プーアール茶.com

茶教室・京都

老撾高幹古樹2018年・秋天 その1.

製造 : 2018年10月(采茶)
茶葉 : ラオス・ポンサーリー県・孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨付近
茶廠 : 瑶族の農家
工程 : 生茶
形状 : 散茶
保存 : 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 宜興の茶壺・グラス杯・鉄瓶+炭火
ラオスの空
森
森の入口

お茶の感想:
刮風寨の山の裏はラオスの北部、ポンサーリー県になる。
刮風寨から続く山には瑶族が多く住んでいて、あちこちに村がある。
瑶族たちは許可なしに国境を超えて親戚や友達を訪ねて行けるが、中国人といえども茶友たちはそういうわけにはゆかなくて、”辺民証”という許可書を取って国境を超える。
パスポートで超えられる大きな通関は限られていて、かなり遠回りすることになるが、辺民証で超えられる小さな通関はあちこちにあって、仕事で行き来する人たちには便利になっている。
刮風寨の春のお茶づくりが終わる頃に茶友たちがこのあたりを訪ねてきた。
目的は高幹の茶樹を探すこと。
といっても、彼らが森に直接入って探すなんてことはできない。道に迷ったら死ぬ。人づてに瑶族の村を訪ねて、そんな茶樹の群生する森はないか聞いてまわる。
茶樹上
茶樹下
高幹の茶樹はこんな感じ。
この写真のは中国側の刮風寨の茶坪の奥地。
単樹1号・単樹2号よりももっと背が高いが、ただ、あまり美味しくない。
+【刮風寨単樹1号2018年 その1.】
+【刮風寨単樹2号2018年 その1.】
この高幹の茶樹に会いにゆくために森の中のいくつもの尾根を超え谷川を渡ったが、銘茶は美人。地域の気候・山の地形・生態環境・土質、生まれ育ちの良いお嬢さんよりも、生まれながらの天性の美を評価される厳しい世界なのだ。
山道
川
鉈で密林を切り開かないと進めないところもある。毒蛇も毒虫もみんな密林の緑の召使いたちで、生きものが死んで足元の土になるのを望んでいる。彼らの純粋な殺意にはゾッとするものがある。
「ラオス側の森の中にいくらでも高幹の茶樹がある。」
と聞いているものの、黙っていて向こうからやって来るものではない。瑶族が自発的にお茶をつくってくれることはない。高幹の茶樹は収穫が難しくて少量で、商売にならないからだ。
刮風寨に近いラオス側の山でも甘いお茶ができる。なので産地偽装の茶葉の需要が大量にある。ほんの数キロではなくて数百キロの需要が農家にとってはうれしい仕事。なのでラオス側でも多くの森が開拓されて小樹の農地になる。
小樹の茶樹
この写真は刮風寨の小樹の茶地。小樹といえど樹高は2メートルほどある。樹齢は20年弱。山の峰から中腹あたりまで原生林の緑で覆われていて、茶樹以外の農作物は無い。まさに理想の生態環境。こんなお茶は美味しいに決まっている。
山頂付近の森はいわば山の心臓であり血液の循環の役割を担っている。原生林が刈られて植林されたりすると心臓が止まる。栄養のめぐりの悪い山となる。
小樹の茶樹
この写真のような理想の環境が残っているのは偶然ではない。国有林を保護する国の活動と、刮風寨のお茶をブランド化して商売する業者と、経済活動に比較的熱心でない瑶族のおっとりした性質と、うまい具合に利害が噛み合ってこうなるわけで、山を超えてラオス側を見てきた茶友たちの話では、そうはうまくゆかないらしい。国の管理も茶商の目も届かないところだから、農家は短期的な利益を追求して原生林を刈りつくして見るも無残な農地が多いらしい。山の心臓が止まっているのだから、茶樹への栄養のめぐりも悪くて、数年でお茶の味は落ちるだろう。お茶の味が落ちるのが先か、流行で膨れ上がった需要が落ちるのが先か、どちらにしても短期的利益を追求するのが得策になるのは、産地偽装のお茶の宿命である。
そのようなわけでラオスの農家に高幹の茶樹から茶葉を採取してもらうことをお願いするには、取引条件の良い提案をするしかない。
瑶族の帽子
茶湯の色
泡茶
葉底
昨年にラオスの森の中で20本ほど群生している高幹の茶樹が見つかって、人の歩ける道をつくって森に入れるようにして、周囲の高い木々を伐採して草を刈って、今年の春から採取がはじまったお茶があった。
茶友がラオスの村を訪ねたときに製茶したての晒青毛茶(天日干し緑茶)が10キロほどあって、すぐに交渉した。2日後に刮風寨に運ばれてくるはずが、運搬途中で深センの茶商に横取りされた。もっと良い価格が提示されたのだろう。
情報が漏れている。
ラオスの農家と親戚関係の刮風寨の農家がスマホを使って微信(WeChat)で紹介してしまったのだ。
高幹の茶樹
(一番手前の白い幹が茶樹。刮風寨茶坪の奥地。)
幹
この秋にも数キロつくられたが、今回もこっちには回ってこなかった。
刮風寨に滞在中に少しだけ分けてくれたサンプルを飲んだ。それが上の写真。
栄養の充実っぷりが見てわかる葉底の緑色の濃さと茎の太さ。
少し家に持って帰ってきたので、なじみの茶器を使ってじっくり飲んでみる。
『老撾高幹古樹2018年・秋天』老撾とはラオスのこと。
ラオスの古樹茶
泡茶
古樹味はある。
古樹味とは、これと形容できる味ではなくて、あえていうと唾液みたいな味。腹ペコでごちそうを想像して出てくるヨダレの味。水よりも口に親和性があって、舌に溶けて、消化酵素がお腹を癒やす。
でも、このお茶はブスだった。不味い。嫌な苦味が舌に残る。
ラオスよりもミャンマー側の山に多いタイプのブス。茶文化のお茶ではなくて生活のお茶レベル。
葉底
高幹は、枝分かれが少なくスラッと上に伸びるように育った証だが、この理由が大事で、森の深いところで人知れずひっそり育ったか、農家が大事にして茶摘みや台刈りを自主規制したか、不味いので誰も見向きもしなかったか。
このお茶は誰も見向きしなかったやつだろう。
深センの老板が買ってくれてよかった。
口直しにこのお茶を飲んだ。
+【刮風秋水紅餅2018年 その1.】
秋水紅茶
圧餅後の乾燥4日目で、ほぼ完了。
カタチの崩れた余りモノの茶葉で180gに満たないから自分用にしているやつ。
泡茶
美人の唾液は甘い。
錯覚じゃないだろ。物理的に証明されるときがくると思う。

東莞人第一批熟茶2017年 その3.

采茶 : 2017年4月
加工 : 2017年11月・12月
茶葉 : ミャンマーシャン州 チャイントン
茶廠 : 東莞人
工程 : 熟茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・グラス杯・鉄瓶+炭火
東莞人第一批熟茶2017年

お茶の感想:
圧餅してから2週間ほど経った。
初日の晒干後は竹ザルに並べたまま茶葉倉庫の部屋で陰干しした。湿度は55度から60度くらい。
これ以上乾燥させる必要はないので、そろそろ長期保存の器に移してもよい。今回は布袋に包んでダンボール箱に入れて茶葉倉庫の中での通気を許した熟成を試みる。
東莞人の茶友を呼んで試飲した。
茶葉を熱して乾かす
前回のように茶葉を熱したが、今回はアンモニア臭はまったく出なかった。カカオの香りのするよくある熟茶。
圧餅前の散茶にあった海鮮味も完全に消えている。
2週間のうちに成分変化がすすんでいる。
注ぎ
茶湯の色
茶湯の濃く濁った色から想像できるような味ではない。透明感があってさっぱりしている。甘味が下がったせいか苦味が際立って、東莞人は「苦くなった」と言うが、一般的な熟茶に比べるとかなり甘いほうに傾いている。
3煎めくらいの味の奥のほうに”陳香”と呼んでいる老茶っぽい香りが少しある。できたての熟茶らしくない香り。
ここで意見が別れた。
東莞人は微生物発酵度がちょうど良いか、まだもうちょっと発酵させても良いくらいだと言うが、自分は発酵し過ぎていると見た。
例えば、この熟茶は6回くらい加水しているが、実は3回目か4回目くらいで止めてもよかったのじゃないかというのが自分の見方。
葉底
葉底の柔らかい触感やまだ緑っぽい新鮮な色が残っているところから東莞人はもっと発酵をすすめるべきと判断していると思うが、発酵がすすむのは加水して微生物が活発に活動している時間帯だけじゃない。
圧餅してから後がもっと大事。
圧餅して乾燥した茶葉の中では、微生物は死んでいるか冬眠しているか、つまり息をしたり食べたり増殖したりはしないのだが、彼らがつくった大量の酵素が残っていて、その酵素反応だけでも茶葉は発酵度を深めてゆく。気温や気圧の変化や空気中の水分だけで少しずつ成分が変化する。
『版納古樹熟餅2010年』の圧餅直後の2010年と8年経った2018年の葉底の写真をこのページで紹介したとおり。
+【温州人第五批熟茶2018年 その1.】
では、加水して微生物が活動しているときと、圧餅後の活動していないときと、どう違うのか。
もしも同じなら、加水の回数を増やして微生物の活動期間を長くすれば、10年かかるところを10日間でできるかもしれない。
でも、そうじゃないのだな。
微生物が生きて活動しているうちは茶葉のある種の栄養を消費してしまう。
微生物が活動しなければその栄養は消費されない。
加水して茶葉にたっぷり水分があると60度にも達するくらい発熱するが、それはつまり微生物がカロリーを燃焼しているということだから、茶葉のある種の栄養分が消費されていることになる。
その栄養分を残しながら発酵度を深めるには、微生物には死んでもらうか寝てもらうほうがよい。
繰り返し言うが、圧餅後の変化は微生物のつくった大量の酵素によるもの。その変化がまるで微生物が生きて仕事をしているような変化に見えるから微生物発酵はややこしい。
圧餅後の乾燥状態でも湿度が70%を超えて気温が28度もある状態なら、ある種の良性の微生物が活動したり増殖したりしていると温州人の茶友は主張している。
『版納古樹熟餅2010年』の保存環境でも夏の一時期はたしかにその条件下にある。
しかし、茶葉が発熱するほどカロリーの燃焼はしていない。
版納古樹熟餅2010年
2018年10月26日現在の『版納古樹熟餅2010年』。
餅面の色は8年前からそんなに変わっていない。全体的にやや黒っぽくなったくらいだろうか。

刮風秋水紅餅2018年 その1.

製造 : 2018年10月18日(采茶)
茶葉 : 雲南省西双版納州孟臘県漫撒山(旧易武山)刮風寨茶王樹
茶廠 : 農家と店長
工程 : 紅茶
形状 : 散茶
保存 : 密封
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : 白磁の蓋碗・グラス杯・鉄瓶・炭火
刮風寨遠景
刮風寨近景
原生林
車の窓
車

お茶の感想:
刮風寨に行ってきた。
今年の秋も雨が多いからダメかと思いながら行った。
これほど雨水の多いのは2011年の秋以来。その秋は川下のタイで大洪水となった。
一般的には雨水が多いと茶の味は薄くなるが、2011年の秋のお茶は甘くてふくよか。もう売り切れたが、手元に残ったサンプルは年を経るほどに魅力を増している。
+【紫・むらさき秋天紅茶2011年】
今年2018年も春・夏・秋とずっと雨がつづいて、2011年と似た状況。
刮風寨の古茶樹の森はとくに山が深くて、雨の日は山に入れない。茶葉が収穫できる日が少ないから、第二波と呼ぶ春の二番摘みからして収穫量が少ない。茶葉は大きく育って枝・幹・根を養う。
瑶族の農家は10月になって山道や茶地の草刈りをして、古茶樹の森に入れるようにして秋の旬を待った。
ところが連日の雨続き。茶葉の成長具合を日々報告してもらっていたが、新芽・若葉は少なくて、しかもやや硬くなりはじめていると聞いた。この状況も2011年の秋の巴達山に似ている。
「つくれなくてもいいから見に行こう。」東莞人の茶友の判断が良かった。
大木
山
森
革
森
ススキ
見に行ったその日の午後から晴れ。
森の緑の反射する光が眩しすぎて、夢の世界にいるみたい。
2日目、刮風寨の村から古茶樹の森”茶坪”へ車で40分+歩いて3時間。今回はバイクに乗らずに歩いて行った。帰りも歩いた。久々の長時間の山歩きなので足はガクガクになったが、森の涼しい空気が気持ちよくて疲れを感じなかった。
煮茶
山小屋
茶樹
春の茶摘みを手伝ってくれた苗族のメンバーが前日から山小屋に泊まって10月18日の早朝から采茶してくれた。といっても、収穫するにちょうど良いタイミングの新芽・若葉のは3本の茶樹だけ。茶摘み人員は4人だけ。収穫量は15キロあるかないか。
茶葉
茶葉
村に戻ると、もうひとつの森の”茶王樹”に入っていた苗族の2人が収穫した鮮葉を運んできたところだった。これもたった2本の茶樹から采茶されて10キロあるかないか。
茶王樹の森のお茶はまだつくったことがないので、自分はこちらを選んで紅茶をつくることにした。
萎凋
太陽萎凋
茎の長い秋の茶葉
秋の茶葉は茎の部分が長く育っている。刮風寨の原生種に近いのはとくに長いから、水分を抜いて柔らかくなるまで萎凋させるのに次の日の昼までかかった。最後の1時間は太陽萎凋させた。
十年
揉捻前
揉捻後
萎凋後の茶葉1.2キロづつに分けて揉捻。1回20分×8回分。途中休憩もして3時間かかった。腕立て伏せを3時間続けるようなもの。ヘトヘト。
渥堆軽発酵
布袋に詰めて渥堆軽発酵がはじまったのが午後4時。この日はこれで終わり。
軽発酵の速度は茶葉の水分や気温や、布袋やプラスチック袋で調整する酸素の供給量などで変わる。次の日の朝の太陽での晒干を待つのにちょうど良い時間を計ったつもりだったが、深夜の1時に軽発酵十分と判断して竹ザルに茶葉を広げた。
晒茶
晒茶
瑶族の布
絶好の晒茶日和。気持ちよく一日で乾燥しきった。
瑶族の藍染も天日干し。
太陽の熱を下げるための陰干しをひと晩して、次の日に山を降りた。
山を降りてからまた雨が続いている。
景洪市の雨
刮風秋水紅餅2018年
刮風秋水紅餅2018年
刮風秋水紅餅2018年
葉底
今はまだ散茶だが、天気が良くなってから圧餅する。
ひと足先に『刮風秋水紅餅2018年』と名付けた。
圧餅の蒸気の熱と水分でもうちょっと軽発酵がすすむ。それも計算している。
今のところカンペキ。
今年の秋の水は甘い。

ダイ族の村
ダイ族のごちそう
ダイ族のお祭りに呼ばれた。
殺鶏・殺猪・殺牛。
すべて村でつくられた健康な食材と健康な酒。化学調味料も入れないように茶友がオーダーしている。
美味しいに決まっている。
「ドゴー・シュイ・シュイ・シューイ・シュイ。」
乾杯の掛け声が村のあちこちで響いた。
現地の不動産王の茶友の奥さんがこの村出身のダイ族。
親戚を何軒か訪ねてごちそうとお酒を頂くのだが、3軒めでダウン。
各家庭が申し合わせたように異なる料理をつくって待っているので30種以上の料理を食べたと思う。
雨の日もまたよし。

温州人第五批熟茶2018年 その1.

采茶 : 2018年9月
加工 : 2018年9月・10月
茶葉 : タイ北部の古樹+雲南省臨滄市鎮康県果敢交界古樹
茶廠 : 農家+温州人
工程 : 熟茶
形状 : 餅茶
保存 : ミャンマー
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・景徳鎮の茶杯・鉄瓶+炭火
晒干茶
餅面表
餅面裏
餅面拡大

お茶の感想:
温州人が持ってきた自作の熟茶のいくつかのサンプル茶葉の中で、微生物発酵がほぼ完成していているのは第五批の試作。
これを圧餅テストした。
原料の茶葉の7割はタイ北部の古樹のもので春のもの。”苦茶”と呼ばれていて、実際に苦いお茶。苦い成分が多いというのではなくてバランスが悪い。甘味・酸味・旨味などが少ないので苦味が際立つことになる。ただ、栄養は充実している様子なので微生物が好んでくれたら発酵は大丈夫だろう。
チェコ土の茶壺
茶葉を温めて乾かす
圧餅後、完全に乾くのには一週間かかるから待ちきれなくて茶壺に入れて温めて乾かす。
このとき前回試した『東莞人第一批熟茶2017年』にはかすかにアンモニア臭がしたが、この『温州人第五批熟茶2018年』はまったくしない。
乳酸菌っぽい香り。自分は子供の頃にお腹が弱くてビオフェルミンをよく飲んでいたが、その系統の整腸剤によくある香り。良い発酵ができた証拠じゃないかと思う。
一煎め
二煎め
八煎め
2杯3杯飲むと腹がスーッと気持ちよくなる。
できたての熟茶はどれもそうだが、茶湯の口感がヌルっとしている。それが残らないのが上質。おそらく微生物のつくった様々な酵素が湯の中溶けて混ざって瞬間に分解されるのだろう。唾液の酵素もかかわっているかもしれない。口から蒸発するように消えて清潔感がある。
味は透明感あって甘い。苦茶を原料にしたとは思えないほど。
潤いのある喉ごし。圧餅の後、涼干・晒干の自然の熱でゆっくり乾燥。メーカーの熱風乾燥とは違う。たぶん熱風乾燥が市販の熟茶にありがちな喉をカラカラさせる”燥”の感覚につながる。
葉底
葉底拡大
葉底はまだ柔らかい。
この柔らかさは正常。できたてのときは、まだ微生物発酵の後期に活躍する枯草菌類による茶葉の分解がすすんでいない。
圧餅後も熟茶はまだ完成していない。
版納古樹熟餅2010年
葉底
上: 『版納古樹熟餅2010年』の葉底2010年7月撮影
下: 『版納古樹熟餅2010年』の葉底2018年9月撮影
何年もかけて酵素が茶葉を別モノにして栄養価を増してゆく。発酵の仕事は一時的なものではない。
微生物発酵後期に活躍する枯草菌類は熱に強いから、圧餅の蒸気で死んだりはしない。まだ生きている。
しかし、茶葉が乾燥した状態では増殖したり酵素を増産したりできないはず。
なので圧餅後の熟茶の茶葉の成分変化は、熟茶づくりの工程でできた大量の酵素によるものであり、後に増殖したり酵素を増産したものではない・・・はず。というのが自分の主張だが、温州人は圧餅後の増殖や酵素の増産があると見ているらしい。
ここの意見が別れているが、もうすぐ解明できるだろう。

東莞人第一批熟茶2017年 その2.

采茶 : 2017年4月
加工 : 2017年11月・12月
茶葉 : ミャンマーシャン州 チャイントン
茶廠 : 東莞人
工程 : 熟茶
形状 : 餅茶180gサイズ
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・景徳鎮の茶杯・鉄瓶+炭火
生の熟茶
生の熟茶

お茶の感想:
『東莞人第一批熟茶2017年』を圧餅テストする。
圧餅加工のために蒸して茶葉を柔らかくする熱で”火入れ”する。
圧餅しない散茶の熟茶、例えば『宮廷プーアール茶』にしても、散茶のまま熱風乾燥で”火入れ”されている。
火入れしないと温度や湿度に敏感すぎて保存が安定しないし、それ以前に”生”のままはそれほど美味しいと思えないし、熟茶らしい”温”の体感も少なくて、生茶のような”寒”が残っていたりする。
火入れしてこそ熟茶は完成する。
圧餅道具
散茶1キロ分を東莞人の茶友から買った。
原料の晒青毛茶の価格+30%を支払ったが、30%はほぼ微生物に喰われて減った分で、加工費などは一切加算されていない。
原価のもっと安い温州人の熟茶を圧餅テストしたかったが、まだミャンマーにて発酵途中。明日から涼干(陰干し)がはじまると聞いているので、最短でもあと3週間はかかる。
待っていられない。
というのも、すでに秋茶の旬になって待機中。しかし毎日長い雨が降ってどうしようもない。焦る気持ちを圧餅の重労働でいなそう。
茶葉を蒸す
茶葉を蒸す2
茶葉を蒸す3
圧餅の足
圧餅後
圧餅後
「第一批」だから、東莞人のはじめての熟茶づくりであり、微生物にとってもはじめての環境での仕事となる。明らかな失敗が無かっただけでも上出来。
できたては口に残るヌメリが気になったが、茶葉が乾燥し切った現在は気にならない。
自分は近所に住んでいるが、発酵の現場は見ていない。スマホの写真を見せてもらったり、途中経過の報告を聞いたりしただけ。衛生管理のために東莞人ひとりだけが発酵部屋に入るようにしていたからだ。
温度・湿度を自動制御できる装置をつけたり、発酵の器と散水の器を分けたり、新しい工夫もあって理屈の上では間違いはなかったはず。
圧餅したてでまだ湿っているが、待ちきれなくて飲むことにした。東莞人を呼んでいっしょに飲んだ。
東莞人第一批熟茶2017年
泡茶
試飲
茶葉を乾燥させるためにチェコ土の茶壺に入れて鉄瓶の上で蒸した。
茶葉が温まってきたときに微かにアンモニア臭がした。普通に淹れていたらアンモニア臭はしないので偶然の発見。臭覚はほんの少しの成分でも嗅ぎ分けるチカラがある。
湯を注いで飲むときにはアンモニア臭は消えていたが、若干のヌメリがまた戻っている。
お茶の味には問題は見つからない。茶湯の色は濁っているができたての熟茶はこんなもの。味には透明感がある。香りのないコーヒーみたいな味。一般的な熟茶によくある土臭みはまったく無くて甘くて美味しい。
アンモニア臭は、微生物発酵のときに好気性細菌が呼吸困難になったときにつくるのだと思う。散水の水が多すぎたり、微生物の発熱が高くなりすぎたり、茶葉を発酵させる器の通気が悪かったり、いろんなところに酸欠になる原因が考えられる。
ミャンマーに滞在中の温州人にSNSで意見を求めたら、原因は酸欠ではなくて周囲の環境の差が大きいと見ているらしい。たしかに、西双版納の景洪市の空気はミャンマーの山の中よりは乾燥していて気温も安定しない。空気中に飛び交う微生物にも違いがあるだろう。周囲の森林も水田もますます減ってきて、車が増えて排気ガスも多くなっている。
市内のマンションの一室で微生物発酵させるプロジェクトの雲行きが早くも怪しくなってきた。
葉底
葉底の柔らかさからしたら、微生物の活動によってできた酵素による成分変化の余地がまだまだありそう。圧餅後も数ヶ月間はお茶の味が大きく変わるだろう。酵素による成分変化が安定してきたら葉底はもっとシワシワパサパサになる。1年ほどかかる。『版納古樹熟餅2010年』のときもそうだった。

『温州人第五批熟茶2018年』を1枚だけついでに圧餅してみた。
東莞人と自分のもらっていたサンプルを合わせてたら200gあって、180gサイズの餅茶にできた。
温州人第五批熟茶2018年
温州人第五批熟茶2018年
左:温州人第五批熟茶2018年
右:東莞人第一批熟茶2017年
つぎの記事に書く。

東莞人第一批熟茶2017年 その1.

采茶 : 2017年4月
加工 : 2017年11月・12月
茶葉 : ミャンマーシャン州 チャイントン
茶廠 : 東莞人
工程 : 熟茶
形状 : 散茶(生)
保存 : 西双版納
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・景徳鎮の茶杯・鉄瓶+炭火
東莞人第一批熟茶2017年

お茶の感想:
昨年の秋に広東の茶友が西双版納のマンションの一室で微生物発酵させた熟茶。
彼にとっては第一作めの熟茶。
広東省は広くて、いろんな地域のいろんな文化や生活習慣があるので、茶友の故郷は東莞市だから東莞人と呼ぶことにする。
東莞市は深センと広州の間にあって香港にもすぐに行ける地の利だから飲茶文化の真ん中にあるけれど、茶友の家庭はお婆ちゃんがシンガポールから帰ってきた華人だったせいか、朝はコーヒー夜は洋酒と洋式の嗜好で育ったので、お茶のことは詳しくない。西双版納に移住した2013年から勉強がスタートしている。
中国人がみんなお茶に詳しいわけではないのだ。
とはいえ、実家には陶器の壺に30年モノの老茶があったり、20年モノの陳皮があったり、生活の中に老味が浸透しているから、舌や鼻の経験はある。
子供の頃は茘枝の栽培農家で、貧しくて、米も野菜も家庭菜園で育てるしかなく、水牛の世話をするのが日課だったらしく、なので古式の農業の経験が今のお茶づくりに生かされている。
ちなみに、茘枝もまた古樹の高幹(すらっと高く伸びた幹の樹)のが美味しいらしい。どの茶樹を選ぶと美味しいお茶ができるかという勘が働くので、これも役に立っている。
小学校卒業で働いて働いて小型トラック・中型トラック・大型トラックの運転手を経て、染料の工場やぬいぐるみ工場を経営して大陸のあちこちの都市に10箇所の工場を持って、42歳でサラッと引退。多少、ヤバイことをしていたのかもしれない。
西双版納に引っ越してきたすぐは何もすることが無いのでいつもイライラしていたが、5年目の今はもう西双版納の時間の流れに慣れて暇を楽しんでいる。もちろん、お茶づくりのときは忙しくしている。
さて、このお茶『東莞人第一批熟茶2017年』。
熟茶
原料の茶葉はなんと『曼晒古樹晒青茶2017年』
+【曼晒古樹青餅2017年 その1.】
采茶の日は1日か2日異なるかもしれないが、ほぼ同質のモノ。
高価すぎるからはじめての熟茶づくりにはもったいないと反対したが、自分や温州人の熟茶づくりから学んでいて、なんとなく自信があったらしい。10キロの少量だから彼にとっては失敗しても金銭的に痛くはないかもしれないが、この茶葉はなかなか出会えないクラスの美味しさだから精神的には痛い。
昨年末のこと、自分はタイのチェンコーンから西双版納に帰ってきて、その数日後に上海を経由して日本に一時帰国する直前に、このお茶を飲んだ。
1ヶ月ほどかけた微生物発酵の最後の散水を終えて6日目くらいだったので、まだ完成していない段階。
そのとき、実はあまり良い出来とは思えない味であった。なぜか舌にヌメリが残る。
「勉強会で使ってくれ」とサンプルを少し分けてくれたが、一度も飲まずに今に至っている。
この秋、西双版納に帰ってくるなりこのお茶を飲まされた。
これが、どういうわけか美味しくなっている。茶湯のヌメリはサラサラと消えて舌に残らず、清潔感がある。
最後の散水を終えてから30日間かけて涼干(陰干し)したらしい。やはりこの工程が大事なのだ。
しかし、まだ圧餅していない”生”の状態。
高温の蒸気で熱を通していないので、生の熟茶特有の香りがある。
われわれが”海鮮味”と呼んでいる干しエビみたいな香り。ちなみに中国語で”味”と表現するのは香りを意味することもある。
当店唯一のオリジナル熟茶『版納古樹熟餅2010年』の圧餅前の生の状態のときも海鮮味が少しあった。
渥堆発酵
「イカのワタのような香りがごく微かにあります。」と書いているのがそれ。
+【版納古樹熟餅2010年 その3】
自作の熟茶のうちの自分の失敗したいくつかや温州人の1批から6批、そしてこの『東莞人第一批熟茶2017年』にも、多かれ少なかれある。しかしこのお茶の海鮮味がこれまでに一番強い。
海鮮味の正体はある種のアミノ酸。
茶葉の植物性タンパク質が微生物によって分解されて、海鮮モノに多く含まれる動物性のアミノ酸に似たものがつくられるのだろう。
熟茶の味わいは出汁の旨味。
このアミノ酸は、どうやら高温に弱いらしく、圧餅のときの蒸気の熱で海鮮味はほぼ消える。出汁の旨味は消えないので、香りの成分構造だけが変わるのかもしれない。
蒸し
大手メーカーの熟茶製品にも出荷直後の新しいうちはこの香りが少し残っていることがある。数年寝かせるとこれも消える。
試しに蒸してみた。
10分ほど蒸すと海鮮味はカカオ味となった。
チョコレートのような甘い香りが食欲をそそる。よだれが出てくる。
長年熟成させた茶葉のメイラード反応(常温の焦げと呼んでいる)にも共通したカカオ味が出るが、この香りもある種のアミノ酸が焦げた反応によるものである。
泡茶
第3泡
濃い甘い熟茶。
自分の記憶でここまで強いカカオ味のあるのはこの熟茶。
+【天字沱茶90年代初期】
カカオを通り越してコーヒーみたいになっていた。
このお茶もカカオの香りが強かったと記憶している。
+【大益貢餅熟茶98年崩し】
旬の新芽・若葉の多い熟茶。
『東莞人第一批熟茶2017年』の葉底を見るとまだ緑色が多く残っている。
葉底
微生物発酵はそれほど深くない。
『温州人第六批熟茶2018年』の葉底と比べても浅めに仕上がっている。
ということは、海鮮味からカカオ味に変化したある種のアミノ酸は茶葉のもともと持っていた量によって強くなったり弱くなったりということかもしれない。旬の新芽・若葉が濃い『曼晒古樹晒青茶2017年』には最も多く含まれることになる。季節外れの安い茶葉には少ない。
高価な原料を使った効果がここに現れるということか。

温州焼干海老(天然モノ)。
紹興酒15年モノ(自然発酵・自然醸造モノ)。
いずれも市場には売っていない個人のつくったもの。
酒を飲まない茶友たちから酒と肴が回ってくる。
温州焼海老
良い茶葉が手元にあると、中国では喰いぱぐれがないどころか、茶葉の質によっては中国全土からお金では買えない食品が集まってくる。相手もたぶん良い酒さえつくれば良い茶葉が・・・と、同じことを思っているに違いない。等価交換。
茶葉を売って現金に交換することが最もバカらしい取引になる。
外から見えない内輪経済が世界中でこれから発展する。
不労所得を得る株主や、仕事のできないダメ社員たちや、年金生活で一日中テレビ見るだけの老人たちや、他人の労働の上前を撥ねる役人たちや、それに媚びる政治家たち、この人たちに利益を分配してもなお安全で質の良い食べものが手に入るほどの余裕は、地球上の生態環境にはなくなっているのかもしれない。
自然環境が栄養を分けてくれるのは、古式の農業では労働して自然環境にエネルギーを費やした人のみ。これも等価交換。
内輪の社会に参加したい個人がいたら、外では買えない上質の酒や食品やお茶の道具を自分でつくるべし。

温州人第六批熟茶2018年 その1.

采茶 : 2018年9月
加工 : 2018年9月・10月
茶葉 : 雲南省臨滄市鎮康県果敢交界古樹
茶廠 : 農家+温州人
工程 : 熟茶
形状 : 散茶
保存 : ミャンマー
茶水 : 西双版納のミネラルウォーター
茶器 : チェコ土の茶壺・景徳鎮の茶杯・鉄瓶+炭火
西双版納
メコン川
西双版納
西双版納

お茶の感想:
西双版納の空港に着くなり茶友が「見せたいものがある」と言って、市内のとある高層マンションに連れてゆかれた。
300平米に4部屋くらいある高級住宅だが、住人はすでに引っ越して住んでおらず、据え付けの木製家具だけが残っている。
そのうちの一室に木工職人が銭湯の風呂くらいある木箱を2つ組み立てていた。
本格的に熟茶づくりをするための設備である。
西双版納に近いミャンマーで鉱山開発をしている温州人の茶友が先頭を切って独自の熟茶づくりをはじめたのが2016年の秋。
この記事に書いている。
+【版納古樹熟餅2010年 その32.】 
+【温州人の易武古樹熟茶 その1.】
それから2年。
温州人の熟茶はすでに第六批の微生物発酵がはじまっている。6回目の熟茶づくりになる。
ミャンマーの紛争地域なので現場に入れないが、ちょくちょく持ってくるサンプル茶葉は回を重ねるたびに良くなっている。温州人の創意工と、微生物の世代交代がすすんで発酵に熟練してきたことと、いい具合に成熟してきた。
ミャンマーの発酵
ミャンマーの発酵
毎回数十キロ以内の少渥発酵。
メーカーでは一般的に何トンもの茶葉を発酵させるので、数十キロで安定した結果を得ることができるのはちょっと特殊。原料の茶葉は少量ほど質の良いものになるので、これまでにはない質の熟茶ができる。はず。
この技術をそのまま西双版納に移植するプロジェクト。
昨年の秋に広東人の茶友が西双版納のマンションの一室で試みたが、狭い部屋では温度や湿度の管理が難しいということがわかった。茶友たちと議論を重ねた結果、大きな部屋と大きな木箱が要ることになった。
そこで地元の不動産王の茶友に相談したら、広い空き部屋を提供してくれることになった。乾燥した毛茶にして150キロまでなら余裕で醸すことができる。
中国の田舎の不動産は空き部屋だらけである。なのに不動産価格は高騰してどんどん新しい建物ができる泡末経済。遠慮なくタダで借りることにする。
さて、原料の茶葉をどうするか。
ミャンマーの茶葉、ラオスの茶葉、タイの茶葉、雲南省臨滄市の茶葉、いくつか候補が上がっている。いずれも古樹の茶葉が安く入手できる。地元の西双版納に候補がないのは価格が高すぎるから。熟茶づくりの茶葉はもともと西双版納よりもその周辺地域のほうが多いので、問題ないだろう。伝統に培われてきた知恵を見落とすことにはならないはずだ。
今日のお茶は温州人の第六批。
『温州人第六批熟茶2018年』仮名とする。
原料の茶葉はミャンマーの鉱山から雲南省に入って最も近い茶山が臨滄市鎮康県の”果敢交界”というところらしい。古茶樹がある。
中国語のサイトに紹介があった。
+【来自中国镇康县与缅甸果敢交界的古树普洱茶】
茶具
晒青毛茶
温州人が何度か通って機械を使わない手工の殺青(鉄鍋炒り)を農家に教えて、今年の9月中頃につくった晒青毛茶を90キロほど調達した。もともと茶葉の価格の安い茶山なので一般的には機械で殺生・揉捻をしているらしい。たくさんつくってたくさん売らないと農家は生活費も稼げない。手工でつくる非生産的な分は追加料金を払って補うが、それでも西双版納の有名でない茶山に比べて3分の1の価格。
もちろん直射日光による晒干で仕上げるようオーダーしてある。
雨季がまだ終わっていないので秋の旬とは言えないが、試作には十分。いい感じの熟茶ができることがわかったら春の旬を待てばよいのだ。
微生物発酵させる前の段階の晒青毛茶(生茶)のサンプルもくれたので、まずはそれを試してみる。
泡茶
葉底
煙草っぽいスモーキーな香りがあり苦底があり、アッサムっぽい雲南大葉種の田舎臭さが出ているが、だが栄養は充実している様子。
製茶は、焦げや生焼けがほとんどなく均一な火が通っていて、熟茶づくりに適していると思う。
微生物発酵途中の茶葉。まだ発酵前期である。
第六批熟茶
散水第一回目から2週間目。
もうあと1回の散水を最後にして30日くらいかけてゆっくり乾燥させる。
なので早熟であるし、圧延の蒸気も通っていないから菌類の生きている”生”の状態だし、いつも飲んでいる熟茶とはずいぶん異なる味であるが、生の試飲も回を重ねて慣れてきたから、ある程度良し悪しがわかる。
第六批熟茶一煎め
第六批熟茶三煎め
上: 1煎め
下: 3煎め
熟茶は一煎めの茶湯の色が赤味があって煎を重ねるほどに黄色っぽく明るくなるのが普通だが、これは逆で生茶のように煎を重ねると赤味が増す。まだつくられていない酵素類がたくさんあるのだろう。
微生物発酵の水分の多いときに発熱して高温になるのを防ぐ工夫が新しくて、比較的低温を保ちながらゆっくり発酵させてある。その効果が現れていて透明で潤いある水質に仕上がっている。
茶湯の色は生茶のように黄色いが、味は微生物発酵のもの。といっても熟茶にはぜんぜんなっていなくて酸っぱいヨーグルトな感じ。
微生物発酵は前期と後期で異なる微生物が異なる仕事をする。前期の主役の黒麹によってつくられたクエン酸がまだ多く残っているから酸っぱいのだ。後期の主役の枯草菌類がこの酸を分解するのだろうか。
第六批葉底
葉底には緑色が残っているが、この先の30日間のうちに一日一日熟れてゆき、仕上がりはもっと赤い黒い茶葉になると予測している。
圧餅したらどうなるのか、蒸気の熱とその後の乾燥の影響がどうなのか、保存のときの変化はどうなのか、この続きを見たいから、次回は圧餅テストをしてみる。

現代の鉱山開発は土から金だのプラチナだのいろんな金属を分別しながら採集するので、土の成分分析をする技術がある。これで茶葉の成分分析をしているから、微生物発酵がつくりだす良い成分と悪い成分を見分けることができる。健全な発酵ができているかどうかを人の感覚だけでなく科学的な観点で確かめられる。
温州人が試しにわれわれの今年の春の刮風寨の小茶樹と古茶樹の成分分析をしてみたら、古茶樹の茶葉には味にかかわるある成分がやや多いことがわかった。やや多いの”やや”のために価格差が5倍以上もする?
もっともこれは味にかかわると認識できている成分にフォーカスした科学的な理解の仕方である。まだ認識できていない、それを説明する言葉すら定義されていない何らかの、人の感覚の森羅万象についてはいったん無視している。というか、無視できるのが人の脳の理解の仕方なのかもしれない。
ある成分が何だったのかは言わないことにしておく。

1

茶想

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