012年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 袋密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋
章朗古樹春天散茶2012年プーアル茶

お茶の感想:
このお茶が美味しい。
今まさに花開いている感じがする。
『章朗古樹春天散茶2012年』。
上海に長期保存中のこのお茶を試飲したら、目の覚めるような美味しさだった。
蘭香がすばらしい。お茶というより花が薫る。
西双版納に残していたサンプルの茶葉も、今日飲んでみたら同じように開いた感じがする。
蓋碗でサッと淹れるのがおすすめ。
章朗古樹春天散茶2012年プーアル茶
章朗古樹春天散茶2012年プーアル茶
散茶の茶葉はかさが大きいので、ちょっと多めに見えるくらいでちょうどよい。
サッと熱湯を通して一瞬で切ること。
蓋碗の中でじっくり煮出さないこと。
色が淡くても大丈夫。茶葉のチカラを信じるべし。
蓋碗は短時間で抽出するのにちょうど良い。
茶海(公道杯)を使うと、茶湯をサッと移すことができる。
章朗古樹春天散茶2012年プーアル茶
一煎一煎が一番だし。
3煎めくらいから花の香が茶の香りに変わってゆく。その変化もまた味わい。
(蓋碗は指を火傷しないよう口の開いたカタチのを選ぶこと。)
茶海から茶杯にもすぐに注ぐべし。茶杯に入ってからもすぐに飲むべし。
温度が下がりやすい薄手の茶杯のほうが、熱くなりすぎなくてよいかもしれない。
いつまでも杯に茶を残しておくと新鮮味が落ちる。
章朗古樹春天散茶2012年プーアル茶
パッと淹れてサッと飲むべし。
章朗古樹春天散茶2012年プーアル茶
あと2年も経って、さらに熟成変化がすすめば、違う淹れ方で別の魅力が引き出せるかもしれないけれど、今はこの高速淹れが一番と思う。

銷台甲級沱茶90年代 その6.

製造 : 1990年代
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県大葉種晒青茶
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 西双版納ー昆明乾倉 紙包
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋

今日はこのお茶
『銷台甲級沱茶90年代』。
銷台甲級沱茶90年代
西双版納で保存熟成しているのを開けてみた。
通気をちょっとだけ許して保存している。
金花と呼ぶ麹カビの一種は沸いていなかった。
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
湿度計は55度を指している。
今はまだ乾季で雨が降らないが、雨季になると65度から75度くらいで安定する。もしかしたらこの熟茶には金花が沸くのではないかと期待している。
室内は、冬に暖房をすることはない。暖かいから。夏はエアコンをつける日が2週間ほどあるかないか。
気温が安定しているほうが熟成に良い。そのほうが茶葉のミクロの繊維の中の水の動きが緩慢だから。
余談だが、
冬の間は、茶葉を郵送して配達されたときに、暖房のある室内ですぐに開封すると結露する。
冷たくなっている茶葉と温められた空気との温度差が大きいので、空気中の見えない水が茶葉に付く。これに気付かないまま保存すると茶葉は湿気て劣化が激しくなる。
水が多いと腐敗することもあるだろう。
寒い時期は、配達された茶葉を室内で2日ほど未開封のまま置いて、温度を慣らしてから開封したほうがよい。
銷台甲級沱茶90年代
銷台甲級沱茶90年代
1990年代までの熟茶はあっさりめに淹れるのが美味しい。
銷台甲級沱茶90年代プーアル茶
ここまで濃くすると爽やかさに欠ける。
あっさり淹れると番茶のようなやさしい味がする。
若葉の割合が比較的多いので、煮やさないほうがよい。
昔の熟茶は大きく育た粗い茶葉が多かったので、煮出したほうが美味しかった。
1990年代以降の熟茶は若葉の多いのが一般的になってきたので、煮やさないよう注意する。
熟茶の普洱茶

紫天樟香青磚80年代 その4.

製造 : 1980年代
茶葉 : 雲南省西双版納州易武山
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代) 南天公司監修
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 磚茶
保存 : 香港ー昆明 紙包・段ボール密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
紫天樟香青磚80年代

お茶の感想:
微生物発酵していた生茶。
この時代の老茶の味を知ったら、現代の新しいプーアール茶には戻れない。
身体が求める。
手元に老茶のストックがあるかぎり戻る必要もない。
今日はこのお茶。
『紫天樟香青磚80年代』。
+【紫天陳香青磚88年 その1.】
+【紫天樟香青磚80年代 その1.】
今日飲んでみたら苦味が強いと感じたが、これは製茶の雑なことが原因とわかった。殺青の時に焦がしたのだな。
完璧な老茶など今どき手の届く値段では放置されていない。
+『中茶牌3917沱茶93年 その11.』
これに説明した泡茶技術で欠点をカバーして欲しい。
水を荒らさないよう、やさしくそっと淹れたら、甘いお茶になる。
紫天樟香青磚80年代プーアル茶
あきらかに微生物発酵した茶葉と、そうでなさそうなムラがある。
これは成長度の異なる茶葉の保水力に差があるせい。
水をたくさん蓄える柔らかい繊維の茶葉ほど微生物発酵がすすむ。
紫天樟香青磚80年代プーアル茶
紫天樟香青磚80年代プーアル茶
圧延加工の工程による蒸気の熱と、熱風乾燥の熱と、カラカラに乾くことで、いったん微生物は死滅するはずだが、微生物のつくった酵素がまだたっぷり残っている。
このため、気温も湿度も高い時期に熟成変化がすすむ。
加水による微生物発酵をさせた熟茶もそうで、茶葉に酵素が残っているから、高温多湿な季節に風味の変化が急にすすむ。
微生物にとって栄養抜群の茶葉になっているので、西双版納の倉庫保管ではしばしば金花菌(麹の一種で良性のカビ)の沸いているのを見つけることがある。
例えばこのお茶。
+【大益貢餅熟茶98年崩し】
西双版納からハンドキャリーで上海に持って帰って、餅茶を崩してみたら金花菌が黄色いチョークの粉のようにびっしり付いていた。特有の甘い香りが漂った。
金花菌の活動しやすい28度くらい(だったかな)の季節はむしろ歓迎なのだ。

ところが、そんなにカンタンではない。
上海で似たような季節が来ても、金花は再び増殖することはなかった。じわじわ黄色の鮮明な色が消えていって、1年もしたら跡形もなくなっていた。
微生物は環境に敏感すぎて、その気持がわれわれには理解できない。

西双版納の手づくり黒砂糖。サトウキビを絞った汁を鍋で煮詰めただけ。
ダイ族のおばちゃんがときどき売っている。
後発酵(手元に保存中に微生物発酵)している。
西双版納の黒砂糖
西双版納の黒砂糖
酵母が沸いてアタックアタック。
半年置いておくだけで、小さな泡が吹いたような跡ができる。
砂糖は腐らない。ということは発酵もしないはずだが、手づくり黒砂糖にはいろんな成分が混ざっていて、ミクロの微生物なら活動できる隙間がたくさんあるのだろう。
麹菌のようなのが表面にうっすら綿をかぶることもある。酵母のつくった成分の表層に生きられるのだと思う。
もちろん美味しい。消えの早い上質な甘味・旨味。

早期紅印春尖散茶 その3.

製造 : 1950年代末期
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村古茶樹
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 香港ー台湾ー上海ー京都ー西双版納 茶缶密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
早期紅印春尖散茶

お茶の感想:
今日はずっとこのお茶。
+【早期紅印春尖散茶】
美味しいなあ。
早期紅印春尖散茶
早期紅印春尖散茶
早期紅印春尖散茶
お茶づくりに関しては、昔の人のほうが上。
産地でお茶づくりをはじめてから、徐々にこの仕事の凄さがわかってきた。
わかってもできない。
昔の人の感性というか、霊感というか、レベルが違いすぎ。

丁家老寨青餅2012年 その16.

製造 : 2012年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み 竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
今日はこのお茶の飲み比べ。
+【丁家老寨青餅2012年】
熟成の保存の違いを確かめる。
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
ステンレス茶缶のと、泰族の陶器の茶壺のと。
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
ステンレス茶缶のと、倉庫のと。
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
泰族の陶器の茶壺のと、倉庫のと。
前回に問題(臭いが移る)が発覚したダイ族の茶壺だが、その原因は湿気。
見えない空気中の水が茶葉に入り込んでいる。
「保存における最適な湿度は何%」と専門家は言うが、あまり頼りにならない。
なぜなら、茶葉の水分量は空気中の湿度だけでは計りきれないから。
空気中の見えない水の移動は、茶葉の繊維の内側と外側の、温度の変化、気圧の変化がきっかけになる。
単純に、茶葉の含む水分量を見るのなら、1枚(餅茶の標準で357g)の変動を0.0g単位で毎日記録するのがよい。
ただし、計量のたびに保存容器から出し入れするだけで正確ではなくなる。

味の差は微妙だが、飲み比べるとよく分かる。
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
湿気を吸ったお茶は香りが弱る。ほんの微かに酸味が増す。
なので、いちばん香気の立つ1煎・2煎めの杯においてはステンレス茶缶のお茶が美味しい。
ところが、3煎・4煎になると香気の差はほとんどなくなる。お茶の美味しさを構成する主役が香気ではなくなるからだろう。5煎・6煎になると美味しさは逆転する。酸味の差もなくなる。
気のせいかと思って3度試したが同じ結果になる。
5煎めくらいから、ステンレス茶缶のはどことなく味が軽く、喉越しはやや胸につかえるように感じる。泰族の茶壺や倉庫のお茶は味に厚みがあり、舌に馴染んで、喉の奥へスッと沈む。
茶気が穏やかになっている。

昔の生茶は違う。
ある程度湿気のあるところのほうが美味しくなる。
紅印は神がかりな美味しさ。
+【早期紅印春尖散茶】
早期紅印春尖散茶
左: 丁家老寨青餅2012年
右: 早期紅印春尖散茶
微生物発酵によってつくられた酵素が茶葉に残っていて、これが空気中の水分を得て適度な温度になると、茶葉の成分を化学変化させる。十年経ってもに二十年経っても、茶葉のミクロの繊維にはまだ効力を発揮していない酵素がたくさん残っている。
ここまではわかっていても、なぜこの風味が魅力的に変化するのか、なぜ湿気て劣化したように感じないのか、どの成分のどんな変化があるからそうなるのか、不明のまま。
昔の人も言葉で説明はできなかっただろう。
けれど、どうしたら良いのかを知っていた。
その勘の働き方に圧倒的な差がある。

南糯山生態紅茶2013年 その3.

製造 : 2013年05月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県南糯山多衣寨
茶廠 : 農家
工程 : 紅茶
形状 : 散茶
保存 : 袋密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : コーヒー用のグラスポット350cc
南糯山
南糯山

お茶の感想:
西双版納はまだ乾季で、晴れの日が続いている。
茶摘みは3月になってから。
まだちょっと日数があるので、足腰のトレーニングを兼ねて南糯山を歩いてきた。
景洪市から車で1時間なので日帰りできる。
観光茶山として発展する兆しがある。

春節のゴルデンウィークで賑わっていた。
賑わうと言ってもそこは辺境地。中国国内の旅行スタイルもだんだん変わってきて自家用車で好きなところへ行く家族が増えているが、他の景勝地に比べたら人は少なく、気持ちよく過ごせる。
西双版納は工業の無い地域だから空気はキレイだが、それでも町は車の排気ガスや建設の埃などで空気が悪い。山に来ると空気が美味しい。
南糯山は愛尼族(アイニ族)の村が8つほどある。各村に人口が分散しているので、山のあちこちをめぐる山道が充実している。山歩きを楽しむにはちょうど良い。
南糯山ジャイアンツ
南糯山ジャイアンツ
ところどころに巨木が残っているのも南糯山の魅力のひとつ。
昔は、巨木には必ずと言ってよいほど豹が住んでいたらしい。
山の上のほうほど森林が濃くて散策が楽しい。
南糯山
南糯山
茶樹は太い幹が左右に分かれてうねっているのが特徴。
まるで盆栽を大きくしたような。
これは昔から人が茶葉を採取したり、ときには台刈りで背が高くなりすぎないようにしたり、手入れをしてきたからこうなる。
樹齢数百年の茶樹だから、数百年のお茶づくりが続いていたということ。
しかし、現代のプーアール茶に向けた新芽・若葉のお茶がつくられたのは1980年頃から。それ以前は大きく育った茶葉を採取して、チベットなど遊牧民の生活のお茶となる原料をつくっていた。
高級茶づくりをしてきた歴史はない。
南糯山の古茶樹
南糯山の古茶樹
南糯山の古茶樹
南糯山の古茶樹
茶樹に登ったら罰金です
(”茶樹に登ったら罰金です”と書いてある)
幹が分かれないで一本だけ上へ伸びる茶樹は、遠い昔に誰も手入れしなかったためで、ある意味で野生茶だが、そういうのは美味しく飲めないことが多い。近年はそんな茶樹まで采茶されるが、昔の人が飲まなかったお茶は飲まないほうがよいと個人的には思う。
今日のお茶は『南糯山生態紅茶2013年』。
南糯山の茶葉は生茶よりも紅茶に向いている。
甘味にしても苦味にしても消えの早いほうが上等だが、南糯山のは残る。
”苦底”が強いのが特徴で、舌に苦味が残るので、甘いお菓子には合う。
紅茶にすると軽発酵の効果で苦底が少なくなって飲みやすい。
南糯山生態紅茶2013年
南糯山生態紅茶2013年
この『南糯山生態紅茶2013年』は春の二番摘み。
パッと見て新芽がやや大きいのは一番摘みではない。
早春の新芽は小さく細いので、見た目が悪いから、売れにくい。
二番摘みの5月頃は気温がやや上がってきてよく育つので、新芽が目立ってキレイ。一番摘みに比べると茶気も香気も落ちるが、味・見た目・価格のバランスがよいので、いちばんよく売れる。

南糯山の入り口の露店。
南糯山物産展
南糯山物産展
ここでいつも天然の果物の乾物を買う。
ひとつの山にいろんな産物のできるのは生態環境のよい証。
南糯山の乾物
帰ってからさらにちょっと天日干しするのが長期保存のコツ。

丁家老寨青餅2012年 その15.

製造 : 2012年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)丁家老寨古茶樹
茶廠 : 農家+漫撒工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 紙包み 竹皮包み
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗

お茶の感想:
茶葉を保存する泰族の壺が調子悪い。
茶葉をダメにする。
先日の『漫撒古樹青餅2013年・黄印』につづいてこのお茶のサンプルも悪くなった。
+【丁家老寨青餅2012年】
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
味がエグくて、香りも水質も落ちている。
腐敗ではないが、劣化した印象がある。湿気たのだと思う。
念の為に泰族の壺には入れていないほうの『丁家老寨青餅2012年 』を飲んでみると問題がなかった。
経験から、こいういうときはまず晒干してみる。
餅茶の両面を1時間ずつくらい太陽光に晒す。その後涼干で数時間室内の乾燥したところに置く。
晒干するプーアール茶
これでかなり回復した。
壷に入れている期間が長いと回復できないが、泰族の壺はまだ使い始めて1年にもならない。
なぜこうなったのか?
日本の窯元(オリジナルの熟成壺をつくってもらっている)に聞くと、こんな答えが帰ってきた。
まず、日本で高温で焼かれているもには、あまり聞かない問題ですね。窯を焼くときの燃料に重油をつかって、低い温度で燻しをかけていて、煤などが器物の土のなかに残っているのかもしれないですね。または、気化した燃料が染み込んでいる可能性もあると思います。

臭いの問題は見当たらないので水を通しやすい土の問題だと思う。低温で焼かれてスカスカの陶器。水を溜めても漏れてくる。
晒干の後に宜興の茶壺に移した。
倉庫に置いている『丁家老寨青餅2012年』はどうだろう?
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
お茶の味の好ましい変化は”熟成”。
好ましくない変化は”劣化”。
あくまで感覚的なもので、成分分析をしてなんらかの数値を比べるわけではない。
個人の感覚を頼ったあいまいな線引きになるが、飲んでみるとはっきりする。
良いか悪いかのどちらかであって中間はない。
丁家老寨青餅2012年プーアル茶
しかし微妙。
良いのか悪いのかよくわからない。
熟成環境を変えることにする。

上海の坊
5歳になった上海の坊に宜興の茶壺をプレゼント。
そういえば、この宜興茶壺も買ったその場でお茶を淹れてたらエグい味になった。
新品の茶壺は1時間ほど煮て”開壺”する。
今回は茶葉といっしょに煮た。その後の調子は良い。

易武春風青餅2011年 その8.

製造 : 2011年12月(采茶3月)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納―上海密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 小さめの蓋碗
易武春風青餅2011年プーアル茶
易武春風青餅2011年プーアル茶

お茶の感想:
今日は2つの飲み比べ。
+【易武春風青餅2011年】
+【祈享易武青餅2014年】
"春風"の一枚は西双版納の紫砂壷に入れている。
熟成壺
宜興窯でつくられたものだが、安価なものだから土は外地のブレンドだろう。それでも西双版納の泰族の陶器に比べるとずっと良い。
易武春風青餅2011年と祈享易武青餅2014年
易武春風青餅2011年と祈享易武青餅2014年
左: 易武春風青餅2011年
右: 祈享易武青餅2014年
山の環境が易武山と漫撒山とで異なる。
現在の行政区分ではすべて易武山地区になるが、清代までは2つの地区(茶山)に分かれていた。
”春風”と”祈享”の茶樹は、直線距離にして30キロほどしか離れていない。
山続きであるが、漫撒山のほうが森が深く水気が多く、気温が安定している。
易武山の昔はどうか知らないが、この数年は農地開発(茶のできない山の低いところのバナナ園や天然ゴム園)がすすんで、森林を多く失い、山の上のほうの空気が乾燥してきて、一日の気温の変化が大きくなっている。
ちゃんと計測したわけではないが、人間がそう感じるくらいだから、茶樹もそう感じるだろう。
易武山と漫撒山では品種特性的な違いがある。
品種特性は長年かけて育まれるものだから、ということは、やはり昔から山の気候は異なったかもしれない。

茶樹の栽培も若干異なる。
”春風”は古茶樹であっても、人間の背丈ほどに切り戻しされている。
このために枝分かれが増えて、葉数が増えて、一枚一枚の葉が小さく育ちやすい。また、春の早い時期に芽を出し始める。
1970年代から1980年代にかけての孟海茶廠の印級の”小葉青餅”は、このタイプの古茶樹か、それとも倚邦の小葉種の古茶樹か、どちらか。
+【七子紅帯青餅】
+【倚邦古樹青餅2014年】
切り戻しされた茶樹は近年の自然派ブームによって不人気になってきたが、早春の茶葉が小さく育つ時期に采茶できるところが良い。
”祈享”は漫撒山の古茶樹。
背の高く育つものなら10メートルを超える。
平均的なものでも3メートルはある。
選定はしない。この地域の伝統的な栽培方法の”熟した枝”づくりが行われる。
選定をしないで枝を長く伸ばすと、その分の根を長く育てることができる。これによってより地中深く根が張ることと、茶葉が一枚一枚が大きく育ちやすい。数は少ないが大きさが稼げる。

この2つのお茶はつくった量に違いがある。
”春風”は春のはじめの6日間のみ。
”祈享”は春の30日間ほど。
貢茶づくりの明代から清代にかけてのこの地域の茶山は、他所から品種を持ち込んで栽培の実験?をしたような形跡がある。
それは、現在も残る古茶樹の品種のバラエティーの豊富さに現れている。
品種特性が異なるものは、新芽・若葉の出るタイミングに少しずつ違いがある。
つまり、”春風”は品種特性がほぼ単一に近くて、”祈享”はいろいろ混じっている。圧餅加工する前に茶葉を撹拌して、一枚一枚のムラをなくしている。
まずこの違いがある。
また、”春風”の6日間と同時期は、”祈享”はまだ初摘みがはじまっていない。より野生状態に育つ漫撒山の森のお茶は、少し遅い時期に新芽が出てくる。
冬の乾季から夏の雨季へと気候の変わる春の茶摘みの時期。一日一日気温が上がったり、空気中の湿度が高くなったりする。
このため、茶葉の成分構成が異なる。繊維の質が異なる。
お茶の味もそれなりに異なる。
易武春風青餅2011年と祈享易武青餅2014年
易武春風青餅2011年と祈享易武青餅2014年
左: 易武春風青餅2011年
右: 祈享易武青餅2014年
山続きのお茶なので、基本的な味は似ているが、まず最初に気付くのは水質のきめ細かさが異なること。
雨がまだほとんど振らないときの”春風”のほうが、水質が細かく水に滑らかさと粘りを感じる。
祈享のほうは雨の季節に近づいた茶葉なので、水質が粗い。
茶酔いの質も異なる。
春風は上に昇ってゆく。
祈享は下に落ちてゆく。
易武春風青餅2011年と祈享易武青餅2014年
左: 易武春風青餅2011年
右: 祈享易武青餅2014年
春風はエネルギーが強く、パッと一瞬で別世界に誘う。
祈享はおっとりしていて、大きな波に揺られるような酔い心地が長く続く。
どんな目的でお茶を飲むかで使い分ければよいが、春風は特別感があるものの、飲み疲れしやすい。祈享はぼんやりしているので飲み疲れしにくい。


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