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茶教室・京都

雅安の藏茶1970年代 その1.

製造 : 1970年代
茶葉 : 四川省雅安市
茶廠 : 四川省雅安市茶廠
工程 : 藏茶
形状 : 圧延貨幣型
保存 : 崑山市倉庫
茶水 : 京都地下水
茶器 : 鉄瓶・チェコ土の茶杯
藏茶1970年代

お茶の感想:
四川省雅安市の藏茶。
推定1970年代のもの。先日の上海の勉強会のときに借りた天山茶城のお店に売っていた。
いまどき藏茶の老茶も珍しいので経緯を聞くと、台湾人のお茶マニアが上海近郊都市の崑山市に大きな倉庫を構えて大量の茶葉を保有していて、そこから出てきたらしい。たぶん老茶を小出しに売りはじめたのだろう。
崑山市は上海と蘇州の間に位置する。台湾系の大手企業が集まり工業団地をつくって、この20年くらいで急速に発展した。現在は地価が高騰しているが、昔なら倉庫にできる土地ならいくらでもあったはずだ。倉庫の土地と茶葉に投資してダブルで価格高騰するのを待つ。例えば20年待ったとして30倍に達しただろうか。今世紀中にはもう二度とないチャンスだったと思うが、珍しいことではない。長い歴史をみると物価や茶葉の価格変動を見込んで大量の茶葉を貯蔵してひと儲けした例はいくらでもある。
貨幣のカタチ
貨幣のカタチ
実際、このお茶は古代の貨幣のカタチをしている。
ある地域では茶葉がそのまま通貨として流通していたこともある。長い目で見たら、いつの時代も現金よりも茶葉を貯蓄しておいたほうが安定している。
この固まり390g。竹で編んだ直方体の籠に30キロ分で詰められ牛か羊の皮で包まれる。(上の写真)
藏茶は四川の雅安市から西へ運ばれる。高原に住む遊牧民族やチベット仏教の坊さんのお茶。出荷する前に微生物発酵を促す工程があるので黒茶に分類される。
遊牧民のバター茶はまさにこの茶葉でつくる。”煎じるお茶”の勉強会のテーマにピッタリ。
煎じ方はカンタン。ヤカンに湯を沸かして茶葉を投入するだけ。
茶殻
ヤカンに茶葉
ここで注目するのは、煮出し時間によって味も体感も変わってゆくということ。
何分煮出すのがよいのだろう?
煮出し2分
煮出し2分め。
20分以内で十分とは思うが、それを飲んで確かめるのが今回の勉強会。
ちょうどよい煮出し時間は、茶葉の性質によっても、飲む人の体質によっても、その日のコンディションによっても異なる。自分で飲んで自分の身体に聞くのがよい。
煮出し20分
煮出し20分茶湯
煮出し20分め。
茶葉に熱が通るほどに成分の変化がすすむ。鉄瓶なので鉄分との化合によるなにかもあるだろう。
煮出し2分と20分を飲み比べて体感の違いに気付く。20分のほうが身体へのアタリが柔らかくて涼しい。
茎も混ざる繊維の硬い老葉を微生物発酵させたお茶にはピリピリ感があるが、煮出し時間を長くするとそれも和らぐ。
ここで疑問なのが、なぜあらかじめもっと火入れをしておかないのか?ということ。
メーカーから出荷する前に焙煎しておけば、20分も煮出す必要はないだろう。
このお茶もまたお茶を淹れるときの火入れの余地を残した生な仕上げになっている。
生のまま長期熟成させることになにか意味がある。後発酵の微生物がつくった酵素を死活化させないためだろうか。
葉底
葉底の色からしたら1970年代っぽくない。プーアール茶だったらこの緑が残っていたらおかしいけれど、たしか藏茶づくりの乳酸発酵を経た茶葉は、長年熟成しても緑色が残りやすい。

巴達古樹紅餅2010年 その22.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶+火入れ
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・鉄瓶
チェコ土の茶壺
チェコ土
鉄瓶

お茶の感想:
台風が近付いているせいで湿った暖かい風が吹いている。
空気中の水が皮膚を圧迫してうまく汗が出ない。
こんな日は発酵度の高いお茶で身体の芯を温める。
いっきに汗がでるので着替えを用意してシャワーする。
毒抜き完了。
この目的では茶気の充実している早春の新芽・若葉のお茶がよい。アルコール度数の高い酒と似ていて、茶気の強いお茶は茶の成分を短時間で身体に巡らせるチカラがある。
茶葉
このお茶。
【巴達古樹紅餅2010年紅茶】
”生”と”火入れ”の体感の違いを探る。
味や香りはすぐにわかるけれど、体感を確かめるのには時間がかかる。何度も飲んで身体が気付くのを待つしかない。その日の天候や体調も影響するから、夏から冬にかけて時々飲んで様子を見る。
昔の人が紅茶の製法を完成させた過程で、どのような薬効を求めていたのかを想像してみる。
白茶・黄茶・緑茶・青茶・黒茶にはない、紅茶ならではの薬効。
”生”と”火入れ”についても、どちらが紅茶の目的に合っているのかが考慮されただろう。
今日は鉄瓶の熱い湯でじっくり抽出してみた。
火入れ
まず火入れバージョン。
一煎めから透明感のある味わい。
ひとことで言うとまとまっている。
濃い目にするとやや酸っぱい。生よりも酸味が立つ。この酸味は長期保存した烏龍茶にもよくある。味はバランスで、バランスが良いと酸っぱさに気付かされないけれど、意識してみたらあんがいあるものなのだ。
味が澄んでいると喉からお腹への通りもよい。すっと入って収まる。
血が巡って上気して汗が出てくるが、茶酔いは軽い。新芽・若葉の強い茶気で頭がゆらっとくるが、シャキッと覚醒するほうが勝っている。朝の一杯にピッタリな感じ。
生バージョン
つぎに生のバージョン。
香りは生がよい。熱湯を注ぐと春の花の香りがぱっと蘇る。香りの中に涼しいメントールを感じる。
やや味が濁っている。渋味もある。良く言えばボリュームを感じるが、味が濁っていると喉から腹への収まりがスムーズではなくなり胸につかえる感じがする。濃い目に淹れると生の辛味のピリピリが喉を刺激して一瞬イガっとくるが、消散するのが早いので悪くはない。この刺激は後からメントールの涼しさとなる。
荒れた感じがするのは1煎めだけで、2煎・3煎とすすめると落ち着く。渋味は穏やかになる。味は透明感を増して収まりもよくなる。
茶酔いはやや強い。グルグルくる。生の酔いは揺れが大きい。身体にやや重く感じる。そして眠くなる。朝向けじゃないかも。
飲んだ順番もあるかと思うので、明日は逆の順番で飲んでみる。
汗をかく
生のほうは煎ごとの変化が大きくて、火入れのほうは小さい。
では、大きめの茶壺で一煎出し切りにしたらどうだろ。
これも次回に試そうと思う。
生バージョン

上海のお茶ファンに向けてのイベントをもっとやろうと思う。
お茶をよく飲むし、お金も使っているし、厳しい目をもっている人たち(悪く言えばスレている)に叩かれたほうが自分にも良い。
日本人は面と向かって批判的なことを言うのに慣れていないが、上海人は慣れている。
自分の意見を言い出して止まらない人に「今日はわたしが老師を担当します!」と制することが何度もあるが、面白い意見が出て思わぬ方向に転がってゆくこともある。年配の参加者からは昔の古き良き時代の経験談が聞き出せることもある。
前回は日本語と中国語と分けて行ったが、中国語の聞き取りができる日本人は中国語のほうの勉強会に参加する手もある。
そういうのも企画してみようかな。

巴達古樹紅餅2010年 その21.

製造 : 2010年04月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟海県巴達山曼邁寨古茶樹
茶廠 : 農家+孟海の茶廠
工程 : 紅茶+火入れ
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・銅のヤカン・白磁の茶杯
銅のヤカン
白磁の茶杯

お茶の感想:
上海での勉強会がよかった。
”体感を探る”がテーマ。
これだと茶葉の良し悪しよりも、自分の身体に合うかどうかで評価できる。
茶葉の良し悪しの評価は難しくて、参加者は間違うと恥ずかしいから遠慮しがちになる。
勉強会の茶葉は、良いものだけでなくやや問題があるのも出した。(もちろん健康を害する問題ではない。)
身体に合うかどうかを先に見て、その後から茶葉の品質についての答え合わせをする。
参加者は7月31日の中国語と8月1日の日本語と合わせて13人ほど。
参加者の中にはある種のお茶に身体が合わない人がいて敏感に反応してくれた。
新しく見つかった2つの問題。
早春に采茶したことによる成分に弱い人。
”生”な製茶の仕上げによる成分に弱い人。
どちらにも弱い人、どちらかに弱い人があった。
”生”な仕上げに弱い人は、たとえ冬片老葉のような季節外れの大葉でも酔い心地に気持ちよさがないということがわかった。
さらに1950年モノという長期熟成を経てもまだ”生”を感じるということだった。
こうなるともう生茶のプーアール茶は全部身体に合わないから、焙煎の効いた烏龍茶を飲んだほうがよい。
『巴達古樹紅餅2010年紅茶』。
この火入れバージョン。
火入れバージョン
上海に置きっぱなしにしていたのを持ち帰ってきた。
銅のヤカン。清代末期の景徳鎮の杯。そして火入れバージョンのこのお茶。
『巴達古樹紅餅2010年紅茶 その17.』(火入れの様子)
火入れバージョン
上の記事を読んでみると火入れバージョンの評価は低かった。
喉から胸にかけて”燥”な感じで、潤いがなかった。
乾燥機の熱がそのまま茶葉に記憶されたような感じ。
1年半ほど経った今は落ちついて、潤いを取り戻している。
火入れしない”生”のほうは涼しい口当たりが特徴。
火入れバージョンには、この口当たりの涼しさはないが、飲んだ後の余韻の涼しさはむしろ火入れのほうがよいかもしれない。
”生”なほうには、舌にピリピリした刺激がある。
おそらく苦手な人はこれがダメなのだろう。現地では”鮮味”と呼んでいる。
一長一短なので、どちらが良いか判断できないが、いろいろヒントをもらったのでこれから時間をかけて検証する。
火入れバージョン

鉄と銅。
鉄と銅
熱の伝わり方がぜんぜん違う。
銅のヤカンは表面がキンキンに熱くて、ちょっとでも手が触れたら痛いくらい熱い。
鉄瓶は表面が細かくボコボコザラザラと凹凸しているので、指が触れてもそれほど熱くない。
銅のヤカン
銅の肌と鉄の肌との違いは、お湯に伝わる熱の違いにもなるはず。

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茶想

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