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茶教室・京都

刮風寨単樹小餅2016年 その1.

製造 : 2016年4月20日頃(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶坪
茶廠 : 農家
工程 : 生茶
形状 : 餅茶100gサイズ
保存 : 西双版納 密封
茶水 : チェコの水道水・ブリタ濾過
茶器 : グラスポット
刮風寨単樹小餅2016年

お茶の感想:
現代プーアール茶は、自然を敬う=人を嫌う。
こんな価値観がある。
自然破壊が地球規模ですすんでいる時代背景があると思う。
国有林の森は畑など人の営みを禁じられている。茶樹の植林もダメ。採取のみ可能。
製茶では名人が存在しない。人の技術ごときで価値の変わらないものを求めている。
かなり潔癖症。
実際にお茶の味にそれが現れるから面白い。
刮風寨茶坪の茶王樹
刮風寨茶坪の茶王樹
刮風寨茶坪の茶王樹
刮風寨茶坪の茶王樹
チェコで交流した茶商のひとりが、この状態を否定的に見ていた。
過去に、台湾から輸入した有機栽培の茶葉を農薬検査にかけたら、とんでもない数値が出てきてトラブルになったらしい。お金は戻らない。付き合いの長い取引相手だったからショックだったらしい。
ヨーロッパの人からしたら不正を取り締まることができなければ意味がない。管理できていないものを認めたくない。
しかし、この考え方には違和感がある。
人が管理できる自然に、ホンモノの手つかずの自然があるのか?
人の技術の良し悪しを自分のチカラで評価できないで他人に評価させて、ほんとうに良い技術かどうかわかるのか?
人の思うようにならない自然のほうがリアル。
すばらしい技術は言葉で理解できないほうがリアル。
騙されるのは、ホンモノを知らないから。
ホンモノを知らなければ、ホンモノが手元にあっても気付かないだろう。
刮風寨単樹小餅2016年
『刮風寨単樹小餅2016年』。
そんなことを思いながらチェコの勉強会でこのお茶を試飲してもらった。
2016年の春で一番の上質。
茶友から譲ってもらって100gしか手に入らなかったので、100gのミニ餅茶にした。もしも180gサイズの小餅茶にしたら1枚10万円以上にするが、売るつもりもないので価格に意味はない。
チェコのお茶ファンたちは、飲んでみて、たしかに美味しいけれど、どこをどう見て上質なのか?よく解らない様子だった。
経験がないから仕方がない。
チェコの勉強会
上海でもこのクラスの茶葉になると経験者は少ない。
日本でこのお茶だけを半日かけてじっくり味わう会をしたいが、1種のお茶では誰も来ない。「6種のお茶が飲めます!」みたいなお得感がないと日本では集客できない。
結局、自分で飲む。
刮風寨茶坪の茶王樹
刮風寨茶坪の茶王樹
刮風寨茶坪の茶王樹
刮風寨茶坪のこの単樹のお茶。
刮風寨は景洪の町から車で6時間。茶坪は刮風寨からオフロード車で45分。そこから国有林の森を歩いて2時間半で、この茶樹に会える。
瑶族の木登り名人の2人が1日かかって摘んで、製茶後の晒干茶は3キロ弱ほど。これが年に1度の収穫。
ーーーーーーーー
宝物は流れる水の力によって姿を現わし、また同じ流れによって姿を隠すのだよ。
パウロ・コエーリョの小説『アルケミスト』(錬金術師)より。
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中茶牌3917沱茶93年 その12.

製造 : 1993年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶(西双版納孟海地区)
茶廠 : 昆明茶廠
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 沱茶
保存 : 西双版納 紙包+竹皮密封
茶水 : チェコの水道水・浄水器
茶器 : チェコ土の宝瓶
マルちゃんとお茶
マルちゃんとお茶

お茶の感想:
マルちゃんのお気に入り。
クリコフの工房で、移動の汽車で、プラハの民泊で。
どこでもこのお茶。
【中茶牌3917沱茶93年 その11.】
濃く淹れると、強いのにまろやか。
お茶の苦い刺激にやや中毒症状の人にはたまらない。ドブリー!
製茶の下手な焦げ味も、23年間熟成した今となってはスパイスとなる。
みんなにも美味しいとは限らない。
現に、マルちゃんのお茶仲間の多くは、このお茶をそれほど良いと思っていないらしい。
老茶のコレクターの立場からしたら、そのほうが好都合なこともある。
みんなが認めてからでは遅い。価格が爆上げするから。
マルちゃんとお茶
プラハでプーアール茶勉強会
プラハの勉強会で2つのお茶を飲み比べた。
答えを言わずにブラインド試飲。
『章朗古樹紅餅2016年』と『巴達生態紅餅2016年』。
同じ巴達山の同じ春の「古茶樹」と「小茶樹」の紅茶。
価格は3倍以上の差がある。
「どっちが美味しい?」
と聞いたら、ほぼみんなが小茶樹の紅茶を選んだ。
実は、自分もこの日は小茶樹の紅茶のほうが美味しいと感じた。チェコの冬、チェコの空気、チェコの水、チェコの食べ物を1ヶ月間食べている身体。価格は安くても美味しい。こんなことはよくある。
飲み比べで2種のお茶を飲むと、体感がどちらのお茶由来のものかわからないので、味や香りのアピールの弱い古茶樹のお茶は不利である。
チェコのプーアール茶勉強会
参加者にはお茶のお店を営む人もいた。
業者は他人の好むお茶を選ぶのが仕事。
メーカーは業者の求めるお茶をつくるのが仕事。
みんなにわからないけれどクオリティーの高いお茶が、勝手につくられるなんてことはない。
『中茶牌3917沱茶93年』の強い個性は、誰かのリクエストでつくられたものではない。
国営メーカーの時代でもあったから、マーケティングの余地はなかった。
マルちゃんの茶壺
マルちゃんは作為を嫌う。
クリコフの工房に残された”選ばれなかった”品々を見ると、なんとなくわかる。
チェコには現在15人ほどの陶芸作家がいて、そのうち中国茶の茶器をつくるのは5人か6人。プラハのお茶の店の棚に、チェコの作家さんたちの作品が並んでいるが、その中にあるマルちゃんの作品は異様。歪んだカタチに鈍い色。
同時に、他の作品に「オレオレ」的な主張が見える。カタチが整っていたり、色が美しかったり。
多数決で投票されたら、きっとオレオレが勝つ。
「よい器ですね」と他人から褒められることを、みんなは大事にするから。
マルちゃんの茶杯
マルちゃんの茶則
モノをつくる側の人が「オレオレ」の意識を取り除くのには修行が要る。
売れにくいモノをつくる経済的な苦労。ひとりぼっちの寂しさ。
そういえば、チェコのクリコフの工房に着いた初日に、マルちゃんからこんな質問を受けた。
「美味しさに影響はないみたいだし、不良品というわけではないと思うけれど、この前買った『中茶牌3917沱茶93年』の表面にカビのような白い粉がちょっとだけあるのだけれど、これ大丈夫?」
すぐには聞きづらくて、タイミングを待っていたのだろう。
プーアール茶の白露
「あ、それ、良い方の麹カビのつくった酵素成分だから大丈夫。昔の香港倉庫の老茶にはよくあったよ。」
そう答えたらマルちゃんは安心して嬉しそうだった。
やはり不安になる。
たとえ、自分の味覚と体感を信じていても、他人の評価が低いと自分を疑うようになる。
高台が三角の白い茶碗
マルちゃんの工房にずっと売れ残っていた白いお椀。
高台の三角がカッコよくて気に入ったのだった。
その他の魅力はあまりない。むしろ平凡な感じがする。

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茶想

試飲の記録です。
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