版納古樹熟餅2010年 その32.
製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 軽い密封 紙包
茶水 : タイ・チェンマイの飲料水
茶器 : Klean Kanteenの保温ボトル
お茶の感想:
温州人の茶友が渥堆発酵を試した。
熟茶づくりの微生物発酵をメーカーや工房に任せずに自分でやる。
設備や道具は手作り。茶葉は農家にオーダーしたもの。
昨年からずっと茶友たちと話し続けていたテーマである。
他人に任せていてはこのお茶の再現すらできない。
+【版納古樹熟餅2010年】
経験が豊富なはずの大手メーカーの職人は、もう良い仕事ができない。
経済環境、社会環境、いろんなことが変化している。
どのみち伝統の知恵の蓄積は失われている。
熟茶は1970年頃からの、黒茶にしては比較的新しい製法であるが、1970年代、1980年代と渥堆発酵の技術は変わってきたし、お茶の体感(効能)の面から見ると2000年代の熟茶はすでに別モノになっている。
つくり手だけのせいじゃない。消費する側の変化もある。
お茶づくりは産地が半分。消費地が半分。
茶友たちは中国人なので、成功したら中国で売ろうと思っている。
数年後には良いタイミングが来るかもしれないと思う。
大陸の人たちがプーアール茶を飲むようになったのは近年のこと。まずは大きな市場に向けたお茶づくりからはじまって、市場が成熟してゆくにつれ細かな需要が分かれてゆく。
熟茶はもともと大衆茶としてつくられた経緯があるから、手づくりしたがゆえに高価になったというのを歓迎する消費者はまだ少ない。安易に古茶樹を謳った製品はいくらでもあるが、旬を外した夏の安い茶葉が使われている。何らかの問題があって売れ残った晒青毛茶(原料となる天日干し緑茶)をメーカーが買い叩いて熟茶をつくるから、どこか問題がある。
我々が原料の茶葉を騙されることはもうない。
西双版納に住んで山の農家に行って自分で茶摘みを管理するようになると、その問題はなくなる。だから生茶はよいのがつくれるようになってきた。問題は熟茶。晒青毛茶を渥堆発酵させる工程に1ヶ月以上かかる。それを行う倉庫などの設備、道具、水の管理、そして職人の手、すべてにおいて不満があった。
ぜんぶ一からやり直す。
設備も道具も手づくりでよいから自分で考えてつくる。
茶友たちは、当初はふじもとが熟茶をつくって、安く分けてもらえたら良いな、あんなにリスクの高いことを自分でするのはバカだな・・・くらいに思っていた。
けれど、ふじもとは4年間消極的だった。2012年に人の不注意による大失敗があってから、経済的な体力を失って動けなくなった。いつまでもノロノロしているから茶友たちは痺れを切らした。
温州人は西双版納で『版納古樹熟餅2010年』を20枚買って毎日飲んで、あることを発見した。
ミャンマーの山奥での金鉱採掘の仕事が忙しいので、採掘場の事務所の側に部屋をつくって、アドバイスした道具をぜんぶ揃えて、中国から仕入れた晒青毛葉を数十キロ持ち込んで、渥堆のテストを始めた。
一回目の水掛けから7日目。
すでに白いカビが発生している。甘い香りが漂っているらしい。
「ところで、何日に一度水をかける予定なの?」
「え?毎日霧吹きしているけど・・・そしたら微生物が活発になって温度が上がるし。」
「でも、毎日開けていたら雑菌が入りやすいけどな・・・。」
初めてだからワクワクして毎日見ずにはいられないし、水をかけた微生物の反応をリアルタイムで確かめたいし、ガマンできないのだろう。
こんな具合なので、このお茶は他人に売るどころか、飲ませることもできないだろう。
しかし、この一歩は大きい。
中国では人が信用できなくて良いモノがつくれない。人の不注意によって大きな損失を被ることがある。裏切りによって思わぬ損失を被ることもある。必ずある。
先生は信用ならない。自分で一からやらなければならない。だからこそ良いこともある。
『版納古樹熟餅2010年』。
旅のときは崩して携帯している。
Klean Kanteenの保温ボトルに湯を注ぐだけ。
ちょっとコツがある。湯を注いでから数分蓋を閉めずに熱を逃がす。70度くらいに温度が下がると茶葉の煮え味がなくて、透明感のある清らかなお茶になる。
星のめぐり。
頑張らなくても大丈夫。
お茶の良いのはつくれるものじゃない。できるときにできる。
漁師が魚が捕れるのは潮のめぐり。
まだ雨の季節。
チェンマイがカラッとしてきたら西双版納もそろそろ秋の旬がはじまる。
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 軽い密封 紙包
茶水 : タイ・チェンマイの飲料水
茶器 : Klean Kanteenの保温ボトル
お茶の感想:
温州人の茶友が渥堆発酵を試した。
熟茶づくりの微生物発酵をメーカーや工房に任せずに自分でやる。
設備や道具は手作り。茶葉は農家にオーダーしたもの。
昨年からずっと茶友たちと話し続けていたテーマである。
他人に任せていてはこのお茶の再現すらできない。
+【版納古樹熟餅2010年】
経験が豊富なはずの大手メーカーの職人は、もう良い仕事ができない。
経済環境、社会環境、いろんなことが変化している。
どのみち伝統の知恵の蓄積は失われている。
熟茶は1970年頃からの、黒茶にしては比較的新しい製法であるが、1970年代、1980年代と渥堆発酵の技術は変わってきたし、お茶の体感(効能)の面から見ると2000年代の熟茶はすでに別モノになっている。
つくり手だけのせいじゃない。消費する側の変化もある。
お茶づくりは産地が半分。消費地が半分。
茶友たちは中国人なので、成功したら中国で売ろうと思っている。
数年後には良いタイミングが来るかもしれないと思う。
大陸の人たちがプーアール茶を飲むようになったのは近年のこと。まずは大きな市場に向けたお茶づくりからはじまって、市場が成熟してゆくにつれ細かな需要が分かれてゆく。
熟茶はもともと大衆茶としてつくられた経緯があるから、手づくりしたがゆえに高価になったというのを歓迎する消費者はまだ少ない。安易に古茶樹を謳った製品はいくらでもあるが、旬を外した夏の安い茶葉が使われている。何らかの問題があって売れ残った晒青毛茶(原料となる天日干し緑茶)をメーカーが買い叩いて熟茶をつくるから、どこか問題がある。
我々が原料の茶葉を騙されることはもうない。
西双版納に住んで山の農家に行って自分で茶摘みを管理するようになると、その問題はなくなる。だから生茶はよいのがつくれるようになってきた。問題は熟茶。晒青毛茶を渥堆発酵させる工程に1ヶ月以上かかる。それを行う倉庫などの設備、道具、水の管理、そして職人の手、すべてにおいて不満があった。
ぜんぶ一からやり直す。
設備も道具も手づくりでよいから自分で考えてつくる。
茶友たちは、当初はふじもとが熟茶をつくって、安く分けてもらえたら良いな、あんなにリスクの高いことを自分でするのはバカだな・・・くらいに思っていた。
けれど、ふじもとは4年間消極的だった。2012年に人の不注意による大失敗があってから、経済的な体力を失って動けなくなった。いつまでもノロノロしているから茶友たちは痺れを切らした。
温州人は西双版納で『版納古樹熟餅2010年』を20枚買って毎日飲んで、あることを発見した。
ミャンマーの山奥での金鉱採掘の仕事が忙しいので、採掘場の事務所の側に部屋をつくって、アドバイスした道具をぜんぶ揃えて、中国から仕入れた晒青毛葉を数十キロ持ち込んで、渥堆のテストを始めた。
一回目の水掛けから7日目。
すでに白いカビが発生している。甘い香りが漂っているらしい。
「ところで、何日に一度水をかける予定なの?」
「え?毎日霧吹きしているけど・・・そしたら微生物が活発になって温度が上がるし。」
「でも、毎日開けていたら雑菌が入りやすいけどな・・・。」
初めてだからワクワクして毎日見ずにはいられないし、水をかけた微生物の反応をリアルタイムで確かめたいし、ガマンできないのだろう。
こんな具合なので、このお茶は他人に売るどころか、飲ませることもできないだろう。
しかし、この一歩は大きい。
中国では人が信用できなくて良いモノがつくれない。人の不注意によって大きな損失を被ることがある。裏切りによって思わぬ損失を被ることもある。必ずある。
先生は信用ならない。自分で一からやらなければならない。だからこそ良いこともある。
『版納古樹熟餅2010年』。
旅のときは崩して携帯している。
Klean Kanteenの保温ボトルに湯を注ぐだけ。
ちょっとコツがある。湯を注いでから数分蓋を閉めずに熱を逃がす。70度くらいに温度が下がると茶葉の煮え味がなくて、透明感のある清らかなお茶になる。
星のめぐり。
頑張らなくても大丈夫。
お茶の良いのはつくれるものじゃない。できるときにできる。
漁師が魚が捕れるのは潮のめぐり。
まだ雨の季節。
チェンマイがカラッとしてきたら西双版納もそろそろ秋の旬がはじまる。
- 2016.09.18 Sunday
- プーアール茶2016年
- 01:30
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- by ふじもと