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茶教室・京都

版納古樹熟餅2010年 その35.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : ステンレス茶缶
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の白磁の蓋碗大・小
白磁の蓋碗大・小上から
白磁の蓋碗大・小底から
白磁の蓋碗大・小碗

お茶の感想:
手元の蓋碗の大小2種を比べる。
小は90cc大は140cc。
蓋碗の碗だけの重量は小は63g大は79g。その差16gしかない。
蓋碗の大きさに対して”小”のほうはやや厚みがあり”大”のほうはやや薄づくり。
大小にかかわらず同じ厚さでつくられてこうなったという見方が正しいと思う。
手づくりだから個体差はある。
今日もこのお茶。
+【版納古樹熟餅2010年】
版納古樹熟餅2010年
3.6g。
蓋腕小
蓋碗大
ほぼ同量の湯を注ぐことにする。
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年
版納古樹熟餅2010年
淹れてみると、蓋碗大のほうは黒っぽい。
最初の煎から最後の煎(7煎くらい)までずっとこのような色の差がある。
蓋碗大の味は良い。口当たりがまろやかで、味に深みがある。甘味もある。
蓋碗小は口当たりがちょっとピリ辛い。味は軽くて深みがない。甘味も少ない。
香りの立ち方は似ているが、蓋碗大のほうが香りにも深みがある。
湯の温度に差があるのか?
ヤカンの湯は97度
沸き立ての湯。海抜600メートルくらいの西双版納では97度。
蓋碗に注ぐと90度くらいに下がる。
蓋碗大・小湯の温度
蓋碗大・小湯の温度
蓋碗に注ぐ湯の量は大・小ともに70ccくらいにそろえている。誤差はある。
結論から言うと、湯の温度の変化に蓋碗大・小の差はほとんどない。
注ぎたては同じ温度。
2分半ほど待っても、その差は1度ほどしかない。
保温力の差はほとんどないと言える。
北京の愛好家の蓋碗も測ってみた。
これは手元の蓋碗大と比べると少し保温力がある。
といっても、2分半蒸らしてからの温度差は1.5度ほど。
この微妙な温度差がお茶の味の差になっているとは思えない。
北京の愛好家の蓋碗
湯を注いですぐに茶湯の色の差が現れるのだから、茶葉の成分の抽出に、温度以外のなにかが大きく影響しているのだ。
”浸透圧”というのがある。例えば、シチューの具を煮込むときに塩を最後に加えるのは浸透圧を考慮しているから。最初に塩を加えて煮ると、肉は水分が抜けてワシワシになってしまう。塩分濃度の差が浸透圧を発生させるわけだが、こういうふうな目に見えない複雑なことが、茶葉と湯と茶器のあいだに起こっているのだろう。
感覚的に理解したい。
形とか色とか手触りとか、指で弾いたときの音とか、手に取ったときのぬくもりとか、重さとか。
パッと直感でわかるようになりたい。
沈香黄片老茶磚80年代
沈香黄片老茶磚80年代
今日はこのお茶の整理。
『沈香黄片老茶磚80年代』
いい顔している。
そういえば、茶葉は感覚的にわかることがある。
茶器も経験を積めばわかるようになるだろう。

版納古樹熟餅2010年 その34.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : ステンレス茶缶
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の白磁の蓋碗2種
白磁の蓋碗2種横
白磁の蓋碗2種上

お茶の感想:
白磁の蓋碗2種のつづき。
ひっくり返して底を見ると形の違いがはっきりする。
北京の愛好家の蓋碗(左)はまるい。手元の蓋碗(右)は角ばっている。
水の流れ、水の振動、湯の熱の響き方が違ってくる。
今日はこのお茶。
+【版納古樹熟餅2010年】
版納古樹熟餅2010年計量
3.6g。
餅茶は崩し方を同じようにしないと味の出方が違ってくる。
熟茶のような発酵のすすんだ茶葉は一般的に熱い湯でじっくり抽出するのがよいと思われているが、そうでもない。
このお茶のように旬のタイミングで采茶されていたら、小さな新芽や柔らかい若葉が多く、それなりに熱に敏感である。
香りを立てるため、一煎めから味を充実させるため、必ず湧きたての熱い湯をつかうが、煮出して濁った味にならないように、注ぎや蒸らしを注意したほうがよい。
白磁の蓋碗2種1煎め
白磁の蓋碗2種1煎め茶杯
1煎め。
湯を注いで、ちょっと蒸らして、蓋碗の蓋をちょっとずらしたときに香りが立つ。
この香りにすでに違いがある。
手元の蓋碗は苺のような透明感のある爽やかさがあり、北京の蓋碗は糠のようないわゆる発酵香が混ざって香りが鈍る。
茶湯の色はこの時点で北京の蓋碗のほうが赤味が強く、熱のとおった色をしている。
ところが、これから後の煎ではずっと手元の蓋碗のほうがやや黒っぽい色になる。
白磁の蓋碗2種3煎め
白磁の蓋碗2種3煎め茶海
白磁の蓋碗2種3煎め茶杯
3煎め。
白磁の蓋碗2種5煎め
白磁の蓋碗2種5煎め茶杯
5煎め。
香りの印象がそのままお茶の味の印象をつくる。
前回の『章朗古樹紅餅2016年・青印』のときとほぼ同じような違いが現れる。
+【章朗古樹紅餅2016年・青印 その4.】
手元の蓋碗は清らかで軽く上にぬける。
サラッとしたドライな感じ。
口に溶けて自然に喉を滑り落ちる。
北京の蓋碗はやや濁りがあり重く沈む。
とろみのあるウェットな感じ。
口に残り喉に押し込むような抵抗がある。
葉底
葉底は同じ。
飲み比べると明らかに手元の蓋碗のほうが美味しい。
これは好みの問題ではないと思う。
どうしても北京の蓋碗を使うのなら、蒸らし時間を短めにするために、ちょっとだけ茶葉を多めにするとよいかもしれない。
注ぎ切ってから底にある茶葉が煮えないように、茶針でちょっと起こして蒸気を逃してもよいだろう。
そのくらい気を使って手間を掛けてでも、苺のような香りの出るときの美味しさには価値がある。
版納古樹熟餅2010年煮出して飲む
蓋碗では抽出しきれない茶葉や茎の内側の成分を銅の器で煮出す。
弱火で5分ほど。
甘くてとろみのある茶湯。
はじめの3煎めくらいまではこの甘味やとろみを出さないように意識したほうがよい。
メコン川からラオスのお寺
ラオスのお寺
ラオスのお寺の壁の絵
チェンコーンから河を渡ってすぐのラオスのファイサーイにあるお寺の鐘。
大型トラックのホイールと、ベトナム戦争のときの弾頭と。
いい音する。
お寺の鐘に弾頭
お寺の鐘にホイール
力強い造形。アートだ。

漫撒三家青餅2014年・秋天 その4.

製造 : 2014年10月28日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山三家寨古茶樹
茶廠 : 易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 陶器の茶缶
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の白磁の蓋碗2種
漫撒三家青餅2014年・秋天
漫撒三家青餅2014年・秋天包み紙

お茶の感想:
昨日ののつづき。
蓋碗2種を試す。
今日はこのお茶。
『漫撒三家青餅2014年・秋天』
漫撒三家青餅2014年・秋天5g
5g
北京の愛好家の蓋碗は熱を溜める。
それがじわじわ茶葉を煮やす。
この特徴を活かせないだろうかと考えた。
2014年の秋のお茶は、今から振り返って言えることだけれど、この数年でいちばんコンディションが悪かった。
見てのとおり大きく成長しすぎている。
これでも柔らかい一芽二葉か一芽三葉だから、雨の季節が終わっていないタイミングで采茶していることになる。
早春の新芽・若葉の多い茶葉は熱に敏感で、熱い湯で火傷させないよう気をつけなければならないが、秋の大柄の茶葉は熱い湯で葉や茎の内側の成分をしっかり抽出したほうが美味しい。
漫撒三家青餅2014年蓋碗2種1煎め
1煎め。
ほとんど差がない。
この時点で、このテストはあまり面白いことにはならないと予測した。蓋碗では役不足なのだ。
それでも少しの差があったので記録しておく。
手元の蓋碗(右の蓋碗)は、一煎めの味に微かな湿気味が感じられた。茶葉にまだ熱がしっかり通っていないときに出る味。口に含んだ茶の香りと味とが分離したようでまとまらない。その点、北京の愛好家の蓋碗は一煎めから比較的まとまっていた。ほんとうに微かな差である。
4煎めの蓋碗
4煎めの茶海
4煎めの茶杯
4煎め。
差なし。
ほんとうに差がないからびっくりする。
あえて言うなら、北京の愛好家の蓋碗のほうがちょっと甘い気がする。
葉底
葉底(煎じた後の茶葉)
茶葉の色も同じ。
蓋碗では味が出し切れない。
もったいないから紫砂の茶壺にバトンタッチ。
茶壺
茶湯の色は薄いがしっかり味が出た。まとまったまるい味。
以上。

ひごりごと:
業者仲間と天気の話が多くなってきた。
昨日も今日も雲が空を支配して、ときどき大粒の雨を降らしている。
西双版納の秋の旬は、雨の季節が終わるのが早いか、茶樹が冬眠するのが早いか、そのギリギリを狙いたいところだが、場合によっては雨の季節が終わらないうちに茶樹が寝てしまうこともある。
雨の季節が長引くほうが茶葉の育ちがよいので農家は収穫量が多くて儲かる。
農家に嫌われる茶商にならないと。

章朗古樹紅餅2016年・青印 その4.

製造 : 2016年4月6日采茶
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山章朗寨古茶樹
茶廠 : 農家+店長ふじもと
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 景徳鎮の白磁の蓋碗2種
白磁の蓋碗裏

お茶の感想:
湯の熱の伝わりには響き方の違いがある。
お茶の味や香りに響く。
茶器の形や質によってその違いが生まれる。
”音”の高音・低音に似ているかもしれない。ボリュームの大・小のように数値化しやすいものではなくて、色や形のように感覚的に捉えるもの。
スピーカーをつくる技術者は、音の響きの美しさを考えている。
茶器をつくる技術者はどうだろ。
現在はそれについてあまり多くを語られなていないような気がする。
素材の土の性質と水や茶との相性とか保温性とか、物理的にわかりやすそうな話はあるが、いまひとつ感性に訴える話は聞こえてこない。
語られないから知らないとは言えない。
結果よりも過程。言葉よりも身体。東洋的な理解の仕方がある。
より多くの人にいち早く伝達したいがために言葉に頼りすぎると、脳ミソ先行になって身体が伴わない。お茶についての西洋的理解のアプローチがいまひとつ芯を捉えないのは、そこに理由があると思う。
白磁の蓋碗
白磁の蓋碗に茶葉
北京の愛好家が景徳鎮にオーダーした蓋碗を持ってきた。
商品化するらしい。1000元というから蓋碗にしてはちょっと高級。
背の低い形状がパッと見た目にもわかる。
晒青毛茶(プーアール茶の原料の天日干し緑茶)を現地では試飲することが多いが、その大きな形状の茶葉を観察しやすいというのが一番めの理由。
湯を注いで茶葉が開いて大きくなっても窮屈ではない。そのほうが美味しくなるというのが二番めの理由。
口の大きく開いた形状のほうが香りが出やすい(広がりやすい)というのが三番めの理由。
しかし、それらはお茶の味の印象を決定づける要因としては弱いと思う。
それよりも、質量と形状がもたらす熱の響き方がお茶の味に影響する。
そこで、手元の蓋碗と比べてみることにした。
蓋碗2種上から
蓋碗2種ヨコから
若干色は違うが、どちらも景徳鎮の白磁。
北京の愛好家の蓋碗
手元の蓋碗
水を適量張ると、手元の蓋碗のほうが5ccから6ccほど多めに入るので、そこは注ぐときに調整したらよいだろう。
このお茶で比べる。
+【章朗古樹紅餅2016年・青印】
選んだ理由は、香りが出やすいことと、やや熱に敏感に反応すること。そして耐泡(煎がつづく)の古茶樹の茶葉であること。6煎めくらいの、茶湯の色も味も薄くなってくる頃になにか見つかるかもしれない。
章朗古樹紅餅2016年・青印3.6g
3.6g。
蓋碗2種一煎め
蓋碗2種一煎め注ぎ
1煎め。
この時点ですでにその差が現れた。
手元の蓋碗のお茶の味は軽い。香りが上のほうに抜ける。口の中に上昇気流が起こっている感じ。
北京の蓋碗のお茶は重い。香りは上に抜けずに淀む。横に広がる感じではあるが、それにしても”抜け”が悪い。
蓋碗2種3煎め
蓋碗2種3煎め
3煎め。
味のボリュームという点では互角。
しかし印象は異なる。
やはり北京の蓋碗のは重くて、手元の蓋碗は軽い。
重いのが好印象であれば味の重厚感と言って褒められるが、そうではない。
湯の質感に粘りがありキレが悪い。喉越しのスムーズさにも欠ける。このお茶の個性である涼しさを損なっている。
蓋碗2種5煎め
蓋碗2種5煎め注ぎ
5煎め。
煎を重ねて風味が薄くなってくると、大きく育った茶葉や茎の部分の旨味・甘味が出てくる。茶葉が煮えているのだ。熱々の湯を注いでいて5煎めにもなると、どちらにしても煮えた味になるが、煮え味の出方にも違いがある。北京の蓋碗にはカンロ飴みたいな野暮ったさがある。手元の蓋碗にはそれがなくて、スキッとした涼しさを保っている。
蓋碗2種と7煎めの葉底
葉底上から
葉底ヨコから
7煎めの葉底。
葉底の色の違いに注目。
結果からもわかるように、北京の蓋碗は熱がしっかり通って茶葉の酸化がすすんでいる。
そうなったほうが美味しいお茶もあるが、新芽・若葉の多いこのお茶の場合は手元の蓋碗のほうが圧倒的に美味しい。
白磁というガラス質を多く含む素材という点で、両者の化学的反応の差は少ないはず。
そうすると、厚みや形状による熱伝導の違いがお茶の味の差を生むと考えられる。
北京の愛好家の蓋碗
北京の愛好家の蓋碗蓋を開けたところ
手元の蓋碗
手元の蓋碗蓋を開けたところ
蓋をはずした碗だけの重量をみても124gと79g。
この45gの差が湯の熱の響き方の差になっている。
口径の大きくて背の低い形状の北京の蓋碗のほうが熱が逃げやすいので、保温性の面では劣るはずだが、45g分の厚みが溜め込んだ熱がじわじわ茶葉を煮やすらしい。底にゆくほど厚みがあるようにつくられているが、茶を注いだ後の茶葉はその厚いところに残って煮やされる。
蓋碗の中で茶葉が自由に広がりやすいというが、それがために底にベタッとへばりつく。手元の蓋碗は茶葉が窮屈に見えるが、広がりきらないで曲がったまま底との隙間をつくる。そこに熱の逃げ場ができる。
水の注ぎはどうだろう。
ヤカンから蓋碗に湯を注いだときの水の振動。水の音。
北京のは背が低いので、落ちる水が水面を叩いてやや高い音が響く。
手元の蓋碗は背が高いので、水がちょっと溜まってくると深く潜って低い音が響く。
うまく説明できないが、手元の蓋碗の低い水音の響きは、お茶が美味しくなるサイン。
蓋碗の中での湯の流れと茶葉の動きにも違いが生じているが、これについてもまだ説明できるほど理解できていない。
ただ、このお茶の味の結果は蓋碗を手に持ったときからある程度予測できた。
蓋と碗で185gある北京の愛好家のと126gの手元のと。約60gの差だけではない。手に持ち辛いほど口径が大きいために余計に重く感じて、湯を注ぐ手の動きも鈍くなる。重鈍な感じがそのままお茶の味に反映している。
低く横に広がった形状と高く背を伸ばした形状と、その形の感じがそのままお茶の味に反映している。
指で弾くとコン!と鳴るのとチン!と鳴るのと、その音の感じがそのままお茶の味に反映している。
直感は捉えている。
いつかどこかで経験した記憶が無意識のところで瞬間に繋がって、新しいものを理解する。
ラオカオ1
ラオカオ2
ラオカオ3
ラオカオ4
チェンコーンからラオスに一日だけ足を伸ばした。
ラオスの焼酎”ラオカオ”は米とバナナ(たぶんバナナではなくて芭蕉だと思う。芭蕉の実ではなくて茎のような気がする。)で醸す。
昼間から赤ら顔の太っちょの親父が嬉しそうにつくる酒。
「これはいい酒だぞ」と直感は言ったが、以前に別の家のラオカオで頭が痛くなったことがあって、ちょっと警戒して少しだけ買った。
持ち帰って飲むほどに美味しくて、ちっとも悪酔いしない。芭蕉の効果なのか涼しくて、身体が熱く火照らない。もっと買っておけばよかったと後悔した。
直感に素直になろう。

版納古樹熟餅2010年 その33.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 軽い密封 紙包
茶水 : タイ・飲料水
茶器 : Klean Kanteenの保温ボトル
雲と鳥
雲と旗
チェンコーンへバスの窓の水滴
バスの窓から入道雲

お茶の感想:
バンコクからチェンマイの飛行機は早朝で、朝の太陽に反射する水がキラキラ光る。蛇行する河と網の目に広がる水路と、広大な水田と。陸の上の住宅地やその周りの空き地にもキラキラ反射する水面がある。小さな水溜りや水瓶があるのだろう。そういえばタイの人はよく水鉢に蓮などを生けている。
水鉢
タイ水浸し。
飛行機の窓から見えたタイの大地のほとんどが水に浸っていたこの印象がずっと頭のなかをグルグル巡っていた。
雨季の続く9月後半。雨も毎日のように降る。空気中の水も多くてムッとしている。気温は高くて暑苦しくて汗がにじんで乾かない。
逃げ場のない水。
水に身を浸しているような圧力。
2日間もいると骨にまで水が染みて芯から冷えてくる。
宿の部屋ではエアコンで空気を乾燥させるが、それでも関節が重い。寝汗をかいて深夜に起きる。
熱いシャワーで汗を流すとちょっと落ち着く。
身体の芯が冷えていることに気付いて、靴下を履いて寝るようにしたら寝汗はましになった。
タイの人たちは氷の入った冷たい飲みものをガブガブ飲んでいるけれど、身体に水を貯めすぎて、しかも芯から冷やすことになる。唇の色にその兆候の現れている人が多い。
熱いお茶を飲むとたちまち汗が吹き出る。この汗は出したほうがよい。
身体を芯から温めるお茶がよい。
熟茶
生茶、紅茶、熟茶のどれが温まるかというと熟茶なのだけれど、そういう問題ではなくて、ひとくちかふたくちで背中のあたりに汗が出るようなお茶。
ちょっと濃いめに淹れた熱々の一杯。
早朝の月
メコン川の空
メコン川
メコン川と小舟
チェンマイからバスに乗って6時間かけてチェンコーンに行って、パパイヤビレッジのハーブサウナを2回した。ヒリヒリするくらいのハーブの刺激が皮膚に染みて、おもいっきり汗をかいてスッキリした。
タイに住むなら家で毎日サウナできるようにしたい。
花
keep quiet
チェンコーンのタミラ
夜と月

巴達山賀松熟茶07年 その4.

製造 : 2007年12月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山賀松寨生態茶樹
茶廠 : 孟海県恒益茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶357gサイズ
保存 : 西双版納孟海県ー景洪市
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 宜興紫砂の茶壺
巴達山賀松熟茶07年
巴達山賀松熟茶07年
巴達山賀松熟茶07年

お茶の感想:
西双版納に戻ってすぐに茶葉の在庫整理。
同時に熟成の具合を確かめる。
いつもの仕事。けっこう手間がかかる。
箱から出したり詰め替えたり。竹皮包みを外して餅茶1枚ごとに密封したり。傷んだ包み紙を取り替えたり。在庫の数を数えなおしたり。湯を沸かして試飲したり。
過去にアルバイトを雇ったこともあるが、西双版納の人の仕事はむちゃくちゃでかえって問題が増えるので、ひとりでぼちぼち作業することになった。
地味な作業が毎日続く。
『巴達山賀松熟茶07年』。
農家がメーカーに依頼してつくったお茶だから竹皮包みの質が悪くて(雨の季節に採取した竹皮であるうえに、洗って干してという工程をちゃんとしていない。)、そのため竹をかじる虫がついて、ついでに包み紙までかじられている。農家の倉庫に2014年まで置いていたから、そのときに付いた虫がまだ生き延びているのだ。
山岳民族の農家はいろんな生きものと共生している。
虫食いの包み紙
茶虫
てんとう虫のような形の2mmくらいの虫。茶葉は食べないけれど餅面に穴を開けて卵を産むので、イモ虫のような幼虫が茶葉の隙間に隠れている。1枚につき1匹いるかいないか。
生まれて死ぬまで竹しか喰わない虫だから汚いことはない。
泡茶
葉底
お茶の味はすばらしい。
熟成の具合もよい。
餅茶一枚ごとに紙包みを開けて、ブラシでこすって竹の粉を落として、また紙を包みなおして、陰干しして、一枚ごと密封して、荷造りして、上海に転送する。
竹皮を開けるごとに表面についているトゲトゲした繊維の粉が飛び散る。肌に触ると痛い。後から痒い。一日の終りに床を拭き掃除して、作業服を洗濯して、身体から落とすために何度もシャワーして・・・。
産地から消費地にゆくまでに、茶葉はキレイになる。
他のお茶の在庫整理もあわせたら月日があっという間に過ぎてゆく。
「もったいない」からできる仕事。
茶葉には命がある。
茶摘みはその命を奪ってゆく。
その過程を見ているから、もったいないと思う気持ちがある。
製茶がうまく仕上がらなければもったいない。
輸送中に傷めたらもったいない。
保存中に質を落としたらもったいない。
お客様によろこんでもらえなければもったいない。
美味しく飲まれなければもったいない。
もったいないだらけで、心配ごとがうじゃうじゃあって、細かな仕事が増えてゆく。
まだ夏の雲
まだ夏の雲。秋の旬はもうちょっと先。

1

茶想

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