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茶教室・京都

易武古樹青餅2010年 その35.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 西双版納 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 鉄瓶+チェコ土の茶壺+炭火
茶葉を焙煎

お茶の感想:
このお茶を焙煎すると烏龍茶っぽくなる。
【易武古樹青餅2010年】
11月の上海の勉強会では、その場で焙煎して味と体感を確かめた。
焙煎といっても3時間半くらい。小さな炭炉の炭が燃え尽きるまでの3時間半。長時間を何度も繰り返す本格ではないが、それでも十分に茶葉の性質が変わるのを実感できる。
ほんの3煎分ほどの少ない茶葉で行うので、小売店用に販売されている竹籠と電熱を組み合わせた焙煎機では大きすぎる。
数日試行錯誤してこの方法を見つけた。
易武古樹青餅2010年12g
茶葉を紙で包む
炭炉と炭火
陶器の壺で焙煎する
焙煎の壺に蓋をする
紙に包んだ茶葉を壺の口に差し込んで底に付かないよう浮かせるのがコツ。
はじめの40分ほどは蓋を開けて水分を逃がす。茶葉の中にある水分と壺の中の空気中の水分とが冷たいところを求めて逃げるが、蓋をしたままだと茶葉の中に戻るかもしれない。さらにその水分に熱が加わると茶葉に望ましくない変化をもたらす。水気があるのとないのとでは変化が異なる。
焙煎の前に、水抜きするのが重要。
別の壺で焙煎テスト
蓋に水滴
水抜きに時間をかけるしかない。
量産のお茶は時間をケチったのが多くて、それが濁った風味となって現れている。
今回の3時間半という短時間の焙煎では水がしっかり抜けない可能性もあるので、あらかじめ西双版納で1日かけて晒干・涼干して、茶葉をカラカラにしておいた。
晒干・涼干するだけでもお茶の香りが立って新鮮さが蘇る。天気のよいカラッとした日に餅茶を崩して、崩した分だけ晒干・涼干して密封して保存すると、毎日新鮮な風味でお茶が飲める。
火加減については何度も失敗した。
焦げて失敗
このタイプの炭炉は火加減がうまく調整できない。
炭炉の器の大きさと炭の量と炭の燃え方と通風口の開け閉めと、何度も試して慣れが必要になる。
かといって調整が容易な電気コンロは火の性質が異なるだろうし使いたくない。
炭炉についてもうちょっと研究して、ゆくゆくは自分専用のをつくることになりそうだ。
炭作りまで手を出さないようにしたい。凝りすぎるのはよくない。
焙煎前と焙煎後
焙煎前と焙煎後
焙煎前と焙煎後
左: 易武古樹青餅2010年 焙煎前
右: 易武古樹青餅2010年 焙煎後
思っていたとおりになったと思う。
今後の勉強会で試飲できるようにしたい。
なぜ焙煎を試しているかというと、長い長い年月をかけてお茶づくりが成熟してゆく過程で、”焙煎”という工程がなぜ取り入れられたのか?そこが知りたいからだ。遠い昔に人が焙煎という技術と出会ったのと同じ道を歩んでみたい。
プーアール茶を専門にしている自分が焙煎に興味を持たのは、風味を引き立てるためではない。それ以外の効果にむしろ興味がある。とくに体感の変化。それをもたらす茶葉の質の変化に注目している。
現在の生茶のプーアール茶は、製品としての完成度の低いお茶だと感じている。歴史をみても、こんなに中途半端なお茶を人々は飲んでいなかったはずだ。
日本語で言うと漢方、中国語で言うと中医学の思想が昔のお茶にはもっと色濃くあって、その視点からするとお茶としての本領が発揮できていない。
カンタンに言えば、生茶のプーアール茶は長期熟成や焙煎の二次加工が必要な半完成品のお茶。
その二次加工を、いつ・どこで・誰がやるのか?どんな道具が必要なのか?現代の社会環境やお茶を飲む人の生活に合わせて、具体的な解決策を提案できるようにしたい。

困鹿山単樹の散茶2016年 その1.

製造 : 2016年04月
茶葉 : 雲南省思茅市困鹿山
茶廠 : 困鹿山の農家
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 散茶
保存 : 西双版納 陶器の壺
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺+鉄瓶+炭火
上海の朝
上海の夕方

お茶の感想:
炭火で沸かす湯の効果は大きくて、ガスや電気コンロと比べたらその違いは誰でもわかる。
みんな炭火にしてほしい。
コツを掴めばそれほど危険でもないし不便でもない。
上質な炭さえ手に入れば室内でニオイが気になることもない。
白い灰が飛び散って部屋を汚すかもしれないが、灰には洗剤みたいな効果があるので、掃除をしたらむしろキレイになる。
コストパフォーマンスを計算するかもしれないが、炭火の味わいの価値をちゃんと評価してほしい。
炭火
お茶の味と薬効はリンクしているから、炭火で淹れた味は身体への効果も異なるはず。
神韻な茶葉を求めて、歴史ある有名茶山にこだわったり、山の生態環境に注目したり、茶樹の健康に注意したり、薪火をつかったり、手仕事にこだわったり、星のめぐりや太陽や風に調子を合わせたり、ひとつひとつ積み重ねてきた追求に、炭火だけが欠如するのはもったいない。
炭炉上海にて
『困鹿山単樹の散茶2016年』は、炭火の湯で飲むべきお茶。
希少すぎて、一般に流通することはない。お店がこれを売るなんてありえない。
西双版納の茶商友達がほんの一握り、20gほど分けてくれた。
困鹿山単樹の散茶2016年
上海で古い茶友らと飲む機会があった。
困鹿山は西双版納の北の清朝1800年代の貢献茶ブームのときに易武山の品種が持ち込まれて植えられたので、甘いお茶。茶文化のお茶で、生活のお茶ではない。
困鹿山には樹高3メートルほどの古茶樹はたくさんあって、そのクラスのは過去に何度か飲んだことがあった。
美味しいお茶だった。
”単樹”と呼ぶのは10メートルを超える茶樹が選ばれる。
単樹のお茶づくりは、周囲の生態環境、茶樹の健康、品種の見極め、茶摘みのタイミング、あらゆる面で理想が求められる。
茶樹が大きければなんでも良いということはない。
銘茶は美人。天に選ばれし美人のようなお茶でなければ、単樹の意味がない。
このお茶もそう。
『刮風寨単樹小餅2016年 その1.』
この『困鹿山単樹の散茶2016年』はさらに超えるレベルだと思う。
困鹿山単樹の散茶2016年
上質なお茶に共通した森の日陰に育った涼しさと透明な甘さ。
お腹にすっと消えてゆくような馴染みのよい水質。
首から背中から腰のあたりまでの筋肉がゆるんでリラックスできる体感。
おしゃべりをやめて黙ってしまいたい快感。
すべてがそろっている。
この茶葉はタイ族の陶器の壺で熟成されていた。
プーアール土のヤカン
写真は同じ土で焼かれたヤカン。
粗い土で柔らかくて、水漏れするので、糯米を炊いて水漏れを止めてから使う。これをつくる村では昔からそうしてきたらしい。
水漏れするくらいだから湿気もとおす。西双版納の湿気のために、たった1年で中の茶葉の色は紅茶のように赤黒くなっているが、嫌な臭いや味はしない。
老茶のように”温”の性質で、飲んでからしばらくして身体がポカポカ暖かい。ちょっと肌寒くなりかけた上海で飲むのにちょうどよかった。
生茶は熟成10年めくらいまではどうしても”寒”の性質が強いので、たった1年で保存のトラブル無しに性質を変えられるなら、この陶器はすばらしい。
陶器が良かったのか、茶葉がよかったのか、観察をつづけてみる。

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茶想

試飲の記録です。
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