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茶教室・京都

易昌號大漆樹圓茶04年 その10.

製造 : 2004年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭
サーモスのお茶

お茶の感想:
先日、それほどでもないと評価したこのお茶。
+【易昌號大漆樹圓茶04年 その9.】
サーモスの保温ポットに茶葉を入れて熱湯を注いで飲むと意外に良かった。
高温の湯でじっくり抽出すると、かすかに沈香が薫る。
吐く息の中にふわっと薫るお香のような高貴な香り。上等な老茶に共通するサインである。
メイラード反応(常温の焦げ)によるカカオ風味もちょっとある。
熱湯の熱がしっかり通ると、味や香りがひとつにまとまってむしろ透明感が増す。
前回、一煎めに”梅香”があったと書いているが、梅香はまさに熱が通っていない風味。一煎めにぬるい湯が茶葉に入り込むと、二煎めの熱い湯が茶葉に入り込む余地がない。三煎つづけても味はぬるい感じになってしまう。
茶葉を乾かす
茶葉を乾かす
水滴
淹れ方にちょっと問題があった。
過去にも同じ評価ミスをしている。
新茶ばかり続けて淹れているところに突然熟成した茶葉を淹れると、抽出のタイミングが早めになって熟成の枯れた茶葉の成分がうまく出せない。意識して、煮えるのじゃないかと心配になるくらいじっくり抽出するべきだった。
濃くなりすぎて苦味やエグ味が強くならないように茶葉を少なめにしておく。2煎で出し切るつもりで。
茶葉少なめ
このへんのコツは毎日老茶を飲んでいたら自然に身についているから問題にならないけれど、新茶・老茶が混ざると調整が難しい。
熟成50年モノくらいになると、なにも考えずにどう淹れても美味しくなる安定した状態であるが、20年モノくらいはまだ若い。このお茶は14年モノだから難しい年頃だった。
あらかじめ茶葉を熱して熱い湯で淹れた。茶壺も温めた。
茶壺を温める
注ぎ
茶湯の色
前回よりも茶湯の色が赤い。しっかり熱が通った色。
それでもやはり采茶のタイミングが遅いための渋味があるし、製茶の雑な仕事による粗い水質もある。
そういう欠点が欠点に見えなくなるような、脱皮して羽化するみたいな成長というか変化が、熟成のある時点で起こるのだろうか?
観察を続けてみる。
葉底
脱皮して羽化するみたいな・・・。
自分のことを振り返ると、上海に移住して2年めや雲南に移住して3年めはそんな大きな変化があったように思う。
移住で環境が変わって生き方も変えないと生きてゆけないから脱皮するしかなくなる。
そろそろ移住なのかな。

大益沱茶05年 その1.

製造 : 2005年9月
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶孟海茶区ブレンド
茶廠 : 孟海茶廠民営化後
工程 : 生茶のプーアール茶
形状 : 沱茶100g
保存 : お菓子の缶
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・茶杯・鉄瓶+炭火
お菓子の缶で熟成した茶葉
生産日付
大益沱茶05年プーアル茶

お茶の感想:
前回につづいてお菓子の缶に8年間眠っていたお茶。
+【大益沱茶05年プーアル茶】
生茶のプーアール茶。
大手メーカーの大衆茶。
国営の孟海茶廠が民営化されるときに準備されたのが”大益”ブランドで、中国大陸の市場に向けて大衆化した製品を供給することになって、新興産地の茶葉が使われている。
茶湯の色
正直に言って美味しくない。
雑味やアク味が邪魔してゴクッと強制的に飲み込むような感じ。舌にはシワシワ渋味が残って消えない。
8年間も忘れたまま熟成していて、もうちょっとなんとかなっているかと思った。
葉底
原料の茶葉の質は悪くない。
製茶が悪い。圧延加工が悪い。
製茶は焦がしているし、圧延の蒸しすぎた煮え味もある。
2005年のものはこれで標準的な大手メーカーの品質。
製茶はダメでも茶葉の質が良いから煎はつづく。
5煎めくらいから甘味と蜂蜜のような香りが出てくる。茶葉の持つ煙味がスパイスになっている。西双版納の南糯山や布朗山とのお茶に似ている。
ふと思いついてこのお茶。
+【南糯古樹青餅2010年】
原料の茶葉は似ているはず。
南糯山古樹青餅2010年
南糯山古樹青餅2010年
残念ながらこれも美味しくない。
製法の問題はそれほど見つからない。やはり品種特性だろう。
西双版納の実生(花が咲いて実が成って種から育つ)の古茶樹は、人間の兄弟がそれぞれ異なる外見や性格になるようにバラエティー豊かになって、クローン栽培のような単一化はできないが、茶山を選ぶことでざっくりと同じ風味のグループを選べる。
生茶よりも紅茶や熟茶にしたほうが良さそうな茶葉。
孟海県の南糯山が生茶をつくりだしたのは1980年代のこと。それ以前の数十年は緑茶と紅茶。もっと昔は微生物発酵させる黒茶の原料を提供していたはず。
大陸の新しい需要に向けて、高級茶づくりに歴史のない孟海県に新六大茶山を定義してブランド化したけれど、 この生茶の人気ははたして根付くのだろうか。

7592七子餅茶1999年 その1.

製造 : 1999年
茶葉 : 雲南大葉種晒青茶孟海茶区ブレンド9級
茶廠 : 孟海茶廠(国営時代)
工程 : 熟茶のプーアール茶
形状 : 餅茶357gサイズ
保存 : お菓子の缶
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興白泥の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭火
お菓子の缶の熟成茶
お菓子の缶

お茶の感想:
お菓子の缶に入れたまま押入れに仕舞って忘れていたお茶。
上海から西双版納に引っ越すときに入れたから、8年間は忘れていた。
4種あるが、このお茶から飲んでみる。
+【7592七子餅茶1999年】
7592七子餅茶
7592七子餅茶
1999年の熟茶で、9級をメインに構成した粗茶葉が使われている。
微生物は粗い茶葉や茎のでんぷん質を好む。また、粗茶葉は水はけが良いので好気性の微生物が支配する発酵状態になりやすく、サラッとした味わいになって現れる。
まさにそういう風味に仕上がっている。
泡茶
喉にイガっとくる刺激が少しあるのは、茶葉の質や製茶や発酵工程の仕事荒さが影響していると思う。
1999年あたりは産地のお茶づくりが荒れていた時期なので、こんなものだろう。刺激はやがてスースーとクールミントに変わって爽快感があるので、茶葉の不健康が原因ではないと思う。
8年熟成で気品がある。バラの花やお香のような香りがほんのり薫る。
熟茶はもともと大衆茶だが、熟成で高級感が備わってくることがある。
体感は穏やかでゆったり。
粗茶葉の栄養で手足の先の指先の毛細血管までもが開いて血が巡って身体のチカラが抜けてゆく。
旬の茶葉ではないため茶気が弱く、脳を揺らすような茶酔いの快楽はないが、これはこれで癒やし感がある。
茶湯の色
いい具合にチカラの抜けたお茶。
普段飲みにして疲れないお茶。
ちなみに、中国のネットショップを検索すると、同じ1999年の7592は一枚1980元(現在レート32500円くらい)で出品されていた。
お菓子の缶はしっかり密封できるので、茶葉が湿っていないかぎり乾燥気味に保存できる。失敗はまずない。入手しやすいので長期保存の容器としておすすめ。気温の変化の影響を受けやすいので、押し入れなど気温が安定しているところが良い。
建物によっては陽の当たる側の壁だったり、湿気の溜まりやすい位置だったりすることもあるので、その点は考慮しなければならない。
熟成のコツは、忘れてしまうこと。
飲み比べでこの熟茶を飲んだ。
+【版納古樹熟餅2010年】
版納古樹熟餅2010年
泡茶
『7592七子餅茶』の後に飲むと迫力に欠ける。熟成10年の差がある。
茶葉の素質の良さや茶気の充実ぶりは『版納古樹熟餅2010年』が圧勝かもしれないが、雰囲気というか、熟成にしか出せない枯れた風味の魅力に負ける。

刮風古樹青餅2018年・黄印 その3.

製造 : 2018年4月11日・13日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶坪
茶廠 : 農家と店長と茶友たち
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶・炭火
薪ストーブ
お茶淹れ

お茶の感想:
2017年1月。
チェコの冬のマルちゃんのクリコフの工房でのこと。
薪ストーブで沸かした湯でマルちゃんとお茶淹れ比べをしたとき、ヤカンの湯がグツグツ沸騰するちょっと手前で淹れたら、締まりのない味になった。
その時のお茶『巴達生態紅餅2016年』。
雲南紅茶
マルちゃんは、グツグツ沸騰している湯を使うべきだと主張する。
もしも少しぬるめの湯にしたいなら、グツグツ沸騰させてから茶海に移すなり、ヤカンのまま冷ますなりしたらよい。
温度の問題ではない。
沸騰することによって水の粒子が整った状態になる。つまり熱の振動。
そう解釈している。
刮風古樹青餅2018年・黄印
茶器と茶葉
2018年の黄印の圧餅の工程の”蒸し”をテストした茶葉。
+【刮風古樹青餅2018年・黄印】
これを試飲する。
この茶葉は蒸し時間をどのくらいにするのかを試した。
餅茶180gサイズなので、1枚分に満たない端数の100gほどが散茶で余っていて、それを蒸した。
180gと100gとでは、単純に考えると9:5の蒸し時間で熱の通りは等しい。
通常180gなら10分ほど蒸すので、6分と40秒ほど蒸すことにした。
鉄瓶と炭
沸騰する湯
泡茶
葉底
ちょうど良いお茶の味になっていると思う。
”蒸し味”が目立つのはほんの1ヶ月間ほどで、5ヶ月ほど経った今となってはどのくらい蒸したのかをお茶の味から推測することが難しくなった。さすがに4分と9分には差があるが、5分と6分の差はわからない。
いや、違う。
こういう熱が茶葉に及ぼす影響は同じ速度で変わるものではない。どこかの時点で急な変化があるもの。その峠を超えるか超えないかのポイントがわかるようになったほうがよい。
殺青の鉄鍋炒りの時間もそういうところがある。
水の沸騰から連想してこんな話になった。

倚邦古樹青餅2014年・秋天 その4.

製造 : 2014年10月28日
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県象明倚邦山小葉種古樹
茶廠 : 易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 木製の茶箱
茶水 : 京都の地下水
茶器 : チェコ土の茶壺・茶杯・鉄瓶+炭火
倚邦古樹青餅2014年・秋天
倚邦古樹青餅2014年・秋天
倚邦古樹青餅2014年・秋天

お茶の感想:
この茶葉、思っていたよりも良いかもしれない。
できた当初に気になっていた渋味が落ち着いてまろやかになっている。
『倚邦古樹青餅2014年・秋天』
温める
注ぎ
注ぎ
茶湯の色
透明感があり、後を引く苦味が軽快で心地よい。
シンプルな味で、熟成の安定した4年目は何度飲んでも新しい発見は少ない。
でも飽きが来ない。
このお茶の茶地は村から1時間半も歩く森の中にある。
倚邦山のような歴史のある茶山は、村の周辺ほど品種のバラエティーが多くなる。茶樹を選ばないで混采すると、いろんな個性の茶樹のいろんな味が混ざることになる。
易武山の麻黒や落水洞周辺、漫撒山の丁家老寨や張家湾周辺もそういう傾向がある。
かつて明代から清代にかけての貢茶づくりにおいて、品種の栽培実験が村の周囲で行われたせいかもしれない。
村から離れたところは、原生種が群生しているか、それとも清朝の貢茶の需要があった時代に植樹された品種が群生しているか、いずれにしても村から遠く離れているほど他所の血が混ざりにくい。
このお茶の透明感は純血に近いものを感じる。
茶湯
葉底
昇りも沈みもしない宙に浮く感じの秋のお茶の体感。
生茶のわりに身体が温まる。
飲んでからすぐにどっと汗が出て、涼しくなって長袖を着たが、早春のお茶ほど寒くはならない。
茶箱熟成することにした。
茶箱熟成
茶箱
生茶の餅茶数種をギッシリ詰めて18キロはある。
茶葉がたくさん集まると、お互いに湿気を調整したりして良い影響を与える。
茶箱は壺熟成とはまた違う変化があるかもしれない。
チェコ土の徳利
香取90
酒湯
苦味が甘味を誘う。
寺田本家の香取90。9月9日の蔵出しのを入手した。
体感の良さと素朴な味わいでこの酒を選んでいる。熱燗ならではの大きな波に揺られて眠くなる。

刮風生態青餅2018年 その2.

製造 : 2018年4月11日・13日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨小茶樹
茶廠 : 店長と茶友たち
工程 : 生茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭火
茶壺
底敷き
茶針
道具
鉄瓶

お茶の感想:
道具の生命感。
そこにあるというよりか、そこにいるという感じ。
茶葉にも生命感。
+【刮風生態青餅2018年】
茶葉餅面
お茶の味にも生命感。
茶湯
葉底
生命と生命が命の話をしている。
瑶族のアクセサリー
ラオスのバスケット
タイの布

易昌號大漆樹圓茶04年 その9.

製造 : 2004年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭
易昌號大漆樹圓茶04年

お茶の感想:
お茶の在庫整理していたら3枚出てきた。
+【易昌號大漆樹圓茶04年】
易昌號大漆樹圓茶04年
2004年頃の茶業は荒れていたから、それなりの品質。
このお茶を入手したのは2008年だったと思うが、その当時の自分の基準ではこれでも十分良いと思った。
お茶づくりに関わり始めた2009年から9年経った今の自分はそれなりに成長して、これを良いと思えなくなっている。
大きめの茶壺
崩した茶葉
昨日につづいて大きめの茶壺。
洗茶
洗茶の湯で茶壺も温める。
洗茶はしてもしなくてもよい。
現在のお茶はキレイにつくっているので洗茶しなくてよいが、2004年頃のはしてもよい。
このお茶は一軒の農家の晒青毛茶からつくって、ブレンドをしていない。素性のわからない茶葉が混ざっていることはない。
なので洗茶なしで飲む。
1煎めの味は梅子香。以前にはなかった香りが現れている。
茶湯
2煎めはじっくり抽出。
ここで欠点が目立つ。
おそらく2004年の春は全体的に調子が悪かったのではないだろうか。旬の茶気の炎が感じられない。茶摘のタイミングが遅くて、水質が粗くザラザラしている。
でも、どこかホッとする味。
茶壺
煎をすすめると蜂蜜のような香りと甘さが出てくる。しっとりした苦味とのバランスも良い。
葉底
手元のオリジナルの生茶の熟成は、このように湿気させることのないように管理する。

易武古樹青餅2010年 その37.

製造 : 2010年4月
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県易武山麻黒村大漆樹古茶樹
茶廠 : 農家+易武山の工房
工程 : 生茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 密封
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・スペイン土の茶碗・鉄瓶+炭火
茶壺
パック熟成

お茶の感想:
大きめの茶壺で3煎で出し切る淹れ方を生茶で試す。
+【易武古樹青餅2010年】
崩してから密封パックで保存しているこのお茶。
室温の安定した棚に置いているが、パックだけでは保温力がないので、布袋に入れている。
試作の1キロサイズの餅茶にしていたもの。
餅茶を崩して
茶葉3グラム
3gあるかないか。
10年熟成モノの生茶となると、蓋碗でサッと湯を切る淹れ方では熱が足りなくて、1煎めからのパンチに欠ける。4煎くらいからの伸びに欠ける。
茶壺を使うのが良いが大きさが保温力の差になる。湯量=熱量。
普段は小さめの茶壺で煎をつづけて8煎くらいまで。今回は3煎で出し切る。
1煎めは茶壺に注ぐ湯の量を半分くらいにしてサッと出す。蒸らし時間20秒くらい。一番だしの感じ。
乾いた茶葉にいきなり熱い湯を浴びせると繊維が壊れて味が濁るから、湯を注いで茶壺を温めて、いったん湯を切ってから茶葉を入れて、蒸気で1分ほど蒸らしておくのが基本。
スペイン土の茶碗
南部鉄瓶と
後ろに見えるのは南部鉄瓶。1.5リットルほどのサイズ。一煎めはこの南部鉄瓶から直接湯を注いだ。
黒い茶碗はスペイン土の素材でチェコのマルちゃん作。
2煎めの湯は南部鉄瓶から小さな鉄瓶にバトンタッチして、炭火でじっくり熱を伝えた。
1煎めで茶葉がほぐれて、熱にも慣れているので、熱々のを茶壺いっぱいに注いでも茶葉が火傷しない。
茶壺
注ぎ
蒸らし時間は計っていないが4分くらい。
この2煎めで、スペイン土の茶碗は味の輪郭を奪ってしまうことに気付いた。
いつもはごはん茶碗として使っている。
ぼんやりした味の良さもあるけれど、このお茶の持ち味はシャキッと感。
白いチェコ土の茶杯
白いチェコ土の茶杯に移して飲んでみたら、香りがキリッと引き締まって陰影が濃くなった。飲んだ後の息に香りが立つ。土の質でぜんぜん違う結果になる。
3煎めはもっとじっくり茶葉の成分を抽出する。
炭を消し壺にしまって、わずかな残り火に灰をかけて柔らかい熱にして、網の上で茶壺を保温する。
茶壺を残り火にかける
10分は待ったと思う。
グツグツ沸騰させないこと。煮えると茶葉の生命感が消えてなくなる。
3煎めの茶湯
これまででいちばん薫り高い『易武古樹青餅2010年』になったと思う。
湯の熱の性質、茶壺の土のチカラ、茶杯の土のチカラ、土と土の相性、土と鉄との相性、水の性質、などなど、いろんなことがお茶の味をつくる。
関係がややこしいが、いろいろ試しているうちになんとなく勘が働くようになる。たぶん無意識が茶葉や土や水や鉄の言葉を聞いている。
葉底
例えば、生茶と熟茶を淹れる茶壺は分けたほうがよいという考え方がある。
そう思う人は分けたほうが良い結果が得られる。
そう思わない人は分けなくても良い結果が得られる。
そういうものだと思う。
大事なのは、どっちか決めて集中すること。
どっちが良いのか気になってネットを検索したり他人と議論したりする時点で集中力が切れていて、本当に見るべき対象に意識が向いていない。
無意識が茶葉や土や水や鉄と言葉を交わせない。

版納古樹熟餅2010年 その38.

製造 : 2010年7月
茶葉 : 雲南省西双版納州巴達山曼邁寨+章朗寨古茶樹2009年秋茶
茶廠 : 農家+孟海県の茶廠
工程 : 熟茶のプーアル茶
形状 : 餅茶
保存 : 乾倉
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の茶杯・鉄瓶+炭火
熟成壺
熟成壺
版納古樹熟餅2010年

お茶の感想:
強い台風が去って空気が落ち着かない日に熟茶。
天気が荒れると生茶はなぜか美味しくない。熟茶はなぜか美味しい。
チェコ土の壺熟成をはじめて1年目。
+【版納古樹熟餅2010年】
餅茶一枚を崩して壺に満タンに入れていたが、ちょくちょく飲んでかなり減った。
新しい一枚を崩して足すかどうするか・・・。器の中の茶葉が多いほど茶葉同士で水分などを調整しやすいから安定すると考えている。
台風で飛ばされた瓦屋根の補修などで忙しくて手間がかけられないので、今日はサクッと2煎で出し切る。手数が少なくて短い時間で、それでもあんがい美味しくなる淹れ方。
道具がいつもとは違う。
大きめの茶壺と茶杯
茶壺
背が高くて腹のふくらんだ茶壺300cc。
茶壺の重さはこの大きさで169gとけっこう薄造りで軽い。
コツは、たっぷりの湯で茶壺も杯も温めること。
湯で温める
温めるときにいっきに湯を注ぐと割れる可能性があるので、ちょっとずつ湯を注ぐ。
湯を捨てるのはもったいないので鉄瓶に戻して沸かしなおす。
湯を注いで3分
茶葉を入れて湯を注いで4分。じっとがまん。
注ぐ1
注ぐ2
注ぐ3
最後の一滴まで杯に注ぎ切る。
湯量が多いとなかなか冷めなくて、一杯めを飲み終わるのに時間がかかるので、先に次の煎の湯を茶壺に注いでおく。2煎めの蒸らし時間は7分くらい。
2煎め
7分で湯が冷めない大きさの茶壺を使う。小さな茶壺では7分も待てば冷めてしまう。手元に大きめの茶壺が無いのなら350から500ccのコーヒーサーバーでよい。
注ぎ3
注ぎ4
茶湯の色
2煎め。こんなに黒い色になっても味は淡くて透明。
茶葉の健康と、製茶や微生物発酵を丁寧にした成果と、壺熟成の効果と、まっすぐ歩いている感じ。
葉底
出し切った葉底。
指で潰しても色がつかないくらい成分は湯に出尽くしている。
茶壺
この茶壺は注ぎ口の位置が高くてバランスが悪いように見えたけれど、使ってみると納得。注ぐ水を上手に制して静かなお茶になる。

刮風生態紅餅2018年 その1.

製造 : 2018年4月7日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨小茶樹
茶廠 : 店長
工程 : 紅茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 熟成壺
茶水 : 京都の地下水
茶器 : 宜興の茶壺・チェコ土の杯・鉄瓶+炭火
鉄瓶
鉄瓶内側

お茶の感想:
この頃よく使っている鉄瓶は古物で、名が入っていなくて素性がはっきりしない。そのほうが上等かもしれない。量産の型モノではなく昔の釜師がつくった一点モノかもしれないから。
手に持った瞬間にわかる軽さ。薄いつくり。鋳造で薄いのは技術的に難しい。
軽いだけでなく水の調子も良い。
鉄瓶は新しいのと古いのと鉄の成分が異なるらしいが、現代の一点モノをつくる釜師の職人さんでさえ鉄の違いは謎だと言っている。
水の調子が良いのは鉄の成分だけが原因とは限らない。湯を沸かすことの科学には、形状や厚みの違いだけでなく、鋳物をつくる技術の違いからなるミクロの組織構造も関係しているだろう。ミクロの世界に手の仕事が形状記憶されている。
鉄瓶のような古い時代のものは、現代の人が知らないことを昔の人は知っていた。
お茶もまた古い時代のもので、昔の人のほうが知っていた。
刮風生態紅餅2018年
今年のオリジナルのお茶は自分ひとりで圧餅するようになった。
言わば一点モノのお茶づくり・・・のつもりである。
茶葉を摘むところから圧餅が仕上がるまでの一連の変化を、手や目や耳や鼻が追いかける。
茶葉のミクロの組織構造に、ひとりの意思が形状記憶される。
鉄瓶に形状記憶されたもは、使い込んでいるうちにジワジワわかってくる。職人が時間をかけて理解していったことだから、すぐに理解はできないだろう。
お茶もそうで、出来てから何年も試飲を重ねるうちにジワジワわかってくる。
だから、気に入ったひとつのお茶を何年かかけて飲める量をまとめて所有することをおすすめしている。
刮風生態紅餅2018年
+【刮風生態紅餅2018年】
今年2018年の刮風寨小樹のお茶は生茶も紅茶も辛い。
このことはすでに何人かのお客様も指摘していて、この辛さについての解釈を試みているところ。
痺れるような辛さが漫撒山の森の古茶樹には少なからずあるのだが、今回の辛さは痺れる”麻”というよりはピリピリする唐辛子の”辣”に近い。30分ほど経つうちに”麻”に変化して舌に痺れの余韻が残る。
なぜかわからないが、これが良い具合に現れるときとそうでないときがある。
先日の9月2日の勉強会ではこの”辣”が喉の奥までも刺激して、気持ちよく飲めないくらいだった。
上海の勉強会のために残していたサンプルの一枚を、友人がハンドキャリーで届けてくれて、飛行機で着いて2日後の試飲だったので、荒れていたのだと思う。輸送の振動や気圧の変化や磁場の変化や、いろんなことが茶葉をイライラさせる。
何度も経験しているのでぜんぜん慌てないが、勉強会の参加者はドキドキしたかもしれない。
茶壺
茶湯の色
熟成壺で5日間寝かせた今日のはいい感じ。
”辣”は舌だけに留まってそれほど喉を刺激しない。
辛さが落ち着くと、お茶の味の透明度に吸い込まれる。
これまでのオリジナルの紅茶との違いは、茶葉一枚一枚の軽発酵度がより均一に仕上げられたこと。
漫撒山の原生種の血の濃い茶葉は、カタチや大きさの複雑さゆえに軽発酵のムラができやすいが、なるべく均一な軽発酵度に仕上げて、その効果を知りたい。
今回は製茶時の天候不順も手伝ってくれて、予想を遥かに上回る均一な仕上がり。
自分で圧餅したことでさらに均一になって、これまでの紅茶とは明らかに異なる。
茶湯の色
葉底
紅茶らしい紅茶になっている。

ちょっと小さめの古い時代の宜興の茶壺。
宜興の茶壺
茶壺
土は良くて水を甘くするけれど、蓋がユルユルで困った。

1

茶想

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